本並海里真井清香宮沢夕希深津草介■■◆◇

あしたのありか
Scene5 修学旅行

06/21(水)16:30
真井清香
タイトル:214 せめて今だけは忘れて
気分:これだけです


興奮したように言った海里君が私を掴んだ手に力が入って、ぐいっと彼の方に引き寄せられるようになる。
会話の流れからして特別な意図はなかったのだろうけど、私は急に近付いた距離に驚いて、海里君の手を思い切り振り払ってしまった。

――自分たちが階段に腰かけていたことを忘れて。

「わーっ」
「海里君!?」
バランスを崩した海里君だけど、咄嗟に上の段に掴まって転げ落ちることを免れた。

「ご、ごめんなさい」
「天国と地獄を同時に味わった気分だよ…」
さっきの優しい清香ちゃんはどこへ行ってしまったんだ、とかぶつぶつぼやきながら態勢を整えて肩を落とす海里君に、罪悪感がこみあげてきたけれど、
「…でもまあこれも、俺のこと意識してくれてるってことならいいかな」
なんて、ちらっを思わせぶりに視線をよこしながら言うものだから、今度は私が肩を落とした。
深刻な話はどこへ。

「元気が出たみたいで本当によかったわ…」
「清香ちゃんのおかげだよ」
「はいはい」


そろそろ部屋に戻らないといけないと立ち上がる。
「残り2日、楽しみましょうね」
問題は解決したわけじゃないけれど。
海里君にも夕希にも、みんなで計画を立てて楽しみにしていた修学旅行を、辛い思い出で終わらせて欲しくない。

海里君は眩しそうに眼を細めて、笑みを浮かべた。
「うん、そうだね」

5.過去の日記 6.前日
7.応援メール
PCサイトはこちら

次は宮沢夕希