語りべ管理者

竜の伝説〜飛翔〜
〜そして伝説へ〜

2017年10月の交換日記

2017/10/31(火) 語りべ
タイトル 突然の襲撃者4 今日の気分次回更新は11月7日(火)予定です








 二度目の爆発音に周囲で目撃していた者達は叫び声や悲鳴を上げる。

「ギンガッ!!?」

 突如目の前で起こった状況を呑み込めないでいた情報屋であったが、ストーム(ギンガ)が爆発に巻き込まれたことだけは理解ができ、思わず叫んだ。
 しかし彼を助けようにも最初の爆発によって片足を負傷してしまったらしく、歩く事もままならない状態であった。
 そして何より、天井を突き破って現れたのは魔物ではなく人間であるということに、彼は無意識に恐怖していた。
 海賊や盗賊。確かに人でも人を襲うことはある。
 だが、たった一人で、狡猾な笑みを浮かべながら人を襲う人間がいるなど、早々聞くものではなかった。
 否、と、情報屋は目を見開く。
 聞いたことがあった。
 人を裏切り、魔王側に属した恐ろしき人間の話しを。
 その黒衣に身を包んでいるという特徴を。
 目の前に現れた青年の特徴と情報屋の予想が合致した瞬間。
 彼は大きな声で叫んだ。
 
「そ、そそそっ…そいつはムクロだーッ!!」

 情報屋の叫びを聞いた周囲の野次馬たちは口ぐちに「ムクロ」という言葉を繰り返す。
 彼らも噂は聞いていた。
 イシス城に魔物が襲撃してきたのも、サマンオサの王が魔物に扮していたのも全てムクロの仕業なのだと。
 直後、周囲にいた者達は各々悲鳴を上げながら一斉にその場から逃げ出していった。

「はははっ…ムクロと聞いた途端にこの騒動とは、ムクロも有名になったようで愉快ですねぇ」

 彼らの悲鳴を耳にしながら悠長に、優越感に浸るようにそう話すハンド。
 店の客や野次馬、店主さえも必死の形相で逃げまどう中。
 ストームはもう一度ハンドに飛び込んでいった。

「それならそれで好都合だ。お前を今度こそ…この手で倒してくれる…!」

 と、二人の剣が重なり、つばぜり合う。
 同時にこの瞬間。
ストームが掛けていた変身呪文の効果が切れ、彼本来の姿が現れる。
 その様子を見ていたハンドは、不気味な笑みを浮かばせた。



2017/10/24(火) 語りべ
タイトル 突然の襲撃者3 今日の気分次回更新は31日(火)予定です







 引き裂かれたフードから覗かせた顔。
 そこには金髪のセミロングに整った、中性的な青年の顔立ちがあった。
 ハンドの容姿にストームは一瞬だけ目を見開く。
 驚いたと言った様子を見せる彼を見つけ、ハンドはため息をついた。

「イメージとは違った顔だった、とでも思いましたか?だから嫌なんですよねぇ、素顔を晒すのは」

 しかしそう言っている彼の表情は慊焉としており、そうした相手の顔を見る事を愉快としているように見えた。
 と、そのときだ。
 壊れた屋根の瓦礫の向こうから声が聞こえてきた。

「な、なんなんだっ…これは…!?」

 その声は先ほどストームと会話していた情報屋の男であったが、同じように動揺の声を上げているのは彼だけではない。

「なんだ一体!?」
「魔物でも降って来たのかっ!」

 轟音、粉塵と共に大穴が開かれた道具屋の天井。
 この状況にそこにいた者達だけでなく、周囲を通行していた者達も驚愕にどよめきが起こっていた。
 ハンドは彼らの動揺した姿に一人ほくそ笑んでいる。
 そんなハンドに向け、ストームはもう一度剣を構え直し叫んだ。

