桜井 四方猿飛 佐助月影 輝夜真田 幸村other*

たとえば、残夜のしっぽを掴まえて
Chapter12.Spring has just come.

次は *


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交換日記レンタル - nikkijam

2017/03/21(火) 19:48:19 other
タイトル Chapter12-1015 今日の気分毛利元就



「好いた人間のことならば目で追うであろう」
「今更そんなことを言われると思わなかったよ。開けちゃいけない箱を開けちゃった気分。でもこれは自業自得なのか」

暴こうとしたのはわたしだねと元通りに包みを閉じながら四方が言う。
今度は四方の方が息を吐く番だった。

「自分の真意なんて知らなくていいって言っといて急に爆弾落としてくのはどうかと思うけどね」
「気が変わった、それだけだ。それこそ貴様が知らずともよい」
「そうだね、もう無理に知ろうとするのはやめとく。元就、わたしは君につらい思いをさせていたかな?」
「ずいぶん傲慢なことを言うではないか。不憫に思われる理由などどこにもないわ」
「そういうつもりはないんだけど。何を言っても独りよがりなのは変わらないんだけど、ありがとうってそれだけは言っとく。それ以外は言わないようにしとく」

ありがとう。そうやって四方は何度も元就に伝えた。
重ねた言葉が何に対してなのか、今何を思い返して彼女は言葉を紡いでいるのか。
それを元就が知る術はないけれど、言葉の数だけ四方の中に自分との思い出があるというのは悪くないと真実そう思える。

2017/03/21(火) 19:47:47 other
タイトル Chapter12-1014 今日の気分毛利元就



「ねえ、開けてもいいよね?」

いいでしょうと目を覗きこまれる。
拒否をしてもきっと四方は聞かないだろうし、そもそも既に所有権は相手の方にある。
だから元就は好きしろと言い放つ。
それが何でもないことのように、わざわざ気に留めるほどのことでもないのだと自分に言い聞かせるみたいに。

「元就ってさ、何だかんだで相手のことちゃんと見てるよね」
「どういう意味だ」
「言葉のまんまだよ。裏もないし、嫌味でもない」

包みの中からボディークリームと入浴剤を取り出す四方。
食品は敢えて避けた。
見かけによらずに大食漢な彼女だから菓子が一番収まりどころがいいとは思ったが、家族と分け合って食べられるのは正直面白くなかったからだ。

「こういうのってローズの香りを選ぶのが多いと思うんだよね。実際わたしもよくもらうし」
「貴様、好かんと前に言っていたではないか」
「違うよ、同じローズでも好みがあるって言ったの。でもこのメーカーは確かに苦手な方だったかも」
「だから何が言いたい」
「いや、わたしがここのハンドクリームを愛用してたの知ってたんだなって思ったの。だって同じ香りなんだもん。だからよく見てるなって」

偶然だ、と誤魔化しておくことは難しいことではない。
むしろ簡単すぎるくらいで。
ただその分自分の願望からは大きく懸け離れていく、罠のような選択肢だった。
短く息を吐き出した。
その吐息が自嘲のような、呆れのようなトーンでもって耳の奥に響く。

「まあ見るであろうな」
「お? そんなに興味をひくような要素あった?」

四方が自力でその解に辿り着くことはないのだろう。

2017/03/14(火) 23:57:20 月影 輝夜
タイトル Chapter12-1013



「そ、それは……お付き合いをしたいという意味でござる」


顔を真っ赤にしながら告げた言葉に輝夜も自然と顔が赤くなる。
そんな彼を見つめながら、今まで挙動不審だったのもこういうことだったのかなと今考えなくていいことを考える。
輝夜自身は彼に対してどんな感情なのか自分でもよくわかっていない。
だが、幸村からの告白を嬉しいと感じたのは事実で、それが答えのような気がした。


「えっとね、正直に言うと嬉しい。ただ、今まで恋愛ってしたことないから好きっていう感情が、その、よくわからなくて…。でもね、幸村は他の男子とは違うっていうのは最近感じてたんだ」
「うむ…」
「ごめん。何かよくわからなくなってきちゃった」
「いや、輝夜殿らしいと思ったでござる。某もこれが初恋だから色々わからぬことだらけであるし…」


