a.k堀内 葉那黒沢 修司

愛があるのか、ないのか、
Ep3_チョコよりも甘く

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交換日記レンタル - nikkijam

2019/11/22(金) a.k
タイトル 3-026. 今日の気分end.



ずっと黙って何を考えているのだろう?と思っていたけど、このことをずっと考えていたのか。と思うと笑えた。
修司の話を聞いた後に、フッと小さく微笑んだ。

「修司。罰金だよ」

そう言ったら修司は、クスッと笑った後に、「そうだったな」と言った。

「でも、今日はベイサイドまでサンダル持ってきてくれたし、家まで送ってくれたから罰金はなしにしてあげる」

そう言った後に、「――――もう、楓ちゃんとは仕事しない」と言った。

「え?」

と、修司は驚いていた。

「正直……楓ちゃんと一緒に仕事するのは辛い。いくら二人が罪悪感を持たなくていいって言っても、私はやっぱり楓ちゃんを見ると二人のことを思い出してしまう。だから……もう一緒に仕事はしない」
「それで仕事がなくなってもいいのか?」
「また新しい仕事見つけるからいい」
「前向きだな」
「修司に似たんじゃない?」

顔を見合わせると、二人で微笑んだ。


2019/11/22(金) a.k
タイトル 3-025.



――――それから私たちはまた言葉を閉ざし、一言も話さないまま如月写真館近くの駐車場に着いた。特にこれと言った会話はなく、何とも言えない空気が二人の間にあったが、修司が家まで送ってくれることになった。
商店街の中の明かりは灯っているが、時間的に営業を終えている店が多くて殆どがシャッターを閉めていた。歩いている人もまばらだったが、私の格好を見て物珍し気に通り過ぎて行く。
営業時間を終えてシャッターが閉まっているうちの店の前に着くと、私たちは歩いていた足を止めた。

「今日はありがとうございました。助かりました」

と、一礼して言った。

「いや……」
「……………」
「……………」
「………あっ、サンダル――明日でいい?」
「ああ」
「……………」
「……………」
「…………じゃ、じゃあ……帰ります。おやすみなさい」

と、再び一礼した時だった。

「おまえは、もう罪悪感なんか抱かなくていいんだからな」

と、修司。
勢いよく頭をあげて、修司を見る。

「俺と楓のことで、ずっと罪悪感抱えてたんじゃないのか?今日、楓も言ってたけど、おまえのことは単なるきっかけに過ぎないんだよ。たとえ、あの日おまえからの電話がなくて別れなかったとしても、俺達はきっとダメになってた。それは今になって思う。―――だから、俺たちはこの選択で間違いなかったんだって思ってる」


2019/11/22(金) a.k
タイトル 3-024.



楓ちゃんと別れた私たちは、修司が乗って来た『如月写真館』と社名が書いてある軽自動車に乗り、兎町商店街へと向かっていた。
車を走らせて数分経っているが、お互い口を開かない。私たちの代わりにFMラジオがしゃべっている。この車内の空気には似つかわしくない元気いっぱいのDJ。それだけでも笑えるのに、軽快な曲を流し始めた。それがなんだか可笑しかった。

「―――なに、笑ってんだよ」

思わず笑いがこぼれた私に気が付いた修司が、チラリと私を見て言った。
笑みをこぼしていた顔を元に戻して、「――べつに。笑ってないよ」と言った。
修司は納得いってないような感じだったが、それ以上何も言わなかった。

「―――ねぇ、修司」

と、呼びかけると、「なんだよ」と返事をする。

「楓ちゃんとのこと、これで良かったの?」
「おまえ、ホントしつこいな」

と、呆れ気味に言う。

「だって、修司が結婚したいと思っていたぐらい好きだった女性でしょ?」
「じゃあ、逆に聞くけど。俺がまだ未練あるっつったら、おまえどうすんの?」
「その時は、ちゃんと二人を応援するよ」

その言葉に嘘ではないけど、どこか嘘をついたような感覚になった。
修司はうんざり気味に大きく息を吐くと、「――――おまえのその言葉に愛が感じねぇな」と言う。

「なにそれ」
「俺のことなんかどうでもいいって聞こえる」
「誰もそんなこと言ってないじゃない」
「この先、この話持ち出したら500円罰金な」
「はあ?!」

と、思わず大きい声が出た。


2019/10/21(月) a.k
タイトル 3-023. 今日の気分end.



「好きじゃなかったら、結婚しようって言わねぇよ」

修司はまっすぐに楓ちゃんを見ていて、楓ちゃんは修司の顔を見ながらニコッと微笑んだ。
楓ちゃんの笑顔を見ていた修司も自然に顔を緩めていた。
そんな二人を見ていた私は、二人にしかわかりえない何かがあるのだと気づいて、胸の中がチクンと痛んだ。


2019/10/21(月) a.k
タイトル 3-022.



