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交換日記レンタル - nikkijam

2017/04/19(水) 22:49:16 夾栖 要
タイトル 削除防止


ああ、今日はよく飲んだなぁ。くらくらするけど何だか楽しくてたまらない。
顔も熱いし、体もどこかに浮いてるみたいにふわふわしている気がする。

「飲みすぎ、ほら、水飲んで」
「やぁだぁ」

ベッドに凭れ掛かる様に座って居れば、何処か心配そうな顔をしている大好きなカレシの顔が見える。コップを差し出してくるのに首を振れば、一つ息を吐き出した。
よく見れば恋人の顔も少し赤い気がする。
そう言えば、今日は恋人の家で飲んでそのまま泊まる予定だったんだ。
恋人の姉ちゃんが彼氏と一泊小旅行に出かけると聞いて、止めてくれと強請ったんだっけ。下心満載で。

「ふぅみぃ、しよ?」
「はぁ?そんな状態の奴とはしねぇよ。それより水」
「むぅ……意気地なし」
「なんとでも言え、酔っ払い」

滅多に泊まることのない恋人の家にお泊りの時点で俺のテンションは上がっていた。嬉しさのあまりに酒をよく飲んだのも覚えているけれど、どうして目の前にいる恋人は普段と少しも変わっていないのだろう。
俺と同じように飲んでたはずなのに。もしかして結構酒に強い、とか?

「要、水飲んで」
「そんなに飲ませたいならぁ、飲ませてよ」
「ほら」
「そうじゃなぁい!口移しで飲ませて?」
「えぇ?!」
「そうじゃないと、飲まないっ」

水を飲めとしつこい恋人に、飲ませてくれと迫ってみればコップを前に差し出してくる。
俺が求めているのはそう言う事じゃないと、してほしいことを告げて顔を背けた。
少し困った様に驚いている顔は結構俺が好きな表情だったりする。この後どうするのかと楽しみにしていると、顎に指がかかり前を向かされた。
恥ずかしそうに少しだけ視線が伏せられていたけれど、ゆっくりと近づいてくる顔に目を瞑った。
唇に柔らかな感触があって、その後少し温くなった水が口の中に入ってくる。
味わう様にゆっくりと飲み干すと、体の中に恋人の熱を取り込んだような気分になった。

「ね、おかわり」
「っ!……いくらでも飲ませてやるよっ」

本当に面白い。顔を真っ赤にさせて、再び水を含んでゆっくりと近づいてくる。
今度は自分から重ねに行って、ぬるくなった水を体の中に流し込んだ。

2016/07/27(水) 22:04:02 夾栖 要
タイトル 削除防止


女の子と付き合ってる時はあんまり思わなかったけど、多分俺はキスが好きなんだと思う。
触れるだけのキス、貪るような激しいキスも、どっちも好きだと思う。強請る様に視線を向ければ、照れながらも応えてくれる恋人はもっと好きだけど。

「んっ」

息をするのも覚束なくなる様なキスから解放されるのと同時に軽く声が漏れた。
ゆっくりと目を開ければ、少し頬を赤く染めた恋人の顔と濡れて艶っぽく見える唇が目に入る。
首に回した手に力を込めて再び顔を近づけると、少し焦ったような声で名前を呼ばれたけれど、そんなのはお構いなしで再び唇を軽く合わせた。
ちょんと触れ合った後、唇をなめてみたり、自分のそれで食んでみたりとキスなのか触れ合いなのか分からない行為を繰り返していれば、肩を掴まれ少し強引に引きはがされてしまった。

「なにすんだよ」
「何はこっちのセリフだ!」

顔を真っ赤にして唇を隠す様に抗議をしてくる照れ屋な恋人にくすりと笑って見せた。

「何ってキスしてただけじゃん?」
「そ、そうじゃなくて……っ!」
「俺さ、ふみとのキスが好きなんだ」

さっきから思っていたことを口にすれば、驚いたような顔になった後、視線を逸らされてしまった。
背中に腕を回して抱きつけば照れながらも抱きしめ返してくれる。それに嬉しいなぁなんて思いながら恋人の顔を覗き込んだ。