幸村がフォローしてくれようとしている姿を見て、輝夜はキュンとした。
他の人たちとは違う。
それだけでもいいんじゃないかと思った。
理屈なんてきっといらないのだと。


「私もわからないことだらけだけど、よろしくお願いします」
「そ、それは…OKということでござるか…?」


うんと答える輝夜の顔は更に真っ赤になり、幸村は幸せな気持ちになり、涙が溢れてくる。
それを見た彼女は戸惑い慌てる。


「え、ちょっと、何で泣いてるの?大丈夫?」
「だ、大丈夫でござる。これは嬉し涙だから…」
「も、もう、そんなことで泣かないでよ!これからは男として引っ張っていってもらわないと」


彼女の言葉にはっとなるものの、涙はまだおさまらず、涙をこぼしながら頑張ると一言告げた。
そんな彼をぎゅっと抱きしめると幸村からひゃあという情けない悲鳴が上がり、輝夜は笑う。
やっぱり幸村は幸村だ。
それに安堵し、輝夜はもう一度抱きしめる。


「か、輝夜殿…!た、確かに恋仲にはなったが、だからといって、ほ、抱擁は破廉恥であるぞ!」


顔を真っ赤にしながら言う幸村を見て、色々と時間がかかりそうだなぁと思った輝夜であった。

2017/03/07(火) 22:00:48 桜井 四方
タイトル Chapter12-1012



「そう、じゃあ別に聞きたがらない」

それでよいと元就は静かに笑った。
こんなふうに和やかな笑い方をする元就を前にするのは初めてな気がした。
四方もつられて目元を和ませる。

「そんな柔らかい表情できるんだね。もっとそういう元就を見たかったよ」
「何を今生の別れのようなことを言っている」
「仰る通り。感傷的になる必要はないのか」

学校は違えど連絡ツールや交通網の発達した昨今は数字で表された距離と現実はイコールではないのだろう。
話したければすぐに話せて、会いたければすぐに会える。

「でもまあ別れは別れだし。元就、握手をしよう。元就はわたしの唯一の共犯者だったよ」
「何だそれは。何一つとして嬉しくない言葉だな」

でも笑ってるじゃない。そう言って四方は差し出された右手をとった。
細くて骨ばった指。
そういえば去年の今頃はこの手を繋いで学校から寮までの道を一緒に帰っていたのだなあと思うと感慨深い。
わたしだけの共犯者、そんな友人を持つのも悪くはないなと微笑がこぼれた。

2017/03/07(火) 22:00:31 桜井 四方
タイトル Chapter12-1011



おい、と不遜な物言いが降って来る。
呼ばれた通りに声がした方へ顔を向けると階段を降りてくる元就がいる。

「あら、どこにもいないと思ってたら」

元就の方から来たか、と四方は口角を上げた。
もしかして探していたかと問えば元就は不機嫌そうな双眸をさらに細くして睨むように四方を見る。
ああ、機嫌を損ねてしまったと。大して気にも留めていないのだが、四方はその反応に彼の心情を忖度してみる。
思うに不機嫌なのは自分が見つからなくて歩き回った挙句、それを自分が気に病んでいないせいだろう。
元就が自分を探していたのは最前の家康同様にホワイトデーの慣例のためだろうから。

「礼儀であるからな」

ほとんど押し付けられるような状況で渡された包みを四方は両手でしっかり受け取った。
何を思ったか幼馴染み二人は、先に行くと四方に告げて足早に廊下を過ぎ去っていく。
静かな廊下に二人きりにされるのは思ってもいなかった展開だった。

「ありがと。元就、ありがとね」
「二度も言わずとも聞こえている」
「最初のはお返しの方に対して。最後のは学校生活に対して」
「後者に関してはお互い様であろう」
「やだ、元就がわたしに感謝の念を抱いてたなんて。槍でも降りそう」
「貴様はそうであろうな。我の真意など知る由もないし、知らなくてよいことだ」

半兵衛みたいなことを言うなと四方は率直に思った。
勿体ぶった思わせぶりな発言。
その意図するところは何となくわかっていたけれど、自分はそれに応えるつもりもないし、相手が伝えまいとしている感情を引き摺り出すほどの性根は曲がっていないつもりだ。

