語りべ管理者

竜の伝説〜飛翔〜
〜そして伝説へ〜

2017年11月の交換日記

2017/11/28(火) 語りべ
タイトル 役に立ちたい1 今日の気分次回更新は12月5日(火)予定です









 止む事のないムクロとの戦い。
 しかし、場所が町中であるためストームたちは防戦を強いられていた。
 下手に攻撃してしまうとまだ逃げまどっている一般人にまで危害を加えてしまいかねないからだ。
 
(せめて町より外に誘い出さなければ…!)

 そう思いながらストームはハンドの攻撃を受け流していた、そのときだ。
 スイリの叫び声が聞こえてきた。

「危ないっ!!」

 そう言って駆けて行く彼女の先には怯えた顔で此方を見ている少女の姿。
 恐怖に竦んでしまったのだろう。
 身動き一つ取れず、青ざめた顔で硬直している。

「そんなに“アレ”が気になりますか?」

 と、彼女の声に気付いたハンドが不気味に口角を吊り上げる。
 彼が何を考えているのか、ストームは直ぐに察しが付いた。

「ちッ…!」

 舌打ちを洩らし、ハンドが動くより早く踵を返すストーム。
 
「ホント、貴方たちはこういうのに弱いですよねぇ」

 口元を歪ませながらハンドはその手を怯えている少女へと向けた。
 が、生み出された火球は少女に放たれることなく。
 先ずはとばかりにスイリへ放たれたのだ。

「キャアッ!」
「先に小賢しいのを撃破して…」

 火球を喰らい、悲鳴をあげるスイリ。
 それからハンドはすぐさま少女にもう一度火球を向ける。

「今度はもっと強いのでいきますか」

 その一撃は躊躇うことなく少女へと放たれる。

「くそっ!」

 火球より早くと願いながら、ストームは少女を庇うべく走る。
 だがあと少し、というところでハンドがまた口を開く。

「はい、これで鬱陶しいのが一人」

 そう言うと彼はもう片方の手で火球を生み出し、それをストーム目掛けて投げつけた。
 ハンドが放った火炎の一撃がストームへと迫る。
 が、喰らうその瞬間。
 誰かが彼を突き飛ばした。







2017/11/21(火) 語りべ
タイトル その頃二人は2 今日の気分次回更新は28日(火)予定です



 手加減をしている。というわけではなかったが、どうにも先ほどから集中力が散漫になっていた。
 原因は魔物退治開始に聞いた爆発音にあった。
 あの爆発は何だったのか。
 レオは違うと即否定したが、もしかすると魔物の襲撃ではないのか。
 そんな一抹の不安を抱いてしまってならないのだ。

「やっぱりちょっとランシールに帰らない?」
「なんでだよ」
「なんとなく…?」

 と、そのようないい加減な理由を言われたところで納得するレオではなく。

「まさか俺に勝ち逃げされるのが嫌とかってわけじゃねぇよな」
「そんなまさか」

 その返答も間違いであった。
 直後レオは更に不機嫌そうな顔を見せつけ、「じゃあ勝負続行だろ」と言ってサンドイッチを頬張った。
 思わぬ地雷を踏んでしまったと後悔する反面、アルスはレオの珍しい横顔に苦笑をせずにはいられなくなる。
 いつもは皮肉屋で皆を陰でまとめるような冷製な顔ばかり見せている彼が、今はそれとは違う——あの子供の頃のような無邪気な一面も窺えるからだ。

「そんな怒らなくても」
「別に怒ってねえよ」

 二人はそう言い合ってサンドイッチを食べきり、魔物退治を再開するべく立ち上がった。
 丁度そのときであった。
 二度目の爆音——ムクロの襲撃——が聞こえてきたのだ。







2017/11/21(火) 語りべ
タイトル その頃二人は1







 ストームとスイリ、リルムたちがムクロと戦っている一方。
 アルスとレオはランシールの外れ——草原で鍛錬がてらに魔物退治をしていた。
 
「良い感じに温まって来たな」
「そうだね」

 二人はそう言って笑みを浮かべながら、額に流れる汗を拭う。
 空は日が昇り切ったという頃合い。

「少し休憩しようか」
「ああ、腹減ったしついでに飯にしようぜ」

 そう言うとレオは自身の道具袋からサンドイッチが入った籠を取り出す。

「いつの間に…用意が良いね」

 するとレオは此処(ランシール)についた際に買っておいたと言いながら、アルスへバゲットサンドを手渡す。
 新鮮そうな野菜やハムが挟められたバゲットサンド。
 アルスはそれを零さないよう慎重に、大きく口を開けて頬張った。