「お前の目的は一体何なんだ…!」

 すると口角を吊り上げたままハンドはおもむろに答える。

「わかりませんか…私は邪魔をしに来たんですよ。あなた方が、伝説の鳥を目覚めさせるっていうんでね」

 そう言い終えたと同時に、直後ハンドは地を蹴りストームの懐へと飛び込む。

「お返しです」

 と、次の瞬間。
 ハンドの掌は発光と共に大きな爆発が巻き起こった。
 ストームは瞬時に避けることの出来る一撃だと察した。
 が、しかし。
 二人の周辺には爆発音と騒動を聞いてきた野次馬が集まっていた。
 彼が避けたとしても、その爆発はそんな周囲の彼らを巻き込んでしまうかもしれない。
 うかつに避けることは出来ない。
 ストームは表情を歪めたまま、ハンドの一撃を受け入れるしかなかった。





2017/10/18(水) 語りべ
タイトル 突然の襲撃者2 今日の気分次回更新は24日(火)予定です



 剣に力を込めるものの、ハンドに受け止められたそれはまるで固まったかのようにびくともせず。
 仕方なく彼はつばぜり合っていた剣を引き、後方へと飛び退いた。

「ムクロがこんな街中に何の用だ。今すぐ去れ!」
「おやおや、私の話しは無視ですか?つれないですねぇ」

 人を小馬鹿にするような口振り。大げさとも言える手振り。
 これは全てハンドが得意とする挑発であることは重々知っている。
 だからこそ奴の言葉に耳を貸してはいけないと、ストームは冷静に努める。

「私が望む事はただ一つ。お前がここから立ち去ることだけだ」

 と、叫ぶと同時に氷呪文《マヒャド》を唱えた。
 次の瞬間。凍てつく氷の塊が、ハンド目掛けて飛んでいく。
 しかし、慌てる様子もなくハンドは不敵な笑みを浮かべながら飛び退き、それらをかわした。
 が、それは囮であった。
 かわした先を読んでいたストームは再度、彼の懐に飛び込み、その胸元へ手を翳した。

「―――バギ!」

 直後、彼の手から真空波が生み出され、ゼロ距離であったハンドへと直撃する。
 刃の如く切り刻む真空波の一撃。
 流石のハンドもこれにはおもわず声を上げた。

「くっ…ちょっと油断しちゃいましたね」

 そう言いながら相変わらず不敵な笑みを浮かべるハンド。
 真空波を受け、裂かれたフードからは、その口元だけではなく狡猾的な目元や顔付きをも表させたのだった。






2017/10/18(水) 語りべ
タイトル 突然の襲撃者1







 それは先ほど聞こえてきた、料理の失敗を報せるような可愛いものではなかった。
 明らかに何かが破壊されたという爆音。
 ストームが振り返り確認するよりも早く、その声は爆風渦巻く中から聞こえてきた。

「予想通りやって来てみれば…やはり此処にいましたか」

 聞き覚えのある――否、ストームにとって忘れるはずもない声だった。

「しかし…まさかこんなところでまだそんな愚かなマネゴトをしているとは…笑わずにはいられませんよ、ねえギンガさん」

 わざとらしく、嫌味を含ませた言葉にストームは自然と顔を顰める。
 渦巻く爆風が晴れていくと同時に、その男の姿がゆっくりと現れる。
 黒いローブ姿、そのフードで隠されている顔。
 その姿と声は紛れもない、忘れもしないムクロの姿であった。

「ハンド…!」

 ストームはハンドの姿を見るなり、迷いなく刃を抜き、地を蹴った。
 そして素早く彼の懐へと飛び込み、剣を横一文字に薙いだ。
 が、動きを察していたハンドもまたストームの剣を受け止めるべく自身の掌を振りかざす。
 直後、ハンドの手は軽くストームの一閃を受け止めた。

「くっ…!」
「出合い頭に斬り掛かるだなんて…随分と物騒ですねぇ。今まで正体がばらされることを恐れて私の前から散々逃げてきたくせに」


2017/10/10(火) 語りべ
タイトル 偽装の情報収集2 今日の気分次回更新は17日(火)予定です








「夢物語じゃないかもしれないだろ?なんたってロマリア王国の兵団が幽霊船を見つけたって話だし」

 確かに彼の言う通り、幽霊船もまたかつてはおとぎ話として噂されていたものであった。
 しかしそれが事実であると知るや否や、これまで夢物語として語られていたこうした噂もまた事実なのではないかと囁かれるようになったのだ。
 夢物語に夢や妄想を広げる者、その地へと赴き富や名声を獲たいと思う者。
願いは様々であるが。

