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竜の伝説〜飛翔〜
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交換日記レンタル - nikkijam

2017/05/17(水) 語りべ
タイトル 洞窟のダンジョン2 今日の気分次回更新は30日(火)予定です





「もしかしてこのフィールドの何処かに落ちてるとか?」

 スイリはそう言うとしゃがみ込み、周辺の草むらを探し始める。
 呆れたため息を洩らし、レオは告げる。

「そんなわけがねえだろ。こういうときはまた笛を吹いて―――」
「いや、その必要はないだろう」

 と、ストームはとある方向を指差した。
 彼が指した方には古びた祠があった。
 祠、というよりは人が住むような一軒家のようであった。
 石煉瓦造りの、何処かの町にあるような。
 そんな古びた建物がこの山間の地にぽつりと存在していたのだ。

「確かにあの建物はいかにもって感じだな」
「あそこにオーブがある可能性は高いね。行ってみよう」

 アルスの言葉に皆賛同し、その祠へと足を向ける。







2017/05/17(水) 語りべ
タイトル 洞窟のダンジョン1








「ねえ、見て!」

 洞窟の階段を上り切ったその先――光りの向こうには驚く光景が広がっていた。
 そこはダンジョン外だった。

「え、うそ…!?」

 そう言ってスイリは上空を見上げる。
 生憎の曇天であるが、それはまさに地上の光景そのものだ。

「残念だが、やはりこの洞窟は魔王城に繋がってはいなかったというわけだ」

 ストームは視線を前方へと向ける。
 一行の目の前には大きな川が流れており、その川を挟んだ向こう側には雲まで貫かれている険しい山脈。
 黒い雲雲によって薄暗く不気味に存在するその山脈は、思わず恐怖を抱いてしまう程のただならぬ雰囲気を醸し出している。

「繋がっていれば直接魔王城に行けられて良かったんだけどね…」

 間違いなくあの山脈の何処かに魔王の城はある。
 視覚だけではなく、全身がそう言っているようだった。
 感じる悪寒にアルスは思わず腕を摩る。

「けど問題はそこじゃないですよ」

 リルムはそう言って先ほど出てきた洞窟の出口を振り返って見つめる。
 魔王城が空からでなければ行けない。というのはギンガから聞いていた。
 そのため、今入っていた地下洞窟が魔王城と繋がっているとは、アルスたちも期待してはいなかったわけだが。
 しかし彼らには違う目的があり、洞窟内を探っていた。

「洞窟内の宝箱はくまなく探したはずです。でも最後のオーブは何処にもなかったです…」

 空から魔王城へと行けるだろう唯一と思われる方法。
 それに必要な最後のオーブが、この洞窟内にはなかった―――見つけられなかったのだ。
 アルスたちはそのオーブが此処にあると信じていた。
 実際にやまびこの笛もそう反応していた。
 だからこそ彼らはこの洞窟に入ったのだ。
 だが、洞窟内の宝箱にはオーブらしきものはなかった。
 それどころか笛の音の反射に従って歩いてきた結果、この地上へと出てきてしまったのだ。



2017/05/10(水) 語りべ
タイトル 魔王城に向かう洞窟4 今日の気分次回更新は16日(火)予定です



 


「…仲間として参加している以上、俺の実力も知って貰わないとならないからな。次の戦闘では本気の力を見せて置く」
「元の姿に戻っても上から目線は変わらねぇのな。むしろパワーアップしてるようにも見えるけどな」

 と、売り言葉に買い言葉の如く、皮肉と嫌味を言い返し合う二人。
 この洞窟に入る前からそのやり取りが何度か続いているだけに、アルスも流石に苦笑いをせざるを得ないのだ。
 そんな呆れ気味のアルスへ、今度はスイリが耳打ちをする。

「この二人はこれで丁度良いんだと思うよ」
「けど…」
「男の友情は時としてそういうものなんです、アルスさん」

 そうリルムもスイリとは反対側の隣で耳打ちをする。
 彼女たちの見せる満面の笑みには、このダンジョンでの疲弊感は全く感じられず。
 逆に冒険を楽しんでいるようにも思えた。
 そのため、今まで以上に過酷であるこの洞窟の攻略に、誰一人弱音など吐いていなかった。

「…僕が気負い過ぎてるだけなのかな…?」

 人知れずそう呟いたアルスであるが、彼自身もここでの戦闘続きの状況を、未だ苦とは思っていなかった。
 それは、この仲間たちがこんなにも頼もしいからかもしれない。
 と、そんなことを思いつつ。
 そうしてアルスたちは奥へ奥へと進み、階段を上っていった。




2017/05/10(水) 語りべ
タイトル 魔王城に向かう洞窟3



 


 その洞窟の中はこれまで入ったどのダンジョン以上にも広大かつ入り組んだ造りとなっており、それでいて魔物たちも強敵であった。
 アルスたちはこれまで以上の力を出し合い、協力し合い洞窟の奥へと進んでいく。
 時には落とし穴、時には延々と続く通路と行く手を遮る罠を攻略していくアルスたち。
 と、レオがひっそりとアルスへ耳打ちをする。

「なあ、賢者に戻ったアイツとダンジョン攻略するのは初めてになるけど…実際アイツの実力ってどうなんだ?」

 レオの言う通り、確かに気になるところではある。
 しかしそれは心配でという意味ではない。
 アルスは苦笑交じりに答えた。

「僕たちが心配する必要はないと思うよ」

 実力があることは間違いない。
 ましてや賢者になるということは容易な事ではない。
 それだけで彼の――ストームの実力は確かであると言っている。
 そうアルスは思っていた。
 すると、突如ストームが口を開いた。

「疑われるのは仕方がない…だが、力量不足のように思われるのも心外だ」
「別に力不足とまでは言ってねえだろ」

 二人の会話を聞いていたストームがその背後へ近寄り、顔を顰めながら答えるレオ。
 いがみ合うストームとレオを見やり、アルスは乾いた笑みを浮かべるしかない。






2017/04/25(火) 語りべ
タイトル 魔王城に向かう洞窟2 今日の気分次回更新は5月9日(火)予定です






「魔王城に続く道じゃないとしても、此処に最後のオーブが隠されている可能性はある…そうでしょ、ストームさん」
「ああ。笛の音もこの洞窟の奥…その向こうから返ってきているようだ」

 やまびこの笛を手にしながらストームは頷き、彼もまた躊躇なく歩き始め、洞窟の中へと入っていく。

「ま、どのみちオーブが無いと魔王城へ行けねえんだし、だったら入るしかないよな」

 そう言ってレオはストームの後に続き洞窟内へ進んでいく。

「もう!それはわかってるけど…」

 と、口を籠らせるスイリ。
 そんな彼女を見兼ねてリルムが彼女の背中を押した。

「わかりますよ、スイリさん。本当にあの人たちは乙女の気持ちを解ってないんですから」

 笑顔を向けてそう言うとリルムはスイリを押しながら「ほら、アルスさんも一緒に来てくださいよ」と付け足して洞窟の中へと進む。

「ありがと、リルム。やっぱりリルムが一緒で良かったよ」

 押されるままに歩いていくスイリと何やらひそひそと話す二人の姿を見やり、苦笑を洩らしてアルスもまた中へと入っていった。
 







2017/04/25(火) 語りべ
タイトル 魔王城に向かう洞窟1








「それじゃあ俺らは船番してるからな。魔王退治の方は任せたぜ」
「まだ退治しに行くわけじゃないよ」

 船べりから顔を出し、見送るコティッチとチェロハ兄弟。
 アルスたちは下船した崖からそんな二人を見つめ、力強く返事をする。

「お前たちの方こそ、しっかり船守ってろよ」
「おう、わかってるって!」

 レオの言葉にコティッチは満面の笑みを浮かべながら、拳を突き上げて見せる。
 二人はこれまでも何度も船を守り、番をしてくれていたのだ。
 アルスたちに心配や不安は微塵もなかった。

「それじゃあ、行ってくるよ」
「うん。気をつけて!」

 アルスは見送る二人へ手を振り、そして歩き出していく。
 続けて他の者たちも歩き出し、皆は魔王城のある山脈の麓へと向かった。





 ネクロゴンド火山から南下した先に、その洞窟はあった。
 そびえ立つ山脈の麓にぽっかりと口を開けたそれは、まるで勇者たちを待ち構えていたかのようで。
 その入り口から放たれている殺気にも似た冷気には、思わず怯んでしまうほどだ。

「間違いない…この洞窟から魔王城に近付く事が出来る…」
「けれど魔王城に行けるわけじゃないんでしょ?だったらこんなところに入っても…」

 スイリは暗黒が続く洞窟の奥を見つめながらそう言う。
 中からは足が竦んでしまうほどの悍ましい気配も感じられるのだ、入る事に躊躇ってしまうのも無理はない。
 が、迷わずアルスは一歩、洞窟の中へと足を進めようとする。





2017/04/18(火) 語りべ
タイトル 魔王城に向かって2 今日の気分次回更新は25日(火)予定です





「迷う度に支えてくれたのが仲間たちで…彼らのお陰で気付いたんだよ。『勇者として』ってことにこだわる必要なんかないって」

 アルスは笑顔を向け、答える。

「僕は僕として判断して行動しようって決めたんだ」


 それで周囲の者達がどう思うとも関係ない。
 自分の心で思った通りのことをしようと。
 もしそれが間違っていたとしても、仲間が全力で否定して説得してくれるから。
 自分が思うように行動しよう。
 それが今のアルスの決意なのだ。

「…やっぱり羨ましいよ、今のアルスはキラキラしていて、勇者に見えるもん」
「そう言ってもらえると嬉しいかな。ありがとう、スバル」
「気をつけて…そして、魔王を倒してきて」

 差し出された掌。
 アルスはその手を握り締め、彼女と握手を交わした。

「スバル―!早く行こうよー」

 そう甲板で叫ぶのはホワイトだ。
 スバルは彼の声を聞くなり、「わかった」とアルスの手を徐に解く。
 彼女たちはまだ回復出来ていないギンガのこともあるためダーマへと移動呪文で帰ることになっている。
 つまりは此処で一旦お別れということだ。

「お前たちには感謝している。もし何かあればそのときは呼んでくれ。全力でサポートする」
「まあこの天才的な僕がいれば百人力だからね〜」

 そう言って微笑を浮かべるノスタルとホワイト。
 と、二人に支えられていたギンガが突如持っていたそれをストームへ向けて投げた。

「ストーム―――魔王討伐が終わったらダーマに戻って来てくれ。また一緒に夜を明かすまで語りあかそう」

 ギンガから受け取ったもの―――祈りの指環を見つめた後、ストームは笑みを浮かべ頷いた。

「ああ。美味い酒でも飲みながらな」

 スバルたちは一か所に集まり、そして最後にスバルが告げる。

「本当にありがとうアルス、みんな。またね」
「うん、スバルたちも気をつけて」

 直後、スバルは移動呪文『ルーラ』を唱えた。
 彼女たちは光に包まれると一瞬にして空の彼方へ飛んでいった。
 消えて行った上空を見上げ、アルスたちは去って行く彼女たちを見送った。
 彼女たちもまた素晴らしい仲間だったと思いながら。
 
 




2017/04/18(火) 語りべ
タイトル 魔王城に向かって1





 アルスたちはこの後、食事を済ませると明日に備えるため早めの就寝を取る事にした。
 そして次の日。
 日が昇るよりも早く、アルスたちは支度を済ませていた。

「ちゃんと道具は整理したか?」
「もう、出来てるに決まってるじゃない」

 レオとスイリが荷物を整理しているその傍らにはリルムの姿。

「実はこういう日のために色々と集めていた道具があるんです。ぜひ使ってください!」

 と、声高く意気込んでいる彼女の横顔は何処か楽しそうに見える。
 するとそこへため息交じりにストームが姿を見せ、あれこれと指摘している。

「これが戦闘中必要になるとは思えないがな。これに至っては不必要な物だろ」
「で、でもかなりお値打ちの品なんですー…」
「お前な…逐一持ってく装備品にまでケチつけんなよな」
「まあまあ、ストームだってただ言ってるだけじゃないんだから」

 そう言って賑やかに話し合う一同。
 かつてないほどの和気あいあいとした雰囲気を感じ、アルスは一人遠くから笑みを浮かべ静観していた。
 と、そんなアルスの隣に並ぶ人影。