「えろいキスも、子供みたいなキスも、全部好き」
「か、要」
「だから、ね?……もっとしよ?」

甘える様に強請る様に、それからちょっと誘う様に囁くみたいに口にすれば、今日一番驚いたような顔をして、それから仕方がないと言いたげに額に唇が押し当てられた。
目を閉じれば今度は唇に触れる感覚があって、隙間から舌が入り込んでくる。
濃厚な空気が部屋の中に充満しているのを感じながら、やっぱりキスが好きだなぁなんて思う。
だけどもっと好きだと思うのは、キスをすれば恋人に愛されているのを感じられるからなんだと思った。
でもそれは、教えてやらない。だって俺と同じように恋人だって感じてくれていると思うから。

2015/07/25(土) 16:22:04 夾栖 要
タイトル 削除防止


もうすぐ帰るの連絡はいつもくる。今日も同じようにその連絡を受け取った俺は、出迎えの準備をした。
鏡に映った自分の姿に満足していれば、玄関先で物音がする。ぱたぱたとかけていくとちょうど扉が開いた所だった。

「おかえりなさぁい、あ・な・た」
「んなっ?!」
「お風呂にするぅ?お食事にするぅ?それともぉ……あ・た・しぃ〜?」

甘ったるい声で、帰ってきた恋人に挨拶をすれば素っ頓狂な声とともに手にしていたカバンがするりと落ちた。
そんなのはお構いなしで、ある意味定番とも言われる言葉を口にしながら近づいて胸のあたりに手を置いた。

「か、かかかなめっ?!」
「どれをえらぶのぉ〜?」

顔を真っ赤にして心底動揺を隠せていない恋人にくすりと笑って尋ねると肩をつかまれ、思い切り引きはがされた。
そんな行動に不満と頬を膨らませればまだ赤い顔をしたままカバンを拾っている。

「な、なんでそのメイド服着てんだよっ」
「だって俺のお気に入りだもん。それに、これ着てシた時気持ちよかったし〜」
「な、ななにっ!」

一緒に旅行に行った際に来ていたメイド服を久しぶりに引っ張り出してきてみたけれど、相変わらずこいつには効果覿面のようだった。
激しく動揺しているのに笑いながら腕を絡めて部屋にはいる様に促した。

「で、どれを選ぶんだ?」
「……飯」
「つまんなぁい!」
「つまんなくていい!……お前は最後」

面白くない返答にぶーたれれば、反論した後にごにょごにょと聞き取りづらくはあったけれど、嬉しい一言が聞こえた。
顔をのぞき見ても、恥ずかしいのか逸らされてしまってよく見えない。
リビングに続く短い廊下を、腕を組んで歩きながらぴったりと体を寄せた。

「どうせなら、今夜は寝かせないくらいのセリフは言ってほしかったなぁ」
「なっ?!」
「まあ、俺を選んでくれてるから今日の所は許してやる」
「……そらどうも」

照れ屋でちょっと口下手で、直ぐに真っ赤になって動揺する恋人だけど、こうして一緒に過ごせるのは堪らなく幸せだ。
俺より高い位置にある顔を見上げれば、目が合って優しく微笑まれる。
そんな一瞬のことがとても幸せに思える――

2014/06/21(土) 16:12:43 夾栖 要
タイトル 約束が叶うその日まで 4 今日の気分end


「だいじょーぶ、虫刺されの痕だと思えば」
「お、おおもえるかぁぁ!」

しれっと笑って言ったのに思える訳がないと叫ばれてしまう。そうかな、なんて笑って俺は一足先に扉をあけて外に出た。
照り付ける様な太陽は眩しくて痛いほどで、今日も暑いのだろうと思う。だけど、この手はいつだって好きな人に触れていたい。
にっこりと笑って手を差し出せば複雑そうな顔をしながらも、俺の手を取って指を絡めてくれる。抱きしめる様にたくましい腕を抱きしめながらべったりと張り付いた。