「お前が知りたがっていたレイアムランドにも神へと導く神殿があるとかって噂があるんだぜ?」
「…それは初耳だな」

 男の言葉に足を止め、そう告げたストーム。
 すると男はしまったとばかりに自身の口を慌てて押さえる仕草を見せる。
 だが、彼の行動など既に遅く。

「つまり…レイアムランドのある程度の情報を知っていながら私には知らないと答えていたわけか」

 詰め寄るストームに、男は嫌な汗を滲ませながら苦し紛れの笑みを見せる。

「いや、でも噂…おとぎ話みたいな情報だったから…そういうのお前嫌いだろ?」
「私はどんな些細な情報でも良いと言ったはずだが…」

 と、ストームはそう言いかけたところでため息を吐き、それ以上何かを言う事はなく。
 「確かにおとぎ話では話にならないな」と言って踵を返した。
 これから乗り込む地について少しでも情報が欲しいと思い収集していたストームであったが、おとぎ話では聞く意味がないと思ったのだ。
 何故なら彼はおとぎ話ではない、現実にある神殿をこれから訪ねに行くのだから。



「意外にあっさりと引き下がられると逆に気になるんだが…?」

 取り残された男はそうぼやき、グラスの果物ジュースを勢いよく飲み干した。
 そのときだ。
 突然、ストームの背後で破壊音が轟いた。






2017/10/03(火) 語りべ
タイトル 偽装の情報収集1 今日の気分次回更新は10日(火)予定です







 アルスとレオが魔物退治で暇つぶし。
 スイリとリルムがパーティの準備に勤しんでいる中。
 ストームは一人、日課であった情報収集をこの日もしていた。
 元々はギンガを探すべくしていたことであったが、いつの間にかそれが日常となり、今に至っている。
 気になった情報を手に入れるためには移動呪文(ルーラ)を用いて遠方まで足を運ぶところは、最早日課というレベルではない。
 今日はランシールから出ることなく、町内で情報を集めていた。

「レイアムランド…この世界の最南端にある極寒の地だろ?あんなところに好き好んで行こうって奴がまずいないだろうからなあ…何があるのかなんて噂も聞いた事がねえよ」
「そうか…」

 男の言葉を聞くとストームはそう呟き、手にしていたグラスを口に含む。
 場所は道具屋。情報収集といえば大抵は酒場を想像するだろうが、旅にとって必需品である回復アイテムが手に入る道具屋もまた、旅人のたまり場なのだ。
 またランシールは大神殿のある神聖な地。
 そんな土地柄もあって酒場が存在しない故に道具屋や宿屋に設けられた食事処が人々の憩いの場となっていた。

「ところで知っているか、ギンガ」

 と、男は口角を吊り上げ自慢げな顔付きをストームへ見せつける。
 本来ならば彼は『ギンガ』と呼ばれることに違和感を覚えなくてはいけないのだろう。
 しかし、これまで『ギンガ』の姿で情報収集をしていたため、『ギンガ』の姿で行った方が何かと都合が良く、そのため今は自ら変身呪文《モシャス》を用いてギンガの姿に変装していたのだった。

「この世界のどこかには竜の女王ってのが存在しているらしい」
「それはただのおとぎ話だろ。よくある話だ」

 そう言って呆れた顔を浮かべながらストームはグラスの水を飲み干す。

「いやそれが本当だって。確かにおとぎ話級かもしれないが、カザーブより東の未開拓地に住んでいるんじゃないかって」
「誰が言っていた?」
「そ、それは…投獄中の知り合いの盗賊から…」

 ため息を洩らし、ストームは踵を返す。
 が、慌てて男は彼を呼び止めた。






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