a.k堀内 葉那黒沢 修司

愛があるのか、ないのか、
Ep2_何が正しくて、正しくないのか、

次は 堀内 葉那


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交換日記レンタル - nikkijam

2018/09/25(火) a.k
タイトル 2-024. 今日の気分end.



「美容師になれたんだね」
「葉那との恋愛を犠牲にして頑張ったからな」

そう言ったレンタに私は笑う。

「葉那、今度またゆっくり飲もうよ」
「うん」
「ここに来たら、おまえに会える感じ?」
「そうだね」
「じゃあ、俺も時々顔出すよ。これからまたよろしくな!」

ニコッと微笑んだレンタの笑顔は、あの頃と変わらない。




+---------------------+

#2-014.からが今月の更新分となります。


2018/09/25(火) a.k
タイトル 2-023.



レンタ―――村瀬廉太郎(むらせれんたろう)は、高校3年から1年近く付き合っていた元カレ。付き合っている時も明るくていつも笑っているような元気いっぱいの彼だった。だから毎日が楽しくて、ハッピーで、ずっと一緒にいたいと思っていたけど、高校を卒業して私たちの生活環境が変わり、お互い中々会う時間が取れなくなり、すれ違いによって別れてしまった。

「マジでレンタなの?」

と、私たちの会話を聞いていたゆっちんは、二階からてっちゃんと一緒に下りてきて言う。

「わおっ!よく見たら、秦(はた)じゃん!それに香西までいるじゃん!」
「おまえ、変わんねぇなぁ。そのテンション」
「行き成り高校の同級生と再会出来たら、テンション上がるだろ」
「上げ過ぎだっつーの」
「香西と秦が一緒にいるってことは、結婚生活上手く行ってんだな」
「おかげ様でな。そんなことより、おまえどうしたんだよ」
「そうそう。来週からねーちゃんと一緒に商店街でヘアーサロンすることになったんだよ。だから、そのご挨拶に来ました」

そう言って、手に持っていた紙袋からヘアーサロンのチラシと熨斗紙がついた小さなボトルのシャンプーとトリートメントのセットをカウンターのテーブルの上に置いた。

「お姉さんと一緒にヘアーサロンやるんだ」

レンタに話しかけると、「そうそう。ねーちゃんが独立して店やるって言うから、俺も便乗したんだよ」と言って、私にもチラシとシャンプーとトリートメントのセットをくれた。


2018/09/25(火) a.k
タイトル 2-022.



「今、店主呼びますので、少々お待ちください」

と、ゆっちんはにこやかに言って、二階へと上がって行く。
ゆっちんがいなくなり、店内に二人きりになった。改めて男性を見ると、少し顔を俯けていたので顔をはっきりと見えなかったが、見た目は私たちと変わらないような年代の男性に見えた。髪は少し長めで明るめの茶髪。ブルー系チェックのネルシャツに黒のダウンベストを羽織っていた。首元にはシルバーのアクセサリーがチラリと見える。手には茶色の紙袋を持っていた。
少し俯けていた顔が上がり、私と目と目が合った。

「……………」
「……………」
「……………」
「…………葉…那……だよな?」
「……レンタ……だよね?」

時間が止まったかのように数秒見つめ合った後、私たちはほぼ同時に口にした。
お互いを確認し合うと、「わおっ!葉那じゃん!」とレンタのテンションは一気に上がる。
テンションを上げたレンタは、私のそばに近づいてくると、「葉那ぁ~~!懐かしいな!おまえ、元気だったかよ」とテンション高めに私の背中をバシバシ叩く。

「い、痛いよ。元気だよ。レンタは?」
「元気元気。超元気」
「だよね」


2018/09/25(火) a.k
タイトル 2-021.