暑苦しいほどにくっついて、おまけに生々しい痕をお互いにつけた状態のバカップルで、傍迷惑極まりない状態でも、いつだってふみは俺のものだって自己主張して居たい。
今もこれから先も、俺だけだとふみが言ってくれたように、俺も今もこれから先もふみ以外には考えられない。

からかって遊んで、まるでじゃれている様な時間も愛おしい。狂おしいほどの熱を孕んで触れ合う時間も愛おしい。
どんな時だってふみと一緒の時間は愛おしいもので、傍に居てくれるだけで幸せだ。
いつかの約束が叶ったら、きっとこれ以上にないほどに幸せになれるのだろうと、その日を夢見て現実へと帰る。
たった二日間の二人だけの時間がいつかずっとに変わるその日まで、ふみと俺は変わらないまま騒がしくて楽しくて、幸せな日々を送り続けるんだ。

      fin

2014/06/21(土) 16:12:09 夾栖 要
タイトル 約束が叶うその日まで 3 今日の気分next


「帰ったってまた会えるし、夏休み中まだ遊ぶんだろ?」
「もっちろん!いっぱいデートしようねぇ」

夏休みはまだまだある。いっぱいデートしようと甘えた声で言えば苦笑交じりに頷いてくれる。ふみの胸のあたりの服を掴んでちょっと引っ張ると顔が近づいてくる。
それに目を閉じれば、何度も感じた柔らかなものが触れた。

旅行の間だけでも何度キスをしたか分からない。飽きないのかと思うけど、不思議とそう思ったことはない。何時だって触れていたいし、傍に居たいと思う。
ふみは俺にとって特別だから、きっと飽きることなんてないと思うんだ。

「そろそろ行くか」
「……ん」

名残惜しいけど、ふみとの二日間の二人暮らしはこれで終わりだ。行くかと言われて小さく返事をすれば、先に立ち上がったふみが手を伸ばしてくれる。それを掴んで立ち上がった。
部屋の隅に用意してあった荷物のほとんどをふみが持ってくれて、俺は一番軽いものを持たされる。
本物の女じゃねぇんだからそこまで気を遣ってくれなくてもいいのにと軽く笑って玄関に向かう。

しゃがみこんでスニーカーの紐を結んでいるふみの横で俺はサンダルに足を突っ込んだ。そのとき不意に目に入った自分の太ももに見えた紅い痕に小さく笑ってしまう。
ふみは隠せって言ってたけど、着替えの中にそこが隠れる様なものがなかった。俺は別に気にしてないけど、上にも下にもキスマークがある状況に今気づいてしまった。

「何笑って……!」
「きりちゃんがぁ、情熱的にキスマークいっぱいつけるからぁ、隠れてないなぁって」
「う、ぁっ……!お、おま、隠れるような服……!」
「持ってきてないしぃ、このままでいいよぉ」

俺が笑った気配に、またからかわれるのかと若干うんざりしたような声にくすりと笑って足を見せつけながら隠せないのだと告げると、ふみの頬が赤くなる。
ふみの首にだって紅い痕があって、俺にもある。これは周りの人間には相当はた迷惑なこと間違いなしだと思うけど、お互いに主張し合っているのだからまあいいかなんて思ってしまう。

2014/06/21(土) 16:11:39 夾栖 要
タイトル 約束が叶うその日まで 2 今日の気分next


のんびりとした歩調で洗面所に向かえばふみが鏡に向かって何とも言えない表情を浮かべている。どうしたのかとしばらく眺めていれば、首や鎖骨のあたりをやたらと気にしている。
それで何を気にしているのかわかった俺は小さく笑って静かにふみのもとに近づいた。

