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竜の伝説〜飛翔〜
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交換日記レンタル - nikkijam

2017/03/14(火) 語りべ
タイトル 魔王城へ向かう前に7 今日の気分次回更新は28日(火)予定です






「やっぱりランシール神殿の大司祭にもう一度聞きに行くしかないかな?」
「前もお告げって言ってオーブの場所導いたわけだしな」

 スイリとレオがそれぞれそう言い合い顔を顰めていると、おもむろにホワイトが口を開いた。

「そーいやさ〜、聞いた事あるんだよねー。欲しいものを思いながら吹くとその居場所へ導くっていう笛の噂…」

 突然出てきた謎のアイテム。
 皆が一層と困惑めいた顔でホワイトへと視線を向ける中、思い出したようにストームが「そうか」と声を上げた。

「そう言えばこれがあったな」

 彼はそう言うと自身の懐から何かを取り出してみせる。
 それは一見普通のよくありそうな笛―――オカリナに見える。

「これが『やまびこの笛』だ」

 そう。ストームが持っていたこれこそが、ホワイトの言っていた『やまびこの笛』だった。
 




 ストームの出した『やまびこの笛』。
 それにアルスたちは視線を向ける。

「これがやまびこの笛?」
「つーかこれ何処で見つけたんだ?噂に聞く中々のお宝じゃんかよ!」

 アルスが尋ねると同時にコティッチが身を乗り出しストームへと尋ねる。
 どうやらコティッチもやまびこの笛について知っているようだった。

「アープの塔…そこで見つけた」

 ストームの話しによると、ギンガを元に戻す方法―――アイテムを探して各地を回っている最中で手に入れたものらしい。
 と、リルムが「そう言えば」と思い出した顔をする。

「ストームさんと再会した場所ってアープの塔でしたよね」
「ああ、そのときに見つけて戻ったときにお前たちと出くわした」

 それから彼はギンガとして、アルスたちと旅を共にすることとなった。
 その一方でリルムはこの後、辺境の土地を開拓するべく東方の地に残ることになる。
 思い出深いきっかけの場所でもあった。
 そんなあの頃の記憶を思い返しながら、アルスは改めてストームに尋ねた。

「それで…このやまびこの笛があれば残りのオーブの場所がわかるんですか?」
「多分、な」

 半信半疑といった様子で、ストームはそう答えた。




2017/03/14(火) 語りべ
タイトル 魔王城へ向かう前に6







 ロマリア城にある図書室の最奥。
 学者たちの力も借りて古い書物を調べるとそこにはこんな一文が書かれていた。

『六つのオーブが揃いしとき、一つの伝説が再び甦り選ばれし者を大空へと誘うだろう』

 結局それ以外に詳細に書かれた文面は見つからなった。

「つまり…オーブを六つ集めた時、伝説の鳥が復活する。伝説の鳥とは、人を乗せ大空を舞う事が出来る。ということか」
「そんな大きな鳥なんて聞いた事ねぇぞ?」

 ストームが口を開き、続いてコティッチが困惑気味に尋ねる。
 が、呆れた顔をして「だから伝説なんでしょ?」とチェロハに言われ、しかめっ面をしていた。

「確かに、ムクロのハンドはオーブの力は恐ろしいものでありムクロにとっての脅威だと常々言っていた」
「全て集めて伝説の鳥を復活させられれば…魔王の城に行けるかもしれない」

 ギンガの言葉にアルスは頷く。
 と同時にかつてランシール神殿で大司祭が言っていた言葉を思い出した。



慈しみの心、願いの心、誠実の心、決意の心、純粋の心――そして、輝きの心
 これらのオーブ(心)を集めよ。さすれば、かの地に眠りし鳥は目覚めん。


 そのときがついにこようとしているのだと、アルスは人知れずこぶしを握る。
 次いで道具袋からオーブを取り出していった。
 グリーン、レッド、ブルー、パープル、イエローと一つずつテーブルの上に並べる。
 と、スバルが「あれ?」と声を上げた。

「オーブは全部で六つだったよね?でもここには五つしかないよ?」

 そう、あと一つ。
 伝説の鳥を復活させるためには後一つ、オーブが足りない。

「しかし、後一つが何処にあるのか見当は付いているのか?」

 ノスタルの質問にアルスたちは静かにかぶりを振るしかない。
 此処までオーブと廻り合えたのは奇跡と言っても良い偶然の重ね合わせだった。
 探そうと思って本格的に捜索したことはなかったため、いざオーブを探すとなるとどうすれば良いのかわからないのだ。