「ねぇ――、私たちってこれでいいと思う?」
「いやぁ――……、そんなのあたしに聞かれてもさぁ―――……。でも、ほら、あれじゃない?修司くん、それだけ葉那のこと大事にしてるんじゃない?」
「あいつ、1回やれば2回も3回も同じだって言ってたよ」
「ん―――……じゃあ、あんたに色気がなくて、その気にならないとか」
「それは否定出来ないわ」

と、二人で笑った後にゆっちんは、「―――でも、修司くんならそういう簡単な理由じゃなさそうな気がする。何かあるんじゃない?」と言った。

「何か……」

そう口にして真っ先に浮かんだのは、楓ちゃんのことだった。

「修司って……、楓ちゃんのことどう思ってるんだろう?」
「どうって?」
「未練……とかあるのかな?」
「気になるなら聞けばいいじゃない」
「聞いていいもんなの?」
「別にいいんじゃない?二人のことなんだから」
「そういうもんなのかなぁ……?」

会話が一区切りしたところで、『USAMIYU』の扉が開いた。
少し開いた扉の隙間から、「オープン前にすみませ――……ん」と男性がひょこっと申し訳なさそうに顔を出す。

「はい」

と、ゆっちんが座っていた椅子から降りて、男性の元へ。
男性は店内へ入ってくると、「来週からこちらの商店街で、ヘアーサロンの営業させていただくのでご挨拶に伺いました」と言う。


2018/09/25(火) a.k
タイトル 2-020.



「そういう状況で、もし、妹や弟が生まれたら、美雨が面倒見なきゃいけなくなるんだよ。そういうのって……ちょっと違うでしょ。うちに従業員を雇えるほどの余裕があれば別だけどね。現実問題難しいからさ」

普段一緒にいて気が付かなかったけど、ゆっちんがしっかりと家族のことを考えていたことに驚いた。

「葉那も子ども産むなら、ちゃんと考えて産まなきゃダメだよ?」
「そんなの全然現実味がない」

そう言ったら、ゆっちんは「あはは」と笑った。

「でも、その前に……それ以前の問題かな」
「なに?問題って」
「クリスマスイブから一回もない」

そう言ったら、ゆっちんは目を丸くして驚き、「え?うそでしょ?」と言う。

「ホントだよ。な~~~~んにもないよ。いつも通り」
「毎日修司くんと会って、夕食一緒に食べてるんじゃないの?」
「食べてるよ。でもそれだけ。23時頃には家に帰ってるもん」
「……………あんたたち、じゃあ何やってんの?」

私の話を聞いて、半ば呆れ気味のゆっちん。

「何って……、ご飯食べて、テレビ見ながら話したり、たまに写真撮ったり、ゲームしたり、絵描いて遊んだり?」
「30間近の男女がやることじゃないよね」
「あ、でも、出かける時に手は繋ぐようになったよ」
「キスは?キスぐらいするでしょ」
「ないない。するわけないじゃん」
「マジで?!」

と、ゆっちんは目を丸くして驚く。

「マジで」
「……………」

今度は言葉を失っていた。


2018/09/25(火) a.k
タイトル 2-019.



「あのさ――、テツ。いつも言ってるけど。現実をちゃんと見て。今、あたしが妊娠したら誰が店を手伝うのよ。従業員雇う余裕、うちにはないわよ?それに店出すのに借金だってしてるんだから、それを返さなきゃいけないし。美雨の教育費だって、これからもっとお金かかるんだから。そんな状況でもう一人育てる余裕なんかないわよ」

てっちゃんはゆっちんの言葉に反論出来なくなり、「宝くじ当たらねぇかなぁ…」と言いながら、逃げるように二階へと上がって行った。そんなてっちゃんを見てゆっちんは、溜息をひとつ落とす。

「はぁ―――……、なんで男ってあんなバカなの?」
「それにしても、ゆっちん凄いね。ちゃんと家族のこと考えてるんだね」
「当たり前でしょ。あたしが考えないと、あいつ何も考えないから」
「たしかに、てっちゃんは何も考えてなさそう」

私は笑った。

「ホントはさ――……、あたしだって産めるなら産みたいよ。お金の問題もあるけど、これ以上美雨に負担かけさせたくないっていうのが本音」
「負担?」
「ほら、うちさ――夜も店やってるじゃない?昼間は学校行ってるからいいけど、夜はいつも二階に一人でいるじゃない。一人で寂しい思いをