a.k堀内 葉那黒沢 修司

愛があるのか、ないのか、
Episode One.

次は 堀内 葉那


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交換日記レンタル - nikkijam

2017/07/04(火) a.k
タイトル 1-011. 今日の気分end.



「あんたが言わないでよ」

それから二人で、「貸してよ」「嫌だって」「いいから貸して」「おまえすぐ壊すから嫌だ」「壊さないっつーの」「昔、俺が大事にしてたプラモデルを壊した前科がある」「いつの話してるのよ」とか言って言い合っていたら、「なんだか賑やかな声がすると思ったら、葉那ちゃん来てたの」と、二階にある事務所兼自宅から店主である如月さんが降りて来た。

「うるさくしてすみません」
「いいよいいよ。葉那ちゃんは元気な方が、葉那ちゃんらしいからね」
「アラサーなんだから、そろそろ落ち着けって感じだけどな」
「うるさいよ」

と、修司の肩辺りをバシッと叩いた。
すると修司が、「いてぇーなぁ。加減しろよ」と言って、すかさずやり返してきた。

「修司の方が痛いじゃん」
「痛くねぇよ。こんなの」
「慰謝料請求したいぐらい痛かった」

くだらないことを言い合っている私たちを見ていた如月さんは、ニコニコした表情を見せながら、「相変わらず仲良しだね」と微笑む。
如月さんのその一言で、私たちは言い合うのをやめた時に、「すみません……」と、店内の入り口で女性の声が聞こえた。
修司はすぐに、「はい」と返事をして、受付の方へと向かう。
奥から受付を覗くと、リクルートスーツを着た女性で、証明写真を撮って欲しい。と言っていた。それから受付を済ませた修司は、私がいるスタジオへと彼女を案内してくる。
修司は如月さんに、「証明写真です」と告げると、如月さんは、「そう。じゃあ、修司くんお願い」と言う。
修司は二つ返事をして、証明写真を撮る準備に取り掛かった。

「――じゃあ、仕事の邪魔しちゃ悪いから帰るね」
「おう。今日、テツんところ行くけど」
「じゃあ、私も行く」

と、すれ違いざまに言って、店を後にした。


2017/07/04(火) a.k
タイトル 1-010.



店に入ると、いつも元気よく聞こえる「いらっしゃいませ――!」という声がないのに気が付く。
辺りを見渡した後に、「あれ?すみれちゃんは?」と聞いた。
如月写真館の如月さんの孫娘のすみれちゃんが、お小遣い稼ぎに写真館の受付を担当している。いつも店に入ると、元気な声で迎えてくれるのに今日は声もなく、姿もない。

「お客さんのところへ配達に行ってるよ」
「へぇ――、そういう仕事もあるんだ」

受付を通り抜けて、修司の後を追うようにスタジオに入った。それから私はスタジオの隅に置いてある撮影用の長椅子に座り、修司はスタジオにある機材を片付け始めた。その様子を見ながら、お母さんと口論になった見合い話の一部始終を話した。
修司は時々相槌を打ちながら、私の話を最後まで聞いてくれて、「――――それで、おばさんの逆鱗に触れたんだ」と、鼻で笑った。

「だってさぁ――、どう考えたって無理だと思わない?好きでもない男と結婚して、子どもなんか作れるわけないじゃん。ね?」
「目つぶってればいいじゃん」
「いや、そういう問題じゃないから」
「しかし、今年中って、もう12月も半ば過ぎてるけど」
「そうなんだよねぇ―――…」

と、頭を抱えながら、「修司の友達でいない?フリーのやつ」と聞いた。

「そんな状態なら、素直に見合いしろよ。紹介も見合いも同じだろ」
「違うでしょ」
「なにが?」
「気持ちが」
「同じだろ」
「違うったら、違うの」

と、言った後、「もぉ――――、どうしよう……」と再び頭を抱え込んだ。
すると、カシャッとシャッターを切る音がした。
頭を上げて前を見ると、修司が最近お気に入りで持ち歩いているフィルムを使用するタイプのコンパクトカメラで私を撮っていた。