「とても良いパーティだね」

 スバルはそう言うとアルスに向けて微笑みを浮かべる。
 アルスは返すように笑みを零しながら頷いた。

「今まで何処か一つにまとまりきれてなかったパーティがようやく今一つにまとまったと思うんだ。だから僕はそれが凄く嬉しい」

 心の底から込み上げてきた本音。
 そこには今までにあった隠していた悩み、迷いも蟠りもないない。
 一つの目的に一緒に向かう本当の仲間が揃ったんだと、アルスは思った。

「私はアルスが羨ましいよ。私と違って勇者の血筋があって仲間にも恵まれていて此処まで来られた…だからこそアルスは真の勇者なんだなって思うから」

 そう言って笑うスバル。
 しかしアルスはそんな彼女の言葉を否定するようにかぶりを振って見せた。

「僕は今まで一度も自分を勇者だって思えたことがないよ。むしろ本当に勇者なのか、勇者であるのか迷ってばかりだったよ」

 だが迷う度、立ち止まる度に彼の背を押し激励していたのは周りの者たちだった。
 時に叱責され、突き放す言葉も言われた。
 しかしそれがアルスの迷いに射し込む光となって、そうして選んだ道の上に今の自分がある。



2017/04/11(火) 語りべ
タイトル 魔王城へ向かう前に12 今日の気分次回更新は18日(火)予定です





「そうだな…君たちなら他のムクロたちも倒せるかもしれないな」

 それ以上に彼らは――この少年は奇跡のような、何かを起こしてくれるかもしれないと。
 そういう期待を抱いてしまう。
 これが勇者というものの能力なのか、それとも彼自身の持つ本質なのか。
 ギンガは穏やかに笑みを浮かべた。

「それに…僕は彼らムクロが魔物の力を分け与えられたからといって――人間じゃなくなったわけじゃないですから」

 だから彼らは求める、迷う、悲しむ、憎しむ、悲しむ。
 だからこそ、彼らを助けることも出来ると、アルスの目に迷いはなかった。
 目を見開き、何か言いたそうに口を開くギンガだったが、彼よりも早くストームが答える。
 
「警告しても無駄だ。何を言ったところでもう彼は自分を曲げることを止めたからな」
「それに目の前に一人、救えた相手もいるしな」

 続けてレオが口を開き、口角を吊り上げて見せる。
 自信たっぷり、というよりは呆れきっているという方がピッタリの表情で、思わずギンガは苦笑を見せながらかぶりを振った。

「ううん、彼の決意はもう見せつけて貰っているし、とやかく助言する資格もないよ。ただ…」

 と、ギンガはアルスを見つめ、深々と頭を下げた。

「今だからこそ思う。救ってくれてありがとう……それと、こんな事を言う立場でもないと思うけど…残りのムクロたちも救ってやってくれ」

 アルスは彼の言葉に力強く頷き、答えた。

「はい!」


2017/04/11(火) 語りべ
タイトル 魔王城へ向かう前に11




 言葉の意図が読めず顔を顰めるギンガに、彼女は更に一言、苦笑交じりに付け足す。

「今の顔は妹の身を案じる兄のそれ、そのものだからな」

 ノスタルの言葉を聞き、直後ギンガの顔は急速に耳まで紅く染まっていく。
 大きく咳払いをし、顔を背けてしまうその照れ隠しの態度には皆が揃って笑みを漏らした。

「って、ちょっと〜。そういうこと言うのは僕の役目なんだけどー」
「そういう役目ってどういう役だよ」
「おちょくる役に決まってるでしょー」

 レオの言葉にホワイトはいつものようにひょうひょうとした様子で答える。
 すると「お前はもっと分かり易い心を持て」とノスタルの厳しい一声が飛び、皆はまた笑みを零す。
 気が付けば先ほどまで震えていたギンガの身体は静かに止まっていた。

「確かにムクロの力は恐ろしいです。僕一人では立ち向かえそうにない」

 と、ギンガの前に立ちアルスは言う。

「けどこんなにも頼もしい仲間たちが付いている。だから大丈夫ですよ」

 何の確証も根拠もあるわけではない。
 先のムクロであったアイとの戦いも、以前のタングとの戦いも決して圧勝とは言えない。
 勝ったとさえ言いきれる戦い方ではなかった。
 考えれば考えるほど不安な要素しかない。
 ―――しかし。