a.k堀内 葉那黒沢 修司

愛があるのか、ないのか、
Ep3_チョコよりも甘く

次は 堀内 葉那


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交換日記レンタル - nikkijam

2020/03/26(木) a.k
タイトル 4-022. 今日の気分end.



「早く会いたい……」

自分の想いが溢れて言葉になる。
それがまた恥ずかしくて布団を頭まで被り、両足をバタバタと動かして何とも言えない恥ずかしさに悶える。

「あと2日……」

バタバタしていた足を止めて、そう口にした。
修司が帰国して来るまであと2日。
たった2日が長く感じる。



2020/03/26(木) a.k
タイトル 4-021.



「何って……、酔いを覚ますために夜風に当たってんだけど」
『さっさと帰れよ。あぶねぇなぁ』
「心配しなくても大丈夫だって」

そう言って笑うと、『いいから、さっさと帰れ』と修司。

「わかったわよ。うるさいなぁ~」

そう言って私はしぶしぶ立ち上がった。

『ちゃんとまっすぐ帰れよ』
「はいはい」

と、返事をした後に、少し歩いてすぐに足を止めた。

「………ねぇ、修司」
『なんだよ』
「あ、あのさ…………、私のお願い聞いてくれる?」
『なに?』
「修司の部屋……、行ってもいい?」

ドキドキした胸を抱えながら聞いてみた。
すると修司は、『いつ?』と聞く。

「……今日」
『俺、そこにいねぇよ?』
「……ダメ?」
『じゃあ、俺が戻って来るまで留守番しててよ』
「うん……。修司の部屋で待ってる」


その日の夜、私は修司の匂いに包まれて眠った。
修司に抱きしめられているような、側にいるような、そんな感覚になって夢の中で修司と久しぶりに再会した。
修司の部屋で朝を迎えた日は、隣には当然ながら修司はいないけど、穏やかに眠れたようにさえ感じる。目覚めの良い朝はこういうことを言うのかもしれない。
朝を迎えて、修司への想いが昨日よりも増しているような気さえしていた。昨日の夜、久しぶりに修司の声を聞いたからなのか、会いたいのに会えない寂しさから生まれているものなのか、自分でもわからない。


2020/03/26(木) a.k
タイトル 4-020.



「修司こそ、元気そうで良かった」
『中々連絡出来なくて悪かったな』 
「ううん……。連絡がないってことは、仕事が順調に進んでるってことでしょ?そう思ってたから大丈夫だよ」
『ギャラリーはどうだった?今日最終日だっただろ』
「なんとか無事に終わった。次の仕事につながるような話もあったけど……、まだ確定じゃないからなんとも言えないけどね」
『それでも良かったじゃないか』
「うん。まぁーね。それより、そっちはどうなの?」
『最初はやっぱり緊張して上手くシャッター切れなかったけど、撮っていくうちになんとか撮れるようになったよ』
「そっか。良かったね」

少しの沈黙の後、『葉那』と私の名前を呼ぶ。

「ん――?」
『こっちの夜空ってすげぇ綺麗なんだよ』
「そうなんだ」
『明かりが少ないから、星がすげぇ綺麗に見えてさ……』
「へぇ――……、いいね」

そう言って、夜空を見上げた。
星はあいにく僅かしか見えなかった。

『いつか……二人で見に来るか』
「うん。見て見たい」

未来の約束をすることが、少し気恥ずかしい。
それでいて、嬉しい。
こういう気持ちをずっと忘れていたように思う。

会話が少し途切れた時、どこかで救急車のサイレンの音が聞こえてきた。
それが聞こえていたらしい修司は、『おまえ、今どこ?』と聞いてくる。

「どこって……、商店街の中の公園」
『誰と?』
「一人」
『はぁ?!おまえ何やってんだよ。そんなところで』


2020/03/26(木) a.k
タイトル 4-019.



「…………思い出すと、あいつって結構ムカつく男じゃない?」

思わず、クスッと笑ってしまう。

「それでも……好きだったんだよなぁ……」

口に出して言葉にすると、心の中が意外に冷めていたことに気がついた。
然を好きだった頃が、遠い昔のことのようにさえ思えてくる。
それぐらい私の心の中には、修司がいる