「なんでこんな姿撮るのよ」
「『見合いが嫌でグズってる葉那』っていうタイトルが思いついたから」
「あのねぇ――!」

と、怒るとまたカシャッとシャッターを押す。

「今度は、『怒りスイッチが入った葉那』」
「貸してよ。今度は私が撮ってあげるから」

そう言って立ち上がると、私は修司の元へと歩き出した。
修司の側まで来ると、手を伸ばしてカメラを私に渡すように催促するも、修司は、「おまえ絶対ロクな写真撮らないから、貸さない」と拒む。


2017/07/04(火) a.k
タイトル 1-009.



「この写真、好きだなぁ……。この親子の柔らかい雰囲気が伝わってくる」
「おまえ、そんなのわかんの?」
「私には伝わってくるよ」
「適当なこと言ってんなよ」

そんな会話をしていた時に、「おや、二人揃ってるじゃない」と、私たちの方に歩いてきた矢萩さんに声をかけられた。
矢萩さんは商店街で女性物の衣料店を営んでいる店主で白髪混じりの60代の男性。兎町商店街の組合長さんも勤めていて、楽しい企画などを提案して商店街を盛り上げてくれている。

「あっ、矢萩さん。うちの母に変なもの渡さないでくれません?」
「変なものじゃないでしょ。あんな上物中々いないよ?」
「矢萩さんになんか貰ったのか?」

私と矢萩さんの会話を聞いていた修司は聞く。
その質問に答えづらくて何も言わずにいると、「葉那ちゃんに見合い写真を渡したんだよ」と矢萩さんはニコニコと笑顔を浮かべながら言う。

「見合い写真?!」

と、修司は驚いていた。

「最悪だよ……」
「葉那ちゃんにぴったりの男性だと思うんだけどねぇ」
「どこが?」

と、思わず口に出てしまったぐらい、何を思ってそういう考えに至ったのか、知りたい。

「ホントに彼、良い人だから。葉那ちゃんも気に入ると思うよ」
「……………」
「修司くんにも良い人がいたら、紹介してあげるからね」
「遠慮しておきます」
「まあまあ、そう言わない。食わず嫌いはダメだよ?」
「なんですか。それ」
「そんなことより、忘れるところだった。これ、如月さんに渡してといてくれる?組合の資料ね」

そう言って修司に書類を手渡し、「――じゃあ、これから『Little Rabbit』に行ってくるよ。なっちゃんが来るって言うから、ちょっと顔出そうと思ってね」と、言って、ご機嫌で私たちから離れて行く。

「“なっちゃん”って……、『Little Rabbit』で働いてた人だよね?小説家の先生と結婚したって言う」
「俺はてっきり店主の水嶋さんと夫婦だと思ってたんだけどな」
「私も思ってた。―――それにしても、小説家の人とどうやって知り合うんだろう?お客さんだったのかな?」
「そうかもな。何気にこの界隈有名人多いじゃん」
「だよね。庶民的な町なのにね。アイドルやらミュージシャンがあちこちにいるよね」

なんて言う会話をしながら、私たちは店の中へと入った。


2017/07/04(火) a.k
タイトル 1-008.



うちの洋食屋からさらに奥へと進んだ場所に『如月(きさらぎ)写真館』がある。 数年前に写真館の建物が店舗兼住居となり、鉄筋コンクリートの3階建ての近代的な建物へと生まれ変わったが、昔ながらにある町の写真館だった。
店のウィンドウには、家族写真や七五三の写真、振袖姿の成人式の写真などたくさんの写真が飾られてある。その多くは、店主である如月さんが撮影しているが、最近では、弟子である修司に任されることも多くなってきた。

