a.k堀内 葉那黒沢 修司

愛があるのか、ないのか、
Ep2_何が正しくて、正しくないのか、

次は 堀内 葉那


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交換日記レンタル - nikkijam

2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-047. 今日の気分end.



「たかが夫婦茶碗。されど……夫婦茶碗」

と、呟いた後、「捨てられないのは、まだ忘れられないから?」と続けた。

――――― あんなに平気で楓ちゃんの茶碗使っていたのに、なんで今は嫌なんだろう……?

突然、側に置いていた携帯電話が鳴った。
着信相手は、修司。
いつもよりも少し緊張しながら電話に出ると、『もしもし?おまえどこにいるんだよ』と少し苛立っている口調で言う。

「どこって……、家だけど」
『だったら早く来いよ。昨日おでん食べるって約束しただろ』
「あ――……、そうだっけ?忘れてた」
『はぁ?!ふざけんなよ。こっちは腹減って死にそうなんだよ』
「ごめんごめん。今から行くから」
『ダッシュで来いよ。待ってるからな』


2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-046.



描いた後に自己満足で、「似てる似てる」と言って一人で笑った。
それから隣に私も描いてみた。
並んでいる二人のイラストを見ながら思う。

「……好き?」

口に出して言うと、急に恥ずかしくなって、「いやいやいや、ありえない。ありえない。修司だもん」とすぐに否定。
しかしすぐに冷静になり、「―――いや、でも。待って。……好きになっていいのか。好きで……」と修司を描いたイラストに指で触れる。
目の前にあったペンを手に取ると、私と修司の間にハートを描いた。
描いたハートを見て、自然と顔が緩む。
―――が、女子高生でもない私はすぐに冷静を取り戻し、「恥っず!何やってんの?バッカじゃないの!」と二人のイラストを消すように殴り書いた。

「めっちゃ単純な女じゃん……私……」

と、修司への想いを自覚した恥ずかしさから顔を机の上に伏せた。
しばらくしてゆっくり顔を上げて、冷静にその絵を見つめた。

「今でも……楓ちゃんのこと想ってる?忘れるために私を利用した?」

と、呟き、「――――いやいやいや、私もそうじゃん。私も然のことを完全に吹っ切ろうとして―――……」と言った後に気がついた。
最近、然のことを考えてないことに……。

「然以上に修司の存在が大きくなってるってことなの……?」

もう一度、自分が描いたイラストを見たら、キッチンの棚の隅にあったあの夫婦茶碗を思い出した。
胸の中が少しずつ曇って行く感じがする。


2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-045.



「なんで葉那が驚くんだよ」
「いや、だって……そんなこと考えたことなかったから」

レンタは頭を抱えながら、「……ちょっと、疑問があるんだけど」と言い、「どんな流れが二人にあったのかは知らないけど、相手に好意があるからそういう関係になったんだろ?」と続けた。

「……………」
「おいおい。葉那。大丈夫かよ?」

と、レンタは呆れていた。
レンタに言われて気がついた。
私は相手に求めるばかりで、肝心の自分の心がどうなのか、向き合っていなかったことに。

私は、修司のことをどう思っているのだろう……?



レンタが帰ってからその日は、1日家にいて仕事をした。本当はお酒が残っているからウダウダとしていたかったけど、何かをしていないと落ち着かなかったから。
頭の中を切り替えるように楓ちゃんの取材を同行した時のミュージシャンの似顔絵が描けるかスケッチブックで練習。しっかりした絵じゃなくて、デフォルトな可愛いイラストが良い、と指示も受けていた。何度も描いて似るように寄せていく。自分が作る人物じゃないだけに特徴を掴まないとその人物にはならない。似顔絵を描いた経験が少ない私にとってそれはとても難しかった。

「あ――……なんか疲れてきた」

と、言って、持っていた鉛筆を置いた。
色々なパターンを描き過ぎて、似てるのか似てないのか、正直わからなくなってしまった。

「修司なら簡単に描けるのに」

そう言って、鼻歌交じりで再び鉛筆を持つと、可愛い感じの修司を描いた。


2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-044.



「あれから……どうなった?」
「どうして?」
「俺……余計なこと言ったよな?」
「そうだね。余計なこと言ったよね」
「ホント、マジごめん!」

と、レンタは頭を下げる。

「余計なこと言ったのは事実だけど、謝らなくていいよ」
「いや、でもさ、俺のせいでこじれたりしてたら……」
「いや、ホント気にしなくていい。多少のムカつきはあるけど、レンタが言ったことは間違ってないし」

レンタは少し黙り込んだ後に、「―――なぁ、おまえらホントに愛し合ってないの?」と聞く。

「よくわかんない」
「なんだよ。それ」

と、レンタは軽く笑う。

「確認したことないもん」
「は?なんだそれ」
「なんか……流れに沿ったって感じだし」
「どんな流れだよ」
「それは―――……言えないけど。まぁ、色々あるの」
「じゃあ、聞けばいいじゃん」
「簡単に言わないでよ」
「簡単だろ。『私のこと、好き?』って言えばいいだけなんだから」