「きーりちゃん」
「わっ、か、要……驚かせるなよ」
「なぁにぃ?あたしに気づかないほどに、キスマークを眺めてたのぉ?」

声を掛ければ、びくっと肩を震わせて驚いたなんて言っている。それにくすりと笑って、見ていたものを揶揄すれば複雑そうな顔をしている。
ふみが今着ているのは、特別首回りが大きく開いたTシャツというわけではない。それなのにばっちりといくつかの痕が見えている。

「改めてみると目立つよな」
「それはお互い様ってもんじゃね?」

ふみの隣に立って鏡に映った俺の首元にもいくつかの紅い痕がる。タンクトップだからと言うのを差し引いても目立っている。
ストールを巻いたっていくつは隠れきらないだろうなと思うそれに、お互い様と笑ってみせると、それもそうかと苦笑が帰ってくる。
先に顔を洗い終わったのか、朝飯を作ると言い残してふみが出て言ってしまう。俺はさっさと顔を洗ってふみがいるであろうリビングに向かった。

ふみが作ってくれた朝飯を食べた後は、帰り支度を始める。チェックアウトぎりぎりまでの時間まで居るつもりだから、そう慌てなくてもいいんだけど。
簡単に化粧を施して、服を着替えればいつも通りに『あたし』が完成する。ボストンバックに荷物を詰めて、お土産は出来るだけまとめて数を少なくする。
ほぼ片付けも終わりあとはもう帰るだけで、もう少し時間に余裕があるからとソファに座って休憩することにした。

「帰るのやだなぁ」
「お前はそればっかだな」
「……そんくらい離れたくないんだって気づけよ、ばか」

帰りたくないとわがままを言ったって仕方がないとわかっていても出てしまう言葉に苦笑されてしまう。
むぅっと頬を膨らませてふみを見れば、それは自分も同じと笑ってかるく頭を撫でられた。

2014/06/21(土) 16:10:53 夾栖 要
タイトル 約束が叶うその日まで 1 今日の気分next


頬にくすぐるように何かが触れる。くすぐったいような心地いいようなそれに少し身ぶるいするとくすりと笑ったような気配がした。
なんだろうと重い瞼を持ち上げると、黒い髪と焦げ茶色の瞳が視界に入った。何度か瞬きをして目を開けると、優しく笑った恋人がゆったりと頬を撫でてくれる。
くすぐったかったのはふみの手だったのかなんて思いながら体を寄せて胸の中に顔を埋めた。

「起きたんじゃねぇの?」
「……起きたよ、でもこうしたい」

寝ぼけているのかと笑うのにこうしたいのだと告げてふみの胸の中で大きく息を吸い込んだ。ふみの体温にふみのにおい。今日はちゃんと起きるまで傍に居てくれたことが嬉しくて、胸のあたりのTシャツをぎゅっと握りしめた。
俺のそんな行動に微かに笑ったふみは優しい手つきで髪を撫でている。

「おはよ、ふみ」
「おはよう、要」

埋めていた顔をあげて、おはようと笑いかけると同じように笑って返事があった。それに幸せだなぁなんて思いながら目を閉じて唇を差し出す。
少しの間があって、ちょんと触れるだけのキスをくれたふみが照れたように俺の体を押して上体を起こした。
それにくすくすと笑いながら同じように起き上って両手を思い切り伸ばして、伸びをした。

「体、辛くないか?」
「へーき」

昨晩のことを思ってか、心配してくれるのにこれくらい平気だと笑い掛ければほっとしたような顔をして先に洗面所に行くとベッドから降りてしまった。
その背中を見送ってもう一度伸びをしてから俺もベッドから降りた。