修司の実家は数年前に店をたたんでしまって今はないが、同じ兎町商店街で書店を営んでいた。修司は昔から本よりもカメラが好きで、おじいちゃんから貰ったという古いカメラを持ち歩いて写真を撮っていたのを覚えている。時々身近にいた私をモデルにしては、色んな写真を撮られた。
大好きなカメラを職業に選んだ修司は、モデルやタレントなどを撮っている有名カメラマンの助手として働いていたけど、ああいう派手な場所は肌に合わない。と言って辞めたがっていた時に、タイミング良く如月さんが助手を探していると聞き、矢萩さんの紹介で如月写真館を手伝うことにした。
有名カメラマンの助手として働いていた時は、何に対しても余裕がない感じがして、常にイライラしていて、修司の撮る写真からは優しさが感じられなかった。でも、ここで働きだしてから、昔のような穏やかな修司に戻ったように思う。

「その写真、修司が撮ったの?」

写真館のウィンドウに見慣れない家族写真が1枚飾られていた。
まさに修司らしい優しさが感じられるような家族写真。

「うぉっ、葉那」

店の外から家族写真を眺めていた修司は、突然現れた私に驚く。
修司をよそに、「いい写真だね」と見慣れない家族写真を見て言った。

「人見知りされてどうしようかと思ったけどな。最後には笑顔を見せてくれて良かったよ」

写真には、私たちと変わらない年代の若い夫婦と2〜3歳ぐらいの小さな男の子が写っている。
両親に手を繋がれて、幸せそうに笑っている男の子の笑顔を見ていると、微笑ましくて、私までも自然に微笑んでしまう。


2017/06/03(土) a.k
タイトル 1-007. 今日の気分end.



「はぁ?!何言ってんの?」
「さっき、お父さんも言ってたでしょ?もしかしたら、これが良いご縁になるかもしれないって」
「いや、でもさ――」

お母さんは私の言葉を止めるように、テーブルの上をバンッ!と思いっきり叩いた。

「これは、絶対命令です!」

久しぶりに見た鬼の形相のような怖い顔して私を見ているお母さんに、29歳の私は言い返すことが出来なかった。


2017/06/03(土) a.k
タイトル 1-006.



「それの何がダメなのよ」
「あなたが外に出てお勤めしているなら、うるさく言わないわよ。でも、あなたの仕事は1日家に籠って絵を描いているだけじゃない。それのどこに出会いがあるっていうの?いくら仕事が順調に出来ていても、このままだと本当に嫁の貰い手がなくなるわよ」
「そんなのわかんないじゃない」
「あなたの毎日の生活態度を見ていたらわかります」

現に今、嫁の貰い手がないだけに何も言い返せない。

「あなたが修司くんと結婚するならそれでも構わないけど、そういう関係にもならないんだったら、会うだけでも会ってみたらどう?」
「っていうか、そもそも結婚なんて焦ってませんから」
「そんなこと言ってると、婚期逃すわよ。子どもだって産めなくなるわよ」
「その時はその時でしょ」

私とお母さんがいがみ合っている中、「―――とにかく、結婚云々は置いといて。会うだけでも会ってみたらどうだ?」と、お父さんが口を開く。

「お父さんまで、やめてよ」
「出会いなんてどこに転がっているかわからないだろ。もしかしたら、これがきっかけで良いご縁になるかもしれないだろ」
「そうよ。会うだけ会いなさい」

お母さんはそう言って、付き返した写真と手紙をまた私の目の前に置いた。
写真をもう一度手に取り、じっくりと写真を眺める。

「――――お母さんたちの気持ちはわかった。でもね、この人には悪いけど、まったく好みのタイプじゃない」
「外見で決めるのやめなさい」
「それでもある程度外見は大事でしょ」
「そんなことばっかり言ってるから、恋人が出来ないのよ。いくら外見がよくても経済力がなかったら、結婚生活なんて上手く行かないのよ?」
「それでも好みじゃない男とエッチして、子どもなんか作れないわよ」

ヒートアップする私とお母さんの会話にお父さんが呆れたを顔をしながら、「二人共、いい加減にしなさい」と静かに怒る。
その言葉で空気が再び重くなり、静かな時間が流れた。

「――――わかりました」

と、重々しい空気を裂くように、お母さんは口を開き、「今年中に彼氏が出来なかったら、お見合いしなさい」と言う。


2017/06/03(土) a.k
タイトル 1-005.



