本並海里真井清香宮沢夕希深津草介■■◆◇

あしたのありか
Scene5 修学旅行

03/20(月)22:04
宮沢夕希
タイトル:211 縦長の夜景(2)
気分:終わりでーす


『奪われてたまるか』

そーくんの台詞が頭の中に戻ってきて、あたしはちょっと目を伏せた。
どきりとした。だけどそれ以前に怖かった。なにが、だろう。


「……どーしたの」
「え?」
「花」
「あ、花? バラ?」

ぼそり、と闇に落っこちるように吐き出された言葉をあたしはなんとか拾うことに成功して、聞き返す。
返事は無い。

「ホテルのフロントのお姉さんにね、もらってもらったの。どこかに飾ってくれるって」
「あっそ」
「ねえ、そーくん」

無愛想な返事にかぶせるように名前を呼ぶ。あたしはそーくんの方を見た。
手すりをつかむ腕に顔を埋めるようにしてるそーくんをまっすぐ見て、続ける。

「今日は、ありがとう。助けに来てくれて」

そーくんは、動かない。

「すごく、うれしかった。不安だったから――そーくんが来てくれて、あたし、すごく」
「ごめんな」

言葉と一緒に、あたしは抱きしめられてた。絞り出すような声だった。
ぎゅ、とそーくんの腕に力がこもる。

「ごめん。怖い思いさせて。ごめんな、俺、守ってやれなくて」

泣いてるのかと思うような声で、そーくんはあたしに謝ってくれる。
だからなんとなく、泣いてる子を慰めているような気分になって、あたしはそーくんの背中をぽんぽんと軽くたたいた。

「守ってくれたよ。そーくん、あたしたちのこと探してくれたんだよね。それに――」

西野先輩からも、と言おうとしてあたしは止めた。そーくんの腕が緩んで、視線が合った。
やっぱり泣きそうな顔してる、とあたしはちょっぴり微笑んだ。

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