少女語り手

そしてアドレーヌは眠る。
『第五幕 眠る女神は』〜そして未来に〜

09/19(火)12:06
語り手
タイトル:第五幕〜眠る女神は288〜
気分:次回更新は26日(火)予定です。



 「そう言えばタルクスさんもこうしたお屋敷で暮らしているんですか?」

 するとタルクスは肩を竦めながらかぶりを振って見せる。

「残念ながら。知っているかもしれないけど俺は遠方のド田舎出身だし『若獅子の再来』なんて呼ぶ人間もいるけど結局は異端児呼ばわりされているからね。中々良い思いはさせて貰えてないよ」

 つまりは他の軍人と何ら変わらない生活だ。と、いう話だ。
 彼は今でも軍の寮にて暮らしているとのことだった。
 確かに彼には威厳と栄誉あるあらゆる肩書きがある一方で、目上も目下も分け隔てなく接する気さくさがある。
 彼のそうした性格は彼自身の出生に恐らくあるのだろうと、アサはふと思った。
 


「―――それよりもさ、そろそろ皆、敬語使うとか遠慮とか止めない?」

  すると突然、タルクスは続けてそんなことを言い出した。
 室内の装飾品に目を向けていたアサたちは彼へと視線を移す。
 彼はもう一度肩を竦めさせて言う。

「前から考えていたんだよね。今は任務上とは言え支部から離れているわけだし、敬語とかは止めにしようかってね。俺としてもそういうのは面倒だし」
「ですが私にとっては上司なわけですし…」
「直接的な関係ってわけでもないし、気にすることないよ」

 そう言って気さくに笑う彼に対し、ミレットはそれでも「ですが…」と言って戸惑っていた。
 それはアサにとってもそうだった。
 仮にも目上である相手に敬語を使わないのは失礼ではないのかと、思わず悩んでしまう。
 と、そんな中。パンとアドレーヌが両手を合わせてみせると微笑みを見せながら言った。

「分かったわ、これからは皆敬語はなし」
「わかってくれるねー、アドレーヌ嬢は」
「私も思っていたの。此処まで一緒である二人に他人行儀は失礼だって。だからアサもミレットも…ね?」

 彼女はそう言うとアサとミレットを一瞥していく。
 アドレーヌも実のところ、前々から違和感を抱いていたのだ。
 アサとは随分と打ち解けている中で、未だミレットには敬語で話していることに。
 二人に対して“さん付け”であることに。







5.過去の日記 6.前日
7.応援メール
PCサイトはこちら

次は少女