「アルスは何体くらい倒した?」

 レオもまた自分のサンドイッチを口に運びながら、アルスへおもむろに尋ねる。
 夕暮れまでの魔物退治合戦。
 レオにとっては重要な対決のようで、その向けられている眼差しもいつもより力が入っているように見える。
 アルスはこれまで撃破した魔物の数を思い返し、それを答える。

「10体くらいかな」
「全然じゃねーか。俺なんか17体は倒したぜ」

 そう自慢げに話すレオに、アサは苦笑を浮かべる。

「すごいね」

 しかし、その返答にレオは不機嫌な顔を見せる。

「お前…もしかして手加減して戦ってるだろ?」

 粘り着くような視線を向けられ、アサは咄嗟にかぶりを振って否定する。
が、実際のところは彼の言う通りであった。





2017/11/08(水) 語りべ
タイトル 突然の襲撃者6 今日の気分次回更新は21日(火)予定です




「言うと思ったよ」

 二人の覚悟が固まったところに、ゆっくりと粉塵の向こうから姿を現すムクロのハンド。
 彼の表情には、さきほどまであった余裕の笑みはない。

「随分変わりましたね…貴方の様なタイプ人間が、まさか他人と協力戦に出るだなんて。本当に意外です」

 その口振りは驚いているというよりは、ストームを挑発しているようにも聞こえる。
 だが、彼はその口車に乗る事はない。



 本当はこの自身の手でムクロを葬りたい、倒したいと思っている。
 ギンガをムクロへと変えた元凶に怒りをぶつけるだけぶつけたい。
 そう思っている反面、彼は期待もしているのだ。
 この場にいないが、これからここに来るだろう勇者なら。
 この身に燻る怒りを沈ませ、その上でこの憎き男をも助けるのだろう。
 アイをギンガに戻したときのようにしてしまおうとするのだろうと。
 それは諦めにも近い、しかしながら強い期待であった。
 以前の自分ならば、絶対に抱かなかった感情。

(奴の言う通り、随分と自分は変わってしまったようだ)

 と、ストームは自然と笑みを浮かべながら、誰に言うわけでもなく言った。

「…ああ、自分でも驚いている」








2017/11/08(水) 語りべ
タイトル 突然の襲撃者5










「おやおや、貴方一人で私に勝てると思ってるんですかぁ。それは心外です」

 挑発的な言動で余裕を見せているハンドに、ストームは自身の剣へ更に強く力を込めていく。
 互いに一歩も譲らない中。
 ストームはハンドを睨みながら告げた。

「…誰が一人だと言った」

 直後、ストームはつばぜり合いを止め、自身の刃と共に体を後退させた。
 彼が飛び退くと同時に、その背後から突然疾風の一撃が飛び込んで来た。
 すかさずハンドは後退し、攻撃をかわそうとするも避けきれず直撃する。
 彼は小さな呻き声を上げながら、後方へ吹き飛んだ。

「ストーム!」
「ストームさん!」

 ストームの背後から聞こえてきた女性たちの声。
 彼女たちは駆けつけなりストームの隣に並び、各々の武器を構えた。

「凄い爆音が聞こえたから来てみたら…あれってもしかしなくともムクロだよね!」
「あれがムクロ…まさか街中でムクロとバトルだなんて…恐ろしいです」

 初めてムクロと対峙するリルムと初めて見た素顔のムクロに困惑を隠せないでいるスイリ。
 と、僅かに震えている少女たちを、まるで焚きつけるかのようにストームは言う。

「あいつはこれまでのムクロとは違う…怖いなら下がっていても構わないが…?」

 すると少女たち——スイリとリルムは迷う間もなくかぶりを強く振り、強い眼差しでストームを見つめた。

「そんなことはしないよ!」
「そんなことはしません!」

 力強く重なる言葉に、自然とストームの口元に笑みが零れる。




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