「は?なに?行き成り……」
「恋人はいるのかって聞いてるの」

お母さんからの質問の趣旨がわからない中、カウンターの中からお兄ちゃんが、「恋人がいたら、毎日家にいるわけねぇじゃん」と口を挟む。

「うるさいなぁ」
「いるの?いないの?どっち」

お母さんの顔を数秒見た後に、「いないわよ」と答え、「なに?それがなんなの?」と続けた。

「修司くんとは、そういう関係じゃないのか?」

と、今まで口を開かなかったお父さんが言う。

「は?修司?なんで修司?」
「おまえらよく一緒にいるじゃないか。付き合っているからじゃないのか」
「まさか。冗談やめてよ」

そう言ったら、お兄ちゃんが、「え?おまえら、マジでなんもないの?」と驚きながら言う。

「あるわけないじゃん。修司と恋愛なんてありえない」
「あたし、お二人は付き合っているものだと思ってました……」

と、私より年下の兄嫁の真由果(まゆか)ちゃんは言う。

「残念だけど、修司は昔から恋愛対象外」
「それじゃあ―――問題ないわね」

お母さんはそう言うと、机の下から少し大きめの封筒を出してきて、私の目の前に置いた。

「なに、これ」
「矢萩さんが持って来たのよ。あなたに、って」

封筒の中身を取り出したら、1枚の写真と手紙が入っていた。
写真には、真面目そうで好青年らしい雰囲気がするスーツ姿の男性が一人写っていて、手紙には男性のプロフィールらしきものが書いてあった。

「え?ちょっ、ちょっと待ってよ……、これって……つまり……」

そこから先の言葉に詰まると、お兄ちゃんが、「見合いだな」と言った。

「ちょ、ちょっとやめてよ。お見合いなんてしないから」

と、言って、写真と手紙を目の前にいるお母さんへ付き返した。

「そんな堅ぐるしいものじゃないのよ。ちょっと会ってみるだけの軽いものなのよ」
「いやいやいや、それでもさ、見合いは見合いでしょ?」
「ホント良い人なのよ。公務員で経済的にも安定だし、次男だし、歳だってあなたと変わらない33歳」
「良い人って……、ただ親受けが良いだけじゃない」

私がそう言うと、お母さんは、「葉那」と叱るような口調で私の名前を呼び、「あなた、来年30歳になるのよ?恋人もいない。唯一近くにいる男性は、修司くんだけじゃない」と言う。


2017/06/03(土) a.k
タイトル 1-004.



―――――時間は、人生で一番最悪なクリスマスの朝を迎えた日より、数日前へと遡る。

私が生まれ育った町は、兎町(うさぎちょう)。
急行も止まらない様な小さな駅『兎町』の東口の改札をくぐると、兎町商店街がある。戦後にこの辺りで屋台の店が連なったのがこの商店街の始まりとされていて長く古い歴史を持つ商店街だった。
この商店街にくればなんでも揃うと言われていたほど有名な商店街だったが、ここ最近は不況の波がこの商店街まで押し寄せてきて、長く続いた店を閉めている店舗もそう少なくはない。
それでも駅前にあるという便利さから、今でもそれなりに栄えているのも事実である。午前中は商店街近くにある市営住宅に住んでいる年配客が日課のように商店街に足を運び、午後になると近辺の中学校や高校に通っている生徒たちが商店街の中を通り活気づく。

賑やかな商店街の中心部に位置する場所にあるのが、洋食屋『Peter(ピーター)』で、私の実家。
祖父の代から続いている洋食屋で、デミグラスソースの匂いが染みついているような店には、この近辺に住んでいる人たちはもちろん、西口方面で働いているサラリーマンやOLの方も足を伸ばしてきてくれる。それぐらい美味しいと評判の店だった。
それなのに娘の私は、デミグラスソースが苦手。ハンバーグやオムライス、海老フライ、グラタンと言った洋食よりも和食が好きだし、コーンスープやオニオンスープよりもお味噌汁の方が美味しく感じる。