「おまえは黙ってろよ。おまえが絡むと話がややこしくなるから」
「どうしてよ。私が二人の仲を壊したんだから。修司のせいでも楓ちゃんのせいでもないじゃん」
「だから、違うって言ってんだろ。俺の優先順位に問題ありなんだよ。おまえは関係ないの」
「でも―――」
「でも、じゃねぇよ。これは俺と楓のことなの。第三者は黙ってろ」
「なによ!そんな言い方しなくてもいいじゃない!」

と、怒っている私に修司苛立ちながら、「いいから黙ってろ。これ以上しゃべると置いて帰るからな」と言う。

「なにそれ……」

と、さっきの勢いをなくして小さい声で言った。

「―――そういうところだよね。修ちゃんの葉那ちゃんに対する優しさを……私はずっと気づかないふりをしてたのも原因なんだよね」
「なに?どういうこと?」

修司の言いつけを守らず、私は口を開いた。

「葉那ちゃんのことはきっかけに過ぎなくて、本当は二人が悪かった、ってこと」

楓ちゃんは修司の目の前に改めて立った。

「修ちゃん。結婚式の時のことは、本当にごめんなさい」
「いや、俺の方こそ。ごめん」
「修ちゃんに一つだけ聞きたいことがあるんだけど……、いいかな?」
「なんだよ」
「私のこと、好きだった?」

楓ちゃんの言葉に何故か私の胸の中で緊張感が生まれる。
修司はなんて答えるのだろう?と、修司の顔を見た。


2019/10/21(月) a.k
タイトル 3-021.



「我慢しろ」
「うん……」
「―――じゃあ、帰るか。荷物これだけか?」

ベンチの上に置いていた私の荷物を手に取ると、修司は言った。

「うん」

と、返事をした時、「――ねぇ、待って」と楓ちゃんは私を――と言うより、修司を引き留めるかのように修司の方を向いて言った。
それから、「修ちゃん」と修司を呼ぶ。

「なに?」
「結婚式のこと……本当にごめんなさい」

と、頭を下げた。
その姿勢のまま、「ずっと謝りたいと思ってたの。あの後の両家の話し合いでも私……顔出さなかったから……」と続けた。

「今更な話だな」
「でも、私が悪いから」
「俺―――今になって思うんだけど。あのまま結婚していても、俺達上手くいかなかったよ」
「どうして?」
「あの時の俺の行動が全てを物語ってると思うから。あの時はそのことに気づかず、楓の言っていることが理解出来ず、結果傷つけてしまってたよな。だから、謝るのなら俺の方だよ」

そう言った後に修司は姿勢を正して、楓ちゃんの目を見ると、「俺の心無い行動のせいで、嫌な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした」と謝罪して頭をさげた。
その様子を見ていた楓ちゃんは、「やだっ、修ちゃん。頭上げてよ」と修司の元へと近づく。

「――――ねぇ、待って。修司が全部悪いわけないじゃん。全ての元凶は私なんだから」

二人のやりとりを見ていて、口を出さずにはいられなかった。


2019/10/21(月) a.k
タイトル 3-020.



修司も楓ちゃんの姿を見て、何も言えないぐらい目を丸くして驚いた顔をしていた。でも、修司はすぐにいつもの表情に戻して冷静を装うように、「楓もパーティに出席してたのか」と言った。

「うん」

そう言った後、「修ちゃん、元気だった?」と聞く。

「まぁ、見ての通り」

そう言った修司を見て 、楓ちゃんは微笑む。
楓ちゃんの笑顔を見ていたら、修司に会えて嬉しそうだなぁ…ということが感じるぐらい素敵な笑顔を見せていた。
そんな楓ちゃんの笑顔を見ていると、胸の中が少しずつ気持ち悪くなってくるのを感じ始める。
胸の中がぐにゃぐにゃして気持ち悪い。

「おまえ、また酒飲み過ぎたのか?」

と、胸の辺りを抑えていたら修司は言った。

「え?なんで?」
「胸元押さえて、眉間にしわ寄せてブッサイクな顔になってるから」
「ブサイクで悪かったわね」

修司に苛立っている横で、「葉那ちゃん、大丈夫?辛いならお水買ってくるけど?」と楓ちゃんは心配してくれていた。

「ありがとう。でも、大丈夫だから」

と、微笑んだ。

「葉那。これ、サンダル。先に言っとくけど、俺のサンダルだからな」

と、言って、修司はコンビニ袋を私に手渡す。
受け取ったコンビニ袋の中身を見たら、修司が普段履いているゴム製の足の指が全部出るようなデザインのサンダルが入っていた。

「楽って言えば楽だけど……足が全部前に行って歩きづらい……」

サンダルに足を入れて、少し歩いた感想を述べた。


2019/10/21(月) a.k
タイトル 3-019.



