語り手

シキサイ奏デテ物語ル
黄昏の魔女と深緑の魔槍士

06/19(火)13:14
語り手
タイトル:黄昏の魔女と深緑の魔槍士~8
気分:次回更新は26日(火)予定です


 つまり、そんな店主たちから見れば、先ほどの少年が田舎から出てきたばかりの青二才であることは、容易に想像できるというわけだ。
 と、女店主――おばさんは眉尻を吊り上げながら「人聞きの悪いこと言わないで頂戴」と答える。

「軽い冗談のつもりだったんだよ。そもそも、こんなに大きく看板に値段書いてんのに、疑いもしないあの子が悪いのさ」

 と言って、女店主は背後に掛けられている看板へと目配せる。
 木製の看板には「自慢の特製ジュース2ゼニー!」という文字が躍っていた。

「まあ、あたしの冗談なんてのはまだまだ可愛いもんさ。でも、あの調子じゃあ…今日中には財布が空になってるかもね…」

 自身が騙したことはすっかり棚に上げ、反省する気もなく女性はケラケラと笑う。
 見かねて男は溜め息混じりに「あんたが言える立場じゃないだろ」とぼやき、それから再度遠くを見つめた。
 田舎から出てきた少年が、社会の厳しさを目の当たりにするだろう未来に哀れみ同情を抱きながら。





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