苦手なデミグラスソースの匂いが染みついているような店に顔を出すことはあまりないが、12月も半ばが過ぎようとする頃。母親から呼び出された。
ランチタイム営業の時間が終わってからの休憩時間に店に顔を出すように言われて、お店の裏側にある自宅から店へ行くと、両親と店を手伝っている兄夫婦が揃っていた。
4人がけのテーブル席に両親が横並びで座り、両親から面接でも受けるかのようにテーブルを挟んだ席に座らされた。
兄夫婦は、カウンターの中から私たちの様子を伺っている。

「空気重くない?」

しんとして静かな空気を裂くように私は言った。
するとお母さんは、軽く咳払いした後に、「葉那。あんた、今、付き合ってる人はいるの?」と聞いてきた。


2017/05/08(月) a.k
タイトル 1-003. 今日の気分end



「葉那(はな)」

少しの沈黙の後に修司は私の名前を呼ぶ。
それでも黙っていると、「俺、今日仕事だからシャワー浴びたいんだけど。おまえはどうする?浴びるなら先に浴びろよ」と聞いてきた。

「……いい」

そう言うと修司は溜息を一つ落とし、「言っとくけど。昨日の夜のことは、同意の元だからな」と言って脱衣所の方へと向かった。
脱衣所の扉がバタンと閉まったと同時に、私はベッドに倒れこむように伏せた。

「だから……それが問題なんだってば……」

20代最後のクリスマスの朝を、人生で一番最悪なものにするつもりなんかなかった。
考えれば、考えるだけ、二日酔いな気分になっていく。


2017/05/08(月) a.k
タイトル 1-002.



「私たち……そう…だよね?」
「覚えてねぇの?」

修司は、木製の引き戸を開けて、テレビを置いている洋室へと入った。

「覚えてないことはないけどさ…………」

昨日の夜、二人で飲んだ缶ビールが、ローテーブルの上で二つ並んでいたのが、修司越しに見えた。
それを見て、昨日の夜のことが鮮明に蘇ってくる。

「覚えてないなら、もう一回やっとく?」

修司はそう言いながら、ローテーブルの上に置いていたエアコンのリモコンを手に取り、電源を入れて暖房をつけた。

「冗談やめて」
「1回やったら2回も3回も同じだろ」

と、修司は軽く言いながらこちらを向く。
ニコっと微笑んだ修司に、「笑えないから」と冷静に言ったら、「冗談だよ」と微笑んでいた顔を元に戻して言った。

「つーかぁ、どうすんのよ………」

と、私は頭を抱え込み、「絶対やっちゃいけないことやったじゃん……」と口にした。
私の言葉に対して修司は少しムッとしながら、「そんなに俺とヤッたことが嫌なのかよ。失礼な女だな」と言う。

「私と修司だよ?ありえないでしょ」
「俺とおまえだからって、なんだよ。全然アリだろ。つーか、むしろ、アリだから出来たんだろ」
「生々しいこと言わないでよ。私たち幼馴染だよ?偶然にも同じ日に生まれて、同じ商店街の中で育って、恋愛とは程遠〜〜〜い距離にいた仲じゃない。それが恋愛すっとばして一線を超えるって……ありえない」
「30間近のいい大人なんだし、超える時は超えるだろ」

修司のその言葉が凄く癇に障って頭を上げると、「いい大人は超えないから!」と少し大きな声で言った。
すると修司は私のそんな態度を見て苛立ったのか、両耳に指を突っ込み、「うるせぇなぁ。朝からギャンギャンわめくなよ」と言い、「昨日の夜は、程良く酒が入って、お互いそういう気分になった。よくある話だろ。それのどこに問題があるんだよ」と言う。

「相手に、だよ」
「あいつだったら良かったのかよ」

ムカついて、枕を修司に向かって投げつけた。
投げた枕は修司の肩辺りに当たる。

「そんな怒んなよ」

私は、フンッと首を横にした。