腰の奥にある違和感はいつもの事で、もう慣れてしまった感覚だ。しばらくすればそれさえも気にならなくなる。ふみはいつだって心配してくれているけど、別に病気でもないし、自分が望んでいることだからそこまで心配しなくてもいいのにと思う。
だけどそれがふみの優しさで、俺を大切に思ってくれているからだと分かっているから、声を掛けてくれるのも嬉しいんだ。

2014/06/21(土) 11:41:09 藤 桐史
タイトル 安らかなまどろみの中で4 今日の気分end


高々一大学生、ちゃんと守ってやれる保障も力もないのにそんな事させられるわけもない。
苦笑して髪を撫でるのに、何でだと言いたげな瞳が見上げてくる。

「大学も後一年、半、だし……お互いに、我慢」
「ふみがなに我慢してんだよ?」
「してるぞ……お前の周り囲んでる奴、とか、よく触ってる奴……とか、外でも」
「……そっか」

そんなに長くもないのだからと、途切れ途切れになってきた言葉で言うのにいつ我慢してるんだと要はちょっとムッとする。
これでもいっぱい耐えてはいると答えて、腕の中に納まっている柔らかで癖のない髪を撫でる。
結構大変なんて小さく笑うのに、じゃぁ我慢するかなんて言葉とは裏腹に満足そうな声が聞こえた。

「ふみ、眠い?」
「ん……少し」

何度も眼を擦っている手を止められて、少し状態を起こした要が覗き込んできて、それはだいぶだろと笑ってゆっりと頬が撫でられた。
その温もりにまたふっと意識が落ちかける。
無理しなくて良いと言う声が聞こえてくるけれど、小さく首を振る。

足りないんだよ。
明日には帰らなきゃいけない。
二人だけで時間を気にせずに過ごせる事なんて今までなくて、ずっとこんな風にしていられたらと思わずにいられない。
もっとこんな時間が続けばいいのにと思っているのは要だけじゃない。

「かなめ……」
「なぁに?」
「大学、でたら、いっしょ……住めるよ、うに……おれ、がんばるから」
「……うん、俺も」

上手く言葉が紡げているのか分からない状態で伝えた本音に、柔らかい声で返事があって「大好き」と子供みたいにたどたどしい言葉で告げれば、少しぼやけた視界の中で要が笑ったように見えた。

からかわれてからかって、馬鹿みたいに周りには見える関係でも。
たぶんお前となら悲しい事とか辛い事とか、そう言うのも全部ひっくるめて幸せなんだなって笑って生きていける気がする。
傍にいてくれるだけで幸せを感じていられるんじゃないかと思うんだ。

「おやすみ、ふみ」

微笑み返せば、優しい声と共に柔らかな温もりが額に落ちてくる。
要の言葉に返事が出来たのか分からないまま、包み込まれるみたいにゆっくりと眠りに落ちた。

2014/06/21(土) 11:40:32 藤 桐史
タイトル 安らかなまどろみの中で3 今日の気分next


子供かよと思いながらぽすっと胸へと預けられた頭を撫でながら苦笑する。
暫くそうした後、不意に襲う睡魔に間の抜けた声を出し欠伸をすれば視線が上がって小さく笑う。

「寝よっか」
「ん」

明日は帰るのだし、いつまでもだらだらと寝ていて良い訳でもない。
そう思うと急速に重くなる瞼を擦って要の言葉に頷く。
要より一足先に立ち上がって、ベットへ潜り込んだ。
そう時間はかからずベットに上って笑いかけてくるのに片腕を差し出すと、当然のようにそこに頭が預けられる。

「お前、さっきなんか女の子がどうのっていってたけど」
「うん……」
「そもそも誰がどう思ってようと、オレはお前しかみてねぇんだし関係、なくね?」
「!……そ、そうだけど、他の奴に彼氏かっこいいとか優しいとか、頑張ってみようかとか、噂されてんの聞くのやじゃん」

