本並海里真井清香宮沢夕希深津草介■■◆◇

あしたのありか
Scene5 修学旅行

08/24(木)06:03
宮沢夕希
タイトル:215 ずっとずっと一緒に

「夕希、朝よ、起きて」

肩を揺らされて、あたしはうーんと身じろぎする。
んもうお母さんってば、もう少し寝かせてよ。

「朝だってば。起きないと置いていくわよ」

置いてくって何? 意味、わかんない。
それに、しゃべり方がいつもと違う気がする。

「ゆ・う・き!」
「ひゃあ!」

名前を叫ばれたのと一緒に吐息が耳にかかって、あたしは思わず飛び起きた。
耳はくすぐったいからやめてって、いつも言ってるのに!

「おはよう、夕希」
「あ、れ? さーや?」

目の前には怖い顔をしたさーやがいた。
あたしと目が合うと、さーやは大きくはぁっとため息をつく。

「ええそうよ、そしてここは東京のホテルで今は修学旅行中。もっと言うと、あと5分で朝食の時間になるわ」
「え!」

時計は7:25を指していた。確か昨日の夜に確認した朝食の時間は、7時半に食堂。
そんな記憶がやっとよみがえってきて、今は修学旅行中だっていう自覚が戻ってくる。
同室の他の二人の姿はない。多分先に行ったんだ。

「私、先に行くわね」
「えーやだちょっと待って! あーん髪はねてるよーー」



さーやは優しい。
あたしの一生のお願いをなんとか聞いてくれて、はねた髪をきれいに直してくれた。
やっぱり器用だなあ。あたし自分では15分ドライヤーかけてても直せないもん。

時刻は7:40、食堂へ続く廊下に生徒は居ない。
あたしたちは心持ち早足で歩いていた。


「ねえねえ、今日の午後の班行動、楽しみだね!」
「……」
「さーや? 楽しみ……だよね?」

返事はなく、さーや立ち止まってじっとあたしを見つめた。
こういうまっすぐな視線はさーやらしい。凜としてる、っていうのかな。
きっといろんなことを考えて、あたしのことを心配してくれてるんだろう。
あたしは考えるのが苦手だから、きっとさーやはそういう所が心配なんだとも思うんだけど。

「大丈夫だよ」

あたしもさーやを見つめ返して、そしてにこっと笑ってみせる。

「大丈夫だよ。あたし、ずっとさーやと一緒に居るから。イヤだって言われても海里の邪魔になってもずーっとずーっと居るからね」

腕を組んでみせると、さーやの真面目な顔がやっと崩れた。
困ったように眉根を寄せ、何か言おうとして口をつぐみ、それから軽く息を吐く。

「……早く行きましょ」
「はーい」



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