少女語り手

そしてアドレーヌは眠る。
『第五幕 眠る女神は』〜そして未来に〜

11/21(火)11:53
語り手
タイトル:第五幕〜眠る女神は300〜
気分:次回更新は28日(火)予定です








「どうして…私なの?」

 純粋に抱いた疑問に対し、ミレットは「だって」と答える。

「それが出来るのはアドレーヌだけだと思うから」

 彼女はそう言うと柔らかい笑みを浮かべ、頬に触れるアドレーヌの掌へ、自身の手を重ねる。
 そして、真っ直ぐな瞳で彼女は言った。

「言わなくても解るよ。アドレーヌもアサが好きなんでしょ」


 直後、アドレーヌは急速に全身が熱を帯びていく感覚に襲われた。
 迸るような熱によって、思考回路は一気に停止する。

「え…?」

 何とか出せた、誤魔化しの言葉。
 しかしミレットはそんな彼女に笑みを零して返す。

「流石にそんな反応されちゃわかりやす過ぎだよ」

 顔中を真っ赤に染める彼女を後目にくすくすと笑うミレット。

「心配しないで。アサにも誰にも言わないから」
「違うの。私はただ…二人が――」

 そう言いかけてまたしてもアドレーヌは口を噤む。
 それを言っては後戻りが出来なくなる。
 心の何処か、もう一人の自分が出している警告。
 だが、振り払うように左右に首を振ると、アドレーヌは意を決してその続きを語ろうとした。

「私はただ、二人が――」
「いいよ。言わなくても大丈夫だよ」

 と、彼女の言葉を遮るように告げるミレット。
アドレーヌの口元には彼女の指先が当てられていた。

「…色々話したからかな、何だか眠くなってきちゃったんだ」

 続けてそう話すミレットは、もう片方の手で瞼を擦り、欠伸を一つ漏らした。

「また今度、続きを話そう?だから今日はおやすみ」

 そう言って彼女は横向きになると布団の中へ潜り込み、それ以上は何も言わなかった。
 何となくはぐらかされたような気がして、アドレーヌもまたそれ以上何か語る事もなく。

「わかった、おやすみなさい」

 その一言だけ返すとベッドから立ち上がり、そのまま静かに退室したのだった。
 




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