「修司かぁ――……」

そう呟いて、夜空を見上げた。
修司のことを考えると、顔が自然とにやけてしまう。
いつの間にか、心の中が修司でいっぱいになっている。

「会いたいなぁ――……」

酔っているせいなのか、心の中の想いが素直に口に出る。
ほんの数日会えないだけで、こんなに寂しいなんて……知らなかった。
せめて電話でもかかってこないかなぁ……。なんて願っていた矢先、静かな公園に私の携帯電話の着信音が響く。
ビックリして、カバンの中から携帯電話を探して取り出した。着信相手は修司だった。神様が願いを聞いてくれたかのように嬉しくなったのと同時に、胸の中が騒ぎ出して緊張してしまう。

「も…もしもしもし……」
『何回言うんだよ』

と、相変わらずの冷めた修司の口調にさえ嬉しさが込み上げてくる。

「お、おまけだよ。おまけ」
『相変わらず意味わかんねぇなぁ』
「べつにいいじゃない。うるさいなぁ」

そう言ったら、電話の向こうで鼻で笑っているのが聞こえ、『―――まぁ、元気そうでなによりだよ』と言う。


2020/03/26(木) a.k
タイトル 4-018.



「パーカーのフードをかぶってサングラスをかけていたので、お顔はよくわからなかったんですが……」
「名前は?聞いてくれた?」
「それが……お聞きしたら、『さすらいのギターマン』とか名乗って……本当の名前を教えてくれなかったんです。それだけじゃあ、わからないですよね」

そんなバカなことを言う男は、然しかいない。
だけど、確証がなくて疑心暗鬼だったが、ゆっちんが見かけたというのなら間違いなく然なのだろう。

――――― どうして……、今頃になって私に会いに来たんだろう?

最低な別れ方をして3年も経ったというのに、今頃になって会いに来た然の真意がわからない。
最近ようやく然とのことを思い出すことはなくなって、修司と二人で歩んで行こうと思っている矢先で、然が私の邪魔をしているように思える。



1時間程『USAMIYU』で飲んだ後の帰り道。酔いを覚ます意味も込めて商店街にある公園に立ち寄った。相変わらず夜の公園には人気はなく、貸し切り状態。ブランコに乗って少しだけ漕ぐと、春にはまだ早すぎる冷たい風が酔いで火照っている私の顔を冷やしていく。

「なんで……今頃になって然……」

ブランコを漕ぎながら頭の中で然とのことを無意識に思い出す。
出会った時のこと、付き合ったばかりの時のこと、1年目で然が浮気したこと、お金がなかったけど楽しかった日々のこと、喧嘩して数回別れを繰り返したこと、私よりも音楽を大事にしていたこと、私のわがままを聞いてくれなかったこと、6年間の数々の思い出がよみがえる。


2020/03/26(木) a.k
タイトル 4-017.



「あんたの元カレ」
「レンタなら、今日じゃなくて初日に来たけど」
「違うわよ。然くんよ」

その名前に鼓動がひとつ跳ねる。

「え?」
「パーカーのフードかぶってサングラスかけていたから確信出来ないんだけど、あれは然くんだと思う」
「そんな状態でよくわかったね」
「わかるわよ。あたしたちだってよく会ってたんだから」
「まぁ……そうか……」
「彼、来てたんだよね?」
「残念だけど、人違いだよ」
「ホントに?あれは絶対然くんだと思うんだけどなぁ……」
「――っていうか、あいつ今ツアー中だし。それにギャラリーのこと知ってるわけないでしょ」
「よく知ってるのね。元カレのこと」
「一応これでも音楽雑誌の人と繋がりがあるからね」
「じゃあ、やっぱりあたしの見間違いか」
「元カノに会いに来るほど、あいつもそんな暇じゃないでしょ」
「それもそうか。ごめんごめん。変なこと言って」

そう言うと、ゆっちんはお客さんに呼ばれて私の前から離れて行った。
ゆっちんが私の元から離れてから、グラスを手に取りビールを一口飲んだ。

「……………」

ゆっちんが見た人は、間違いなく然だと思う。
今日のお昼過ぎ。私がお昼を食べに行っている間に男性が一人訪ねてきた。と浜辺さんが教えてくれた。


2020/03/26(木) a.k
タイトル 4-016.