2017/02/28(火) 23:50:23 真田 幸村
タイトル Chapter12-1010



「わー、すごく可愛い!」


思わず声を上げた輝夜を見て幸村は息を吐く。
気に入らなかったらどうしようなどと不安だったが、彼女は本当に喜んでいるように見えて安堵していた。


「これ幸村が選んだの?」
「も、もちろんでござる…!」


佐助に付き合ってもらいながら一生懸命選んだものはペンダントだった。
輝夜に似合うんじゃないかと思って選んだものを彼女が気に入ってくれたことに幸村は今までに感じたことのないほどの喜びを覚えていた。

早速つけようとする輝夜に自分がつけると震える手でペンダントを受け取り、彼女の後ろに回る。
今までしたことがない上に女性の肌に触れそうになり、先程以上に手が震え、なかなかつけることができず、悪戦苦闘していると「大丈夫?」と心配され、どもりながら「だ、大丈夫!」と返事をした。


「つ、つけ終わったでござる…!」


無事にペンダントをつけ終えた頃には幸村は汗だくになっていた。


「大丈夫?すごい汗だよ」
「こ、これぐらいどうってことないでござる。そ、それより、き、聞いてほしい話があって…」


まだ大したことは何も言っていないのに既に顔が真っ赤で輝夜は心配そうに彼を見つめていて、しっかりしなければと自分を奮い立たせる。
ここで伝えなかったらこの先もずっと伝えられなくなってしまう。


「そ、某はそ、その……輝夜殿のことが、す、好きでござる…!」


力が入りすぎてしまい、無駄に大きな声を出してしまった。
輝夜はその勢いにびっくりしたのか目を丸くしている。


「す、好きって、どの好き?」
「ど、どの好き…?」
「うん。ほら、友達としての好き、とか色々あるじゃん」
「そ、それは……お付き合いをしたいという意味でござる」


ここで逃げては意味がないと目を見つめて伝えると、彼女の頬が真っ赤になった。
これはいい返事なのかと期待するが、焦るなと落ち着かせる。


「急ではあるが、返事をもらえるだろうか…?」


どんな返事でもどんと構えて受け止めるんだと言い聞かせながら彼女の返事を待つ。
その静かな間がかつてないほど長く思えたのだった。

2017/02/20(月) 22:41:32 other
タイトル Chapter12-1009 今日の気分徳川家康



「私とて憐れみの心くらいあるのですよ」
「哀れんでもらわずとも結構だ。ワシは明智ほどつらい思いはしてねぇからな」
「そういうところを私は哀れんでいるのですけどねえ」

いっそう悲壮感をにじませて明智は表情を歪めた。
顔の造りは良い男だ。そういう顔をするとすごみが増す。

「それでも言わせてくださいよ。隣人として。しがらみに囚われているよりは行動に起こす方がずっと気は楽ですよ。あれもまあ貴方のように頭で考えてばかりで行動には移せない性質ですから、一度揺さぶってやれば変わるやもしれません」

幸運をお祈りしていますよ。
そう告げ、言いたいことを言ってすっきりしたらしい明智はさっさと姿を隠してしまった。

世間体だとか関係性だとか。そういうことを言っていたら何も始まらないというのはわかる。
けれど始まらない代わりに終わることもない。
単純な損得の問題ではないけれど、簡単に選び取れるような選択肢ではないのだ。
他人に語って聞かせるのは容易だが、いざ自身が当事者になったらきっと誰もが簡単には決められないだろうと家康は思う。

2017/02/20(月) 22:41:06 other
タイトル Chapter12-1008 今日の気分徳川家康



首筋に触れるひやりとした気配。
慌てて振り向けば廊下の曲がり角から家康を見つめている目がある。
白銀の髪が換気のために僅か開けられた窓から滑り込んでくる風に揺れている。