眠気の所為か少したどたどしく思うことを口にすれば、一瞬要が眼を見張った気がした。
少し恥ずかしそうに向けられた視線に自然と頬が緩んだ。

「じゃぁ……いっそ恋人が……いますよって公言、しとくか?」
「ん。それが良い。一番は俺が彼氏だって言えればいいんだけどなぁ」
「バーカ。オレじゃね、んだし、それやったら困るの、お前だ」

まどろみ落ちていきそうな思考で考えた事を口にすれば、それが良いなんて頷いて、さらに出来るわけもないことを口にする。

元々一人でいるのも苦にならないからオレはそこまで親しい関係を築いている訳でもないし、以前はたまには大学の奴とも付き合うようにはしていたけれど要と関わってからは本当にその辺の奴らとも大学で顔を合わせて話す程度で、それ以上の時間を割く事もしなくなった。
でも要はオレとは違い、元々人付き合いを好んでやっているほうだ。
今だって大学に行けば多くの人間に囲まれて楽しそうにしている。
そんな中で男同士で付き合っていると公言すれば、噂はあっという間に広まって居心地が悪くなるのはオレより要だろう。

「ん?俺はいーよ?だってふみが居れば他はなんも要らねぇもん」
「……それじゃ、世の中でやってけねぇぞ」

あっけらかんと何でも無い事だと笑って見せる要の気持ちは素直に嬉しい。
けれど、それで済むほど世の中は楽なもんでもないだろう。

2014/06/21(土) 11:38:25 藤 桐史
タイトル 安らかなまどろみの中で2 今日の気分next


「してるって言ってるだろ!お前しらねぇの?女子の間で「藤くんって優しくてよく見るとカッコいいよね」って噂 になってんだよ、ばか!」

あまり聞きたくない言葉と共に、なんだか覚えのない話まで付属されそれはないと首を横に振る。
直後にかなりきつい口調で捲くし立てられ唖然とせざるを得ない。
そんな噂しらねぇよっ。ってか、そんなん女子の間で勝手にネタにされてるだけじゃねぇかよ。

「それ単純に会話の中でネタにしやすい奴で引っ張り出されてるだけじゃねぇの?」
「おま……ほんと鈍感。ばかふみ鈍感ふみ!」

思ったままを口にしたら、さらに怒らせたらしい。
完全に背を向けてせっせとメイド服をしまう要に呼びかけても振り返ってくれない。

「か、要、怒るなよ。要くーん」
「べっつにぃ、怒ってねぇよ。馬鹿ふみはさっさと寝ればぁ」
「お、怒ってんじゃねぇかよぉ」

近づいて顔を覗き込もうとしてもツンと背け、吐き出される言葉はチクチク刺さしてくる。
情けない声を上げて謝ってみてもそれは変わらず、もう知らないと一蹴された。

「い、今はお前だけだし。こ、これからも要だけだから……」

ああもう、なんでこうなんだよ。
宥めようと発する言葉はどれもこれも要を逆撫でしてるみたいだ。
過去の事とはいっても気になるのもお互い様。オレなんて付き合ってもない男に嫉妬するほどなんだから人の事なんか言えやしない。
過去をどう言っても仕方がない話で、当たり前だけれど今はなんてことを思ったままに口にすれば、漸くそろりと視線が戻ってくる。

「ほんと?俺だけ?これから先もほんとに俺だけ?」
「え、あ、うん」
「ほんとに?絶対?」

問い返されて、随分恥ずかしい事を言ったのだと気づき視線を彷徨わせながら頷けばちゃんと自分を見て言えと服の袖を掴まれた。

「……今も、これからもお前だけだ」
「そっか、じゃぁ許してやるかぁ」
「それはどうも」

視線を戻せば真っ直ぐ射抜くような瞳で見返してくる。
一つ息を吐いてそれを告げれば、さっきまでの不機嫌は演技か?と言いたくなるほどにぱっと華やかな笑顔になり、膝立ちで近づいてきて細い腕が背中へと回された。