修司が海外撮影へと旅立ってから2日後。商店街ギャラリーの初日を迎えた。初日には地元テレビの中継が入っていた。地元の情報番組の人気レポーターがイベントの紹介をしてくれたおかげで、いつもより商店街に人が流れてきていて賑わいを増していた。
テレビの影響のおかげで5日間行われた商店街ギャラリーは、人が途切れることなく大成功で幕を降ろした。
私たち3人のギャラリーにも大繁盛までは行かなかったが、それなりの人の目には触れることが出来たと思う。次の仕事への繋がりが出来たかどうかはわからないが、有難いことにもそう言ったような話を聞くことも出来たので、参加して良かったと思った。

「最初は躊躇ったけど、一緒にやった二人からもいい刺激を貰ったし、次の仕事にも繋がりそうだし、今はやって良かったなって思ってる」

商店街ギャラリーの最終日の夜。片付けも終えて『USAMIYU』に行くとてっちゃんが、お疲れ様の意味を込めて奢ってくれたグラスビール片手に私は感想を述べた。

「良かったじゃない」

と、ゆっちんは、私が頼んだ生ハムサラダを持ってくると目の前に置いた。

「うん」
「商店街的にも予想以上に賑わって、矢萩さん喜んでたよ」
「あのテレビ中継が良かったんじゃない?あれを見て来てくれた人多かったし」
「結構みんな見てるんだね」

そう言った後、グラスビールを手にして一口飲んだ。
それから生ハムサラダを食べようとした時、「ねぇ……、今日来てた?」とゆっちんは小声で言う。
誰のことを指しているのかわからず、「誰が?」と尋ねた。


2020/02/23(日) a.k
タイトル 4-015. 今日の気分end.



「とりあえず、俺が戻って来るまでの間、考えといてよ」
「……………わかった」
「――――よし。じゃあ、帰るか」
「うん……」

胸の中のドキドキがおさまらない。
自分がどれだけ大事にされていたのか、今日ほど修司の愛を感じたことはなかった。
嬉しさが、私の中で増していく。



2020/02/23(日) a.k
タイトル 4-014.



「ゆっちんが、南の島で水着撮影したら修司は間違いなく浮気するって言ってたよ」

修司は鼻で笑い、「あの女、ロクなこと言わねぇな」と言う。

「ゆっちんは心配してくれてるんだよ」
「俺の浮気が?」
「私たちもその間違いから始まっ……」

9割ほど言い終えた時に、これ以上言うとまるで私が気にしているような感じになる。と気づき、思わず言葉を止めた。
だけど、変なところで止めてしまったせいで修司は勘づいたのか、「俺達も間違いから始まったから、向こうで間違いが起こってもおかしくないってか?」と言った。

「私は思ってないよ?思ってないけど……ゆっちんが……」
「だったら優奈に言っとけ。葉那だから間違いが起こったってな」

その言葉に、一つ胸の音が跳ねる。
修司の言葉に不覚にもときめいてしまった私をよそに修司は、「―――葉那」と名前を呼ぶ。

「な、なに?」
「俺が帰ってきたら……」
「うん……」
「…………」
「…………」
「…………」
「なに?早く言ってよ」

中々続きを言わない修司を急かす。

「ちょっと決心が揺らいだ」
「なんの決心?」
「関係を進めようか、現状維持のままでいようか、の決心」

その言葉に驚いて私は、抱き合っていた体勢を解いた。
修司の顔を見ると修司も私の顔を見ていて、「本音を言えば、関係を進めたい」と言う。

「……………」
「でも、おまえの気持ちを無視することはしたくない。今まだ無理ならそれでもいい」
「……………」


2020/02/23(日) a.k
タイトル 4-013.



「なに?」
「撮影に行くまでの間で、こうやってゆっくり会えるのって、たぶん……今日だけだと思うんだよ」
「うん」
「だから―――」

そう言った後に、立ち上がる修司。
そして、私の目の前に立つと、「抱きしめてもいい?」と言う。

「え……?」

修司の言葉に胸の鼓動が大きくひとつ跳ねて、それがスタートの合図のように胸の中がドキドキと早鐘になった。

「エネルギーチャージ…的な?」
「は?なにそれ」
「いいから、早く立てよ」
「ええ――?なんかロマンチックの欠片もないじゃん」
「ロマンチックがいいのか?」
「…………いや、やっぱりそれはいい」
「だったら、さっさと立て」
「なんだかなぁ……」

腑に落ちなかったが、ロマンチックにされたらされたで恥ずかしさが倍増しそうだったので、重い腰を上げて修司の前に立った。
修司は一歩私の前へ近づいてくると、私を優しく抱きしめた。
抱きしめられた瞬間、緊張感や恥ずかしさよりも久しぶりに修司を感じることが出来て、どこか安心したような気分になる。

――――― エネルギーチャージしてるのは、私の方かもしれないな……

修司と抱き合っている間、心の中が不思議と穏やかになり、大事にされているような、愛されているような、そんな感覚で私の方がエネルギーチャージをされているような錯覚になっていた。

「エネルギーはチャージ出来た?」

そう聞くと修司は、「もう少し」と言う。
私はそれにクスッと笑う。