るい栞愛

しあわせになれ

11/02(木)14:19
栞愛
タイトル:5-16 信じたいように信じる
気分:これだけです

手を引かれて進むこと数分。次に乗るものを決めていなかったので発券機の横で足を止め、蛇腹状に折りたたまれたガイドを開いた。ちなみに発券機は乗り物の回数券を購入するためのもので、フリーパスを持っているふたりはどれでも際限なく乗ることができる。
「るい。私、信じたいように信じることにする」
ガイドの現在地と周辺に目を落としながら、栞愛は言う。
るいの言い放った"彼女"は"恋人"ではなく"女の人"の意味だったかもしれない。そうだとしても、さっき間違いなく自分は選ばれた。るいに選んでもらえた。
「なにニヤケてんの」
「わかってるくせに!」
るいに指摘されても緩んだ顔を戻すことができない。プレゼントされた一日なのだから、楽しく過ごしたい。今日はまだはじまったばかりだ。


遊園地は入場ゲート付近に低年齢向けのアトラクションが固まっていて、奥に進むにつれて垂直落下するものや高速コースターといった身長制限があるものや体調が優れないと乗れないものが多くなる。
「なに?」
「……いや。強いなあって思って」
「寒さ?」
「じゃなくて。苦手なのはないのかなあ、と」
「ああ、そっちね」
視線を感じてるいを仰ぎ見たらそんなことを言われた。ジェットコースターもフリーフォールも恐怖の館も怖めず臆せずまわってきた。
「そういえば家にイルミネーションをつけるっていって屋根にあがったこともあったっけ」
「あったねえ! 降りるの、るいに手伝ってもらったねえ! うーん、こういうのは平気なんだよね」
ふうん、とるいは自分から話を振っておきながら気のなさそうな返事をする。

「るいはダメなのあったの? あっ、さっきのお化け屋敷とか?」
特には、とるいが言っているのに、栞愛は勝手なタイミングでわっと大声を出して脅かそうとする。
「びっくりした!? ねえ、した!?」
「……ガキじゃないんだから」
ふいっとあさってのほうを向くるい。意表を突かれたのは本当のようだ。栞愛はうれしくなる。自然な仕草で片方の腕に手を添え、
「ふたりとも平気でよかったね。乗りたいと思ったの全部、一緒に乗れるね」
にこにこしながら言った。
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