「げっ、明智」

びっくりさせるなと家康が胸を撫で下ろせば、明智はさらに肝が冷えるような笑声を漏らす。

「相変わらず意気地のない方ですねえ」
「う、うるせえ」

結局この男は場を引っ掻き回したいだけであり、自分のことを心底慮って発言しているわけではない。
そういうことを彼は理解しているからできる限り平静を装って切り返す。
期待する反応が得られなければ興味を失ってあっという間にどこかに行ってしまうはずだ。
むしろそうであってくれという願望を強く抱いて唇を一文字に引き結ぶ。

「今月いっぱいはあれも生徒ですが、まあその後は関係ないじゃないですか」
「余計なお節介焼いてくれなくていい」
「友人の助言もきいてくれないとは嘆かわしいことです」
「オメェは別にワシのことを友だなんて思っちゃいねぇだろ」
「はて……私とあなたは友人ではないのですか?そうですねえ、友でないというのならば同族でしょうか」
「――被害者ってわけか」

巽に振り回される者同士という振り分け方に異議は唱えられそうにない。
それは確かに事実で覆りようもない。


2017/02/14(火) 23:56:15 真田 幸村
タイトル Chapter12-1007



手伝いを終えた後、皆と別れると幸村は時計を見ては溜息をついていた。
輝夜との待ち合わせ時間が近づいているからだった。
自分から誘いのメールをしたものの、先程から緊張が止まらない。
そろそろ待ち合わせ場所に行こうと思うが、足の震えもあり、なかなか進まず、また溜息がこぼれる。
幸村は手にしているホワイトデーのお返しを見て、自分を奮い立たたせる。
自分の頬を叩き、気合いを入れて待ち合わせ場所に向かった。


「まだおらぬか…」


まだ輝夜の姿がないことに安堵し、深呼吸をして待っていると、足音が聞こえ、顔を上げると輝夜の姿があった。


「輝夜殿…!」
「ごめん、待たせちゃったね」
「いや、某も今来たところでござる」
「優しいね」


ふふっと笑う輝夜に幸村の顔が真っ赤に染まる。
それを見て彼女は驚き、どうしたのと幸村の肩をバシッと叩く。


「い、痛いでござる…」
「ごめん。力加減間違えた!」
「輝夜殿らしいが…」
「どういう意味?」


じろっと睨まれ、幸村は何でもないと首を振る。
これからのことを考えると雰囲気を悪くするわけにはいかず、幸村は慌てながら話題を逸らそうとすると、輝夜が笑う。


「いつにも増して変なの。そうだ、呼び出してどうしたの?」
「あの、その、こ、これを、わ、渡したくて…!」


幸村はずいと紙袋を差し出すと輝夜は首を傾げる。
ホワイトデーのお返しは先程もらったから他にもらう理由はない。
一体どういうことなのかと思っていると、幸村口を開く。


「あの、先月二つもらったから…」
「あ、そうだったね。それでわざわざ二つ用意してくれたの?ありがとう」
「ど、どういたしまして…」
「開けてもいい?」


もちろんと頷く幸村に輝夜は微笑みながらラッピングを開け、目を見開いた。

2017/02/07(火) 19:35:29 桜井 四方
タイトル Chapter12-1006



やがて戻って来た家康は小さな紙袋を四方に手渡した。
他の奴にはあんま言うなよ、とのメッセージ付きで。

「あ、チョコのお返しだったか。気にしなくていいのに。でもありがたくいただきますね。千代さん、ありがと」
「貰ったものには返さなきゃなんねぇからな」

律儀なことだねと当て擦りのようなことを半兵衛が言うものだから家康は途端に慌てる。

「人として当然の礼儀じゃねぇか!」
「別に僕は何も言ってないじゃないか。家康くんがどうしようと僕には関係ないしね」
「あー千代さんごめんなさい。半兵衛ってば今日ご機嫌ななめなの。千代さんも忙しいだろうし、わたしたちも挨拶してまわらなきゃだからこの辺で行きます。本当にありがとう千代さん」

また近々お店の方に来てよと四方は手を振って笑った。
快活な返事がかえってくる。
教師と教え子という関係ももう終わるのだと思うと何だか変な感じでもあった。
家康は確かに兄の友人であり、この関係に至る前からの付き合いだったが、教師と教え子という関係が長すぎた。
それでも気が付いたらそんなことに戸惑いを覚えていたことすら忘れてしまうのだろうなとも思うのだった。