2017/03/03(金) 語りべ
タイトル 魔王城へ向かう前に5 今日の気分次回更新は14日(火)予定です





 皆の視線がリルムへと注がれる。
 彼女は難しい顔をしながら続けて話す。

「ロマリアにいたとき…少しオーブについて考えてたんです」

 それはリルムバークを追われ、祖母の家に戻りロマリアで籠っていたときのこと。
 彼女は自身が町長をしていた頃に手に入れたイエローオーブが気掛かりだった。
 アルスに託すべくこっそりと隠し収納にしまっていた宝物。
 あれは他の誰かが手に入れて良い物ではない。
 勇者であるアルスが手にする運命であるもの。
 しかし、彼女は同時にオーブについて疑問も抱いていた。
 オーブを集めたとき、一体何が起こるのだろうか、と。

「そういやランシールで大司祭が言ってたっけな…オーブは眠りし鳥を目覚めさせるものだとか」

 リルムの言葉を聞き、レオもまた思案顔を浮かべながらかつての記憶を思い返す。
 アルスも同じくして、自身の奥底に眠る記憶を思い出していた。
 ランシール神殿を訪ねた際、大司祭が語ってくれた言葉。



 慈しみの心、願いの心、誠実の心、決意の心、純粋の心――そして、輝きの心
 これらのオーブ(心)を集めよ。さすれば、かの地に眠りし鳥は目覚めん。

 

 大神殿の天井に描かれていた大きな鳥の絵。
 心奪われるような一面の絵画は未だアルスの記憶に鮮明に残されている。

「それで、わたしなりにも調べられないかと…お力になれないかと思いまして、ロマリア王に事情を説明して調べてたんです」

 ロマリア王はアルスさんの仲間ということで、快く図書室を貸してくれた。
 そう神妙な面もちで説明するリルム。
 と、その一方でロマリア王。という言葉だけでアルスの表情はみるみる青ざめていく。
 先の幽霊船捜索のときでもそうだったが、本当に彼にとってあの出来事は黒歴史――触れられたくない過去になっているようだと、人知れずスイリは苦笑を洩らした。
 

2017/03/03(金) 語りべ
タイトル 魔王城へ向かう前に4





 魔王城には行けない。
 ギンガの言葉によって皆が沈黙する。
 どうすれば良いのかと、アルスが悩んでいたそのときだ。

「…じゃあお前はどうやって魔王の城へ行けたんだよ?」

 レオはギンガの方を見やり、そう尋ねる。
 確かに、ムクロであった彼ならば魔王城に行っていたはず。
 その手段を使えばアルスたちも行くことが出来る。
 しかし、ギンガはかぶりを振って答える。

「私はムクロに与えられた特権によって従えさせた魔物を利用して魔王城へ行っていた」

 魔物たちの中には当然悪魔や鳥のように翼を生やしているものもいる。
 翼を持たない魔物たちもそうして魔王城へと行くのだと、ギンガは話した。

「つまり魔物以外は絶対に行けない陸の孤島だっていうことかよ」

 そう言ってレオは顔をより一層と顰めさせる。
 ギンガの言葉通りならば山に穴でも掘らない限り不可能ということになる。

「そんなの待ってたら何十年、何百年も先になっちゃうんじゃ…」
「ルーラ(移動呪文)は出来ないのか?」
「確かに一度行ったことのある場所なら通常ルーラで行くことは出来るよ。けど、それは町や村に限ったもので魔王城などのダンジョンには通用しない」

 どうすれば魔王城へ行けるのか。
 次第に皆の話しがその方法の詮索へと移行していく。
 空を飛ぶ技術があれば。
 能力があれば。
 結局はそこへと行き着くのだが、その一番重要な方法が見つからず。
 困り切った状態になったところで、不意にリルムが口を開いた。

「伝説の鳥…」





2017/02/21(火) 語りべ
タイトル 魔王城へ向かう前に3 今日の気分次回更新は28日(火)予定です






 青白い顔色でいるギンガはゆっくりとスバルに支えられながら皆の座っていたテーブルへと歩み寄る。
 と、僅かにバランスを崩した様子を察すると急いでストームが立ち上がった。

「ギンガッ!」

 駆け寄ろうとしたが、それよりも先にギンガが手を出し制止させる。

「お前の力は借りたくない」

 突き放される冷たい言葉に返す事も出来ず、ストームは閉口したまま立ち尽くす。
 スバルの手を借りながらギンガは近くの空いていた椅子へと腰掛け、そして静かにその口を開いた。

