少女語り手

そしてアドレーヌは眠る。
『第五幕 眠る女神は』〜そして未来に〜

11/20(火)11:20
語り手
タイトル:第五幕〜眠る女神は409〜
気分:次回更新は27日(火)予定です


 人の通らない獣道を手慣れた様子で進んだ先。山の奥。森のその先に現れる開けた野原。
 原っぱと呼ぶにはいささか小さ目ではあるが、しかし幼い彼らにはとても広い草原で。何より、その草原には目に焼き付くほど、心に残るほどに美しい、色取り取りの花々が咲き乱れていたのだ。
 そこは、かつて誰かが人為的に造った空間――秘密の花畑であった。



「何度来ても凄いキレイだね、ここ」
「父さんも母さんも姉ちゃんもここには子供だけで行くな。他の村人にも教えちゃだめだって言ってるけどさ…この景色見たら何度だって来たくなるよ」

 と、二人は互いに顔を見合わせるなり、クスクスと声を上げて笑う。
 二人は既に何度かひっそりとこの場所を人の目を盗んではやって来ていた。
 だが、その度にアサの両親や姉にばれてしまい、こっぴどく怒られているのだ。
 毎度泥だらけで、毎度夜になるまで帰って来ないのだから、激怒されるのも無理はない話なのだが。
 しかし、何度怒られようともアサは彼女とこの場所に来続けようと決めていた。
 出会った当初はまるで人形の様だった彼女が、今はようやくと笑顔を見せてくれるようになったのだ。声を上げて笑ってくれるようになったのだ。
 それも全てこの花畑のお陰なのだ。
 だからアサは今日もまた、例え両親と姉から雷が落ちようとも、不安がるを彼女連れて此処にやって来たのだった。

「ほら、もっとこっちに行ってみようよ、ミレット」
「うん!」

 二人は手を繋ぎ、花畑の中を歩いていた。





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