と、レンタは笑う。
レンタの言葉に、「子どもじゃないんだから」と私は鼻で笑った。

「バカだなぁ。そういう愛情確認って年齢関係ないだろ。ちゃんと言葉にしないと相手には中々伝わんないもんだろ」
「……………」
「それとも―――あいつから答え聞くのが怖い、とか?」

と、レンタはまた笑う。

「それじゃあ、まるで私が修司のこと好きみたいじゃない」
「あいつのこと好きだろ」

と、私を見るレンタ。
そんなレンタを見る私。

「……………」
「……………」
「「………え?」」

少しの沈黙の後、二人の声が重なった。


2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-043.



「了解です!」

真由果ちゃんは元気よく返事をすると、バタババタッと足音を立てながら廊下を小走りに走って、階段を降りて行った。



殆どすっぴんのままいつものようにトレーナーと小汚いGパン姿に着替えたら店に向かった。裏口から店内へ入ると、ちょうどランチタイムと重なっていて店内は賑わっていた。
お酒が体の中で残っている状態でのデミグラスソースの匂いが気持ち悪い。胸を押さえながら店内を見渡すと、店の出入り口側にある二人掛けのテーブル席にレンタが座っていた。

「久しぶりに食べたけど、葉那パパのハンバーグやっぱり最高っスね!」

と、お父さんに向かって調子の良いことを言い、デミグラスソースのかかったハンバーグランチを美味しそうに食べている。

「またいつでも食べにおいで」
「もちろん来ますよ!」
「来なくていいから」

そう言って、食べているレンタの目の前に座った。

「おう。葉那」
「おう、じゃないわよ……」

目の前で食べているレンタの姿が気持ち悪い。

「なに?おまえ、二日酔い?」
「二日酔いもあるけど、デミの匂いが……気持ち悪い……」

そう言ったらレンタは、「まだ嫌いなんだ。葉那パパのデミグラスソース美味しいのに」と言ってハンバーグを目の前で美味しそうに食べる。
その姿が嫌で自然と眉間にしわが寄る。

「―――で、何しに来たのよ」

と、言ったら、レンタは食べていたハンバーグを飲み込み、手に持っていたナイフとフォークをテーブルの上に置いた。


2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-042.



「……なに?」
「あんたたちは、いつまでこういう生活続けていくつもりなの?」
「わかんないわよ」
「わかんないって、大事なことでしょ」
「べつにいいじゃない。このままでも」
「よくないでしょ。ちゃんとそういうところも話し合いなさいよ」
「気が向いたらね」
「なんだったら、お母さんが修司くんに言おうか?」
「余計なことしないで」
「あんたが言えないなら、お母さんが言ってあげるわよ」
「ホントに余計なことしないでよ。したら、怒るからね」

頭から被っていた毛布を勢いよく脱いで、お母さんの方を見た。

「わかったわよ」

あまり納得いってない表情を見せるお母さん。
だけど、これ以上何か言って私の機嫌が悪くなるだけだと母親らしい勘が働くのか何も言わなくなった。
ゆっくり上半身を起こすと、「忘れてたけど、昨日あなた宛てに郵便きてたわよ」と言って手に持っていた白い封筒を私の膝の上に置いた。
封筒には企業名が書かれてあった。それを確認した後に開封しようとした矢先、「葉那さ――ん、男性のお客様がお店にお見えですよ」と真由果ちゃんが部屋の入り口からひょっこりと顔を出して言う。

「誰?修司?」
「違いますよ。修司さんなら、あたしだってわかりますよ」

と、真由果ちゃんは笑う。

「誰?」
「えっと……、名前を聞くのは忘れちゃったんですが、みーくんがレン……タくん?とか言ってたかも……」

と、首を傾げながら言う。
私は大きく息を吐いた後、「――わかった。ちょっと待っててって言っといてくれる?」と言った。


2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-041.



「葉那!いつまで寝てるの!もうお昼よ!いい加減起きなさい!」

翌日。勝手に部屋に入って来たお母さんの大きな声で目が覚める。
目が覚めると同時に昨日のお酒が思いっきり体の中に残っていて、気持ち悪さが半端ない。

「なに?この部屋。お酒臭い……」

そう言うと、お酒の香りが残っている部屋の空気を入れ替えるために部屋の窓を全開にする。
春にはまだまだ早い冷たい冬の風。部屋の中で漂っているお酒の匂いを少しずつ消して行ってくれるが、同時に部屋の中の温度も奪っていく。

「あんた、部屋で酒盛りしてたの?」

お母さんは、ローテーブルの上に並んでいる缶ビールと缶チューハイの空き缶を見て呆れていた。
何も言わずに黙り込んでいると、お母さんに掛け布団を勢いよく剥ぎ取られて、「いい加減起きなさい。何時だと思ってるの!」と、これまたお酒が残っている頭に響くぐらいの大きな声を耳元近くで放つ。