楓ちゃんを見て、ヤバいな。と思ったが、表情に出せるわけなく笑顔を作った。

「葉那ちゃん、こんなところで何してるの?」
「あ―――……っと、ちょっと飲み過ぎたから、風に当たってから帰ろうかなって……」
「そうなんだ。足は?大丈夫?」
「あ…うん。さっきよりかは……。楓ちゃん、その節は色々ありがとうね」
「ううん。そんなのお礼を言われるようなことじゃないから」

この後の会話が浮かばず、少しの沈黙になった時。
楓ちゃんは何か言いにくそうに、「葉那ちゃん……。あのね……」と顔をうつけて重そうに口を開いた。
それだけで、私の心の中は緊張に包まれる。

「な…、なに?」
「修ちゃんが……迎えに来るんだよね?」

と、楓ちゃんは顔を上げて私を見る。

「え……?」
「ごめん。見るつもりはなかったんだけど、葉那ちゃんが絆創膏を貼りにトイレへ行った時、椅子の上に置いていた携帯電話が修ちゃんのメッセージを受信して画面に表示されて…………見えたの。ごめん」
「………あ――……そっかそっか……」

なんて返せばいいのか、自分の経験不足のなさから分からない私は言葉を詰まらせた。
再び沈黙になり、重苦しい空気が漂い始めた頃。

「葉那」

と、修司の声が聞こえた。
声がした方を向くと、コンビニ袋片手に修司が現れた。

「修ちゃん……」

突然目の前に現れた修司に楓ちゃんは、瞬きするのも忘れるぐらい驚いているようだった。


2019/10/21(月) a.k
タイトル 3-018.



楓ちゃんが貰ってきてくれた絆創膏を貼ったことで多少足の痛みは軽減されたが、痛みが全部取れたわけでもないので、立っていることが精一杯な状態が続いていた。
パーティが終了する少し前に修司からこちらへ向かっていると連絡が入り、一足先に会場を後にした。
痛む足を抱えながら、待ち合わせ場所にしたベイサイドモールの広場にある観覧車近くのベンチに座り、修司が来るのを冷たい真冬の風に吹かれながら待つ。風向きによっては、海の香りが鼻について程よくお酒が入っている私を気持ち悪くさせる。
時間的にはカップルが寄り添い合うような時間帯で、仲良さげに手を繋いでいるカップルや海辺を眺めているカップルもいる。周辺に設置されているベンチには、カップルが仲良く寄り添って座っていた。

――――― 真冬の寒空の中にいるカップルって……無敵なんだな。

風を遮る建物がなく、真冬の風をストレートに受けるような場所で、カップルが幸せそうな顔をしている姿を見ているとそう思った。
ヒールを脱いで足を意味なくブラブラさせたり、携帯電話を弄ったりして時間を潰していると、傍から見たら男に振られた可哀想な三十路女に見えるかもしれない。

――――― 修司、早く来ないかな……

いたたまれない気持ちになり、修司が早く迎えにくることを願ってしまう。

「葉那ちゃん」

うつむいて祈っていた時に、修司の声ではなくて女性の声で名前を呼ばれた。
顔を上げると、少し前から楓ちゃんが小さく手を振って微笑んでこちらへとやってくる。


2019/09/20(金) a.k
タイトル 3-017. 今日の気分end.



「ひどい……。足がボロボロで1歩も歩けないなのに……」
『履き慣れてない靴履くからだろ』
「パーティにスニーカーではいけないじゃん」
『だったら、ホテルに着いてからヒールに履き替えればよかっただろ』
「私は修司みたいにそこまで頭がまわらないの」
『バカだもんな』
「バカって言うな」

修司は大きく息を吐いた後に、『―――わかったよ』と言い、それから、『とりあえず、今から如月さんに車借りられるか聞くから。また後で連絡入れる』と約束して電話を切った。
修司との電話を終えたそのタイミングで、「葉那ちゃん」と私を見つけた楓ちゃんが私の元へとやってきた。
楓ちゃんは私とは違い、踵の高い靴を履いていても颯爽に歩いている。
それだけで大人の女として尊敬してしまう。

「どうしたの?疲れた?」

と、靴を脱いで座っている私を見て楓ちゃんは言った。

「靴擦れで足が痛くて……」

ストッキングの上からでも血が滲んでいる私の足を見せた。

「うわぁ――……痛そうだね。絆創膏と消毒液貰ってこようか?何もしないよりいいよね」
「ありがとう。助かる」
「じゃあ、ちょっと待っててね」

そう言うと、絆創膏を貰うために楓ちゃんは私から離れて行った。