「…君たちは明日にでも魔王の城へ向かおうと思っているようだけど…」
「そのつもりだったけど…」
「単刀直入に言おう。魔王城に君たちは行けない」

 直後、アルスたちは瞳を大きくさせギンガを見つめる。

「どういうことだよ。まさか力量不足ってんじゃ――」
「それもある。だがそれだけではないよ」

 淡々と話すギンガにレオは眉間に皺を作る。
 が、話の腰を折らない様にと思ったのか口を開くことはなく。
 ギンガは話を続ける。

「ネクロゴンド火山を道なりに進んだ先に洞窟がある。そこを抜けたら魔王城が目前に控えている」

 元ムクロである彼から聞く情報は確かなものという実感があり、間近に迫っている魔王との決戦をアルスは肌で感じる。
 全身が震え、肌が粟立つ。
 しかしそれは怯え恐れているからだけではない。
 鼓動が高鳴り奮い立つ想い。
 アルスは武者震いというものを実感していた。

「だけど魔王城はネクロゴンドよりもはるかに険しい山々に囲まれている。徒歩で登ることは先ず不可能なんだよ」

 一同が驚きに声を上げる。

「山に囲まれてるって…マジかよ…?」
「この状況で嘘をついてどうするんだよ」

 正論ではあるが冷淡な口振りで突っ込まれてコティッチは口をへの字に曲げる。
 しかし、ギンガの話しが真実ならば、このまま魔王城へ進んでも無駄足になってしまうということになる。
 アルスたちの表情が、徐々に曇っていく。

「此処まで来て…魔王の城に行けない…」

 先ほどまで湧き上がっていた高鳴りが、急速に削がれ、冷え込んでいくようだった。




2017/02/07(火) 語りべ
タイトル 魔王城へ向かう前に2 今日の気分次回更新は13日(月)予定です





 レオの視線を感じているストームだが、気にする様子も見せず彼は宛がわれた席へと腰掛けている。
 すると彼を擁護するべくスイリがストームに変わって口を開いた。

「そんなこと言わないよ、ストームさんは。ねえ?」

 そう言って満面の笑みをストームへと向けるスイリ。
 心からそう思っているという純粋な彼女その笑顔に、流石のストームも無言ではあるが軽く頷いてしまう。
 そんな様子を眺め、アルスは苦笑を浮かべた。

「こりゃあストームも頭が上がらないねー」

 クスクスと笑うホワイトを恨めしげに睨みつけるストーム。
 どこか嬉しそうなホワイトの横顔を見やり、おそらくこの二人は昔からいつもこんな風なやりとりをしていたんだろうなと、思わずアルスも笑ってしまった。
 と、そんなときだ。

「すまないが、今どうしても話しておきたいことがあるそうだ…」

 そう言って姿を現したノスタル。

「どうしても話しておきたいことって…?」
「重要な話なのかよ」

 スイリとレオの言葉に返すべく、その声は彼女の背後から聞こえてくる。

「ああ、魔王の城へ向かうために…どうしても必要なことだよ」

 よく聞いていた覚えのある、しかし今となってはどうしても違和感を抱いてしまう声。
 アルスたちの視線がノスタルの背後へと集まる。
 そこにはスバルに支えられ歩くギンガの姿があった。







2017/02/07(火) 語りべ
タイトル 魔王城へ向かう前に1








 その日の夕方、アルスたちは夕食の時間となり食事の支度をした。
 明日は魔王の城へ攻め込むということで、いつも以上に豪勢な食事がテーブルに並ぶ。

「コティッチが大物沢山釣ってさ」
「いやぁ大漁だったぜ」

 得意げな顔をしてみせるコティッチ。
 彼は白い歯を見せ笑って言った。

「明日の決戦に向けて英気を養うためにも旨いもん沢山食ってもらわないとな!」
「それに、リルムも戻って来たお祝いも含めてね」
「お、お祝いだなんてそんな…」

 そう言ってリルムは顔を紅くさせながら食器をそそくさと並べていく。
 照れ隠しなのだろう証拠に、どの席にも何故かフォークが二本ずつ並べられていた。

「皆さんのお役に立てるかわかりませんが、最後の最後までお付き合いさせてください」

 リルムは丁寧に腰を折り、皆の前で深々と頭を下げる。
 と、レオが吐息を洩らしながら告げる。

「んなことわかってるって。また誰かさんに必要ないとかみたいなこと言われても気にすることはないからな」





2017/01/31(火) 語りべ
タイトル 魔王討伐の仲間へ3 今日の気分次回更新は2月7日(火)予定です






 丁寧に腰を曲げているその姿は以前リルムバークで見たときとは違い―――というよりも、かつて共に冒険していた頃のリルムのようだった。
 アルスは驚くというよりは嬉しさから思わず笑みを零す。