「寒いじゃん!」
「いい加減起きなさい!30になろうかといういい大人がお昼までダラダラと……情けないったらありゃしない」
「うるさいなぁ。別にいいじゃん。やることちゃんとやってんだから、ダラダラしたって」
「修司くんがこんな姿見たら、がっかりするわよ」
「しないわよ。今更」

と、言いながら、腰辺りにあった毛布を頭までかぶった。
お母さんはベッド脇に腰を下すと、さっきまでの大きな声ではなくて落ち着いた声で、「――ねぇ」と言う。


2018/12/04(火) a.k
タイトル 2-040. 今日の気分end.



「送ってくれてありがとうございました」

と、他人行儀な挨拶をして、軽く頭を下げた。
修司は黙り込んだまま何も言わないから、「……じゃあ、おやすみ…なさい」と言って、店横の路地から家へ行こうとした矢先に修司が「葉那」と私の名前を呼んで引き留める。
ただそれだけなのに、体中に緊張が走る。

「な、なに?」

あのことを言われるのかと、ドキドキしながら返事をした。

「明日の夜、残りのおでん食いに来いよ」
「……え?おでん……?」
「大量に残ってんだよ」
「…………」
「食いに来いよ」
「……うん」

一番触れたくないことを言われるのかと思っていたのに、予想外のことで驚く。

「約束だからな」
「……うん」

そう返事をすると、「じゃあ、また明日な」と言う。

「……うん。また明日」
「おやすみ」
「おや…すみなさい……」

修司はくるっと向きを返ると、元来た道を歩き始めた。
修司の後ろ姿を小さくなるまで見送った。


2018/12/04(火) a.k
タイトル 2-039.



レンタの言葉に、「はぁ―――……」と頭を下げて大きく息を吐いた修司は、独り言でも言うかのように、「あの男に言われるならともかく、なんでこいつに言われなきゃなんねぇんだよ……」と言った。
それから顔を上げると、「簡単に葉那を手放したおまえが、正義感振りかざして俺らの問題に口出してくんじゃねぇよ」と言い放つ。
そう言った後に修司は、二人の顔も見れずにそっぽ向いている私の手首を掴んで自分の方へと引き寄せ、「こんなバカ男に何話してんだよ」と私に言う。

「……まだ何も言ってないもん……」

修司は、また大きく息を吐くと、「――まぁいいよ。とにかく帰るぞ」と言い私の手を引き、私の家の方へと歩き始めた。

「おい!待てよ!」

引き留めるように言ったレンタに修司は歩いていた足を止めて、振り返る。

「おまえは俺の相手じゃねぇ」

それだけ言うと、修司は再び歩き始めた。



手を繋がれたまま無言で商店街を歩く。気まずい空気が二人の間に漂う。そんな空気を感じるからなのか、いつもより繋がれている手が強く感じる。
横にいる修司の顔を見ることがなんとなく出来なかった。目が合えば、何か言われそうな気がして見ることを躊躇った。修司も私をみようとしないが、不機嫌な感じが繋いでいる手から伝わってくる。
気まずい空気を発しながら、これといった会話もなくうちの店の前に着いた。営業時間を終えている店は、すでにシャッターがおりていて、人気がない。
歩いていた足を止めて、繋いでいた手を離した。


2018/12/04(火) a.k
タイトル 2-038.



私と修司が言い合っている時にレンタが、「ああっ!思い出した。そう言えば幼馴染の男がいるって言ってたな。そいつに勉強見てもらってるとか、言ってなかった?」と言う。
そんなことを聞かれても覚えていない私は、首を傾げながら、「そんなこと……言ったっけ?覚えてないよ」と答えた。

「教えてやっても補習受けてたけどな」
「いちいちそういうこと言わないでくれない?」
「俺は事実を教えてやってんだよ」
「それじゃあ、さっき秦たちの店で話してた“修司”って、こいつのことなんじゃん」

レンタの言葉に、ドキッとする。
出来れば修司の前では、話題に出してほしくない。
私が黙り込んでいると修司は、「へぇ――、俺のことが話題になってたのか」と私を見ながら言う。
私は目を背けて黙り込んでいると、レンタはご丁寧にも、「変態だぁ――!とか叫んでた」と笑いながら言った。
この場から逃げ出したいぐらい恥ずかしい。

「なんだよ。変態って」
「そんなことよりもさぁ―――、あんた、こいつのこと好きじゃないの?」

レンタの言葉に察した私は、「レンタ、やめて!」と慌てて止めた。

「さっき、愛し合ってないって言ってただろ」
「ホント……マジでやめて……」

頭が痛くなりそうになり、頭を抱えた。

「なぁ――、どうなんだよ」
「おまえに答える義理はないな」
「あるよ。俺は葉那の元カレだから、こいつの幸せを見届ける義務がある」