「勇者かどうか関係ないのと同じように…商人だから駄目、役に立たないなんて関係ないんだよ」

 アルスの言葉にストームは静かに顔を背ける。
 
「それに僕たちはリルムだからこそ一緒に旅をしていたんだ」

 リルムの傍に寄り添い、彼は優しく彼女の顔を上げさせる。
 そして見上げた彼女の眼差しに微笑みを返す。

「そう言ってくれて、戻って来てくれて嬉しいよ」

 直後、リルムの双眸から涙が溢れていく。
 リルムバークでの騒動が起きたあの日から、リルムは自分が作り上げた町の者達から否定され、かつての仲間からも否定され、自分を自分で否定した。
 一時期は自暴自棄にもなりロマリアの祖母宅で引きこもってばかりだった。
 しかし、何もかも失ったと思っていても、それでも純粋に浮かんだ願いはアルスやスイリ、レオたち仲間に会いたいというものだった。
 だからリルムは意を決し、アルスたちとの再会を願った。
 もう一度認めて貰うために。
 一人前の商人としてではなく、旅のメンバーとして。
 みんなの仲間として認めて貰うために。



 だが、最初から認めて貰う必要などなかったのだ。
 最初から、彼らにとってリルムはもう仲間だったのだ。
 リルムは喜びに溢れ出る涙を流し、微笑んだ。

「ありがとう…ございます」

 何度も何度も頭を下げて、リルムは感謝の言葉を述べた。






2017/01/23(月) 語りべ
タイトル 魔王討伐の仲間へ2 今日の気分次回更新は31日(火)予定です








「随分な言われ方してるような気がしますけど。ストームさんが同行してくれると心強いです」

 強く握りしめる掌。
 こうしてストームと握手をしたのは初めてだと思う半面、それが認められた証明のようでアルスは嬉しく思えた。
 と、そのときだ。

「一人だけ抜け駆けはずるいです」

 彼女の声は二人の背後から聞こえてきた。
 アルスとストームが同時に振り向くと、そこにはリルムの姿があった。
 リルムバークで再会したときは町を治める者らしい立派な衣装を着ていたが、今はかつて一緒に旅をしていたときの――商人らしい出で立ちでいる。

「わたしもまた皆さんと一緒に旅をさせてください」

 そう言って彼女はゆっくりとアルスたちの傍へ寄っていく。
 ストームはリルムを睨みつけるように見つめていたが、そんな視線も気にせず彼女は話しを続ける。

「わかってます。商人であるわたしなんかが一緒に魔王退治に行っても役には立たないって…でも、わかったんです。これが一番わたしのやりたかったことだったんだって」

 リルムは真っ直ぐな瞳をアルスとストームに向ける。
 彼女もまた、かつて問われ悩んでいた答えを、今ようやく見つけ出してぶつけているようにアルスには見えた。

「兄や姉のように立派な商人になって、町を興すこともやりたいことではありました。でも…でもそれ以上に、わたしは今、アルスさんや皆さんと一緒に旅がしたいんです!」

 我侭かもしれませんが、お願いします。
 そのために此処まで来たんです。
 そう言うとリルムは頭を深々と下げた。









2017/01/23(月) 語りべ
タイトル 魔王討伐の仲間へ1









 ストームの話しが終わり、まだ日は明るかったものの今日は明日に備えて船で休むことになった。
 甲板でアルスは一人、彼方を―――ネクロゴンド火山のあった方を見やる。
 遠くからでも覗けた火山の黒煙は消え去り、山の形も何処か変形したように見える。

「アルス」

 と、声が聞こえアルスは振り返る。
 其処にいたストームはゆっくりとアルスの隣に並ぶ。

「あの先――火山を越えた先には魔王バラモスの居城がある」

 アルスはその言葉に、静かに顔をしかめる。

「改めて今聞きたい。お前は魔王と戦うのか…勇者として」

 するとアルスは苦笑を零しながら答えた。

「正直、僕は勇者として行くつもりはありません」

 眉を顰めるストームの横顔が見えたが、それでも気にせずアルスはストームから視線を前方の景色に移し、言葉を続ける。

「僕はただ、この悲しい世界を変えたくて魔王を倒しに行くんです……なんて、言うとカッコつけた台詞ですけど」

 僕が勇者なのかどうかはきっとその後、色んな人が決めていくんだと思うから。
 そう付け足してアルスはもう一度ストームを見つめる。
 先ほどとは打って変わって瞳を見開いて見せたストーム。
 彼は直ぐに元の表情に戻し、そして僅かに口端を上げた。

「…本当に、少し見なかった間にまた変わったな」
「ストームさんもね」

 と、二人は互いに顔を合わせたまま、笑みを浮かべる。
 
「本当に…言うようにもなったな」

 そう言うとストームはアルスの前へ掌を差し出す。

「本来なら捨てた命だった。が、こうして生きながらえたのもお前のせいだ。こうなれば最後の最後までお前が勇者なのかどうか、同行して見極めてやるよ」

 アルスは表情を苦笑に変え、差し出されている掌へ自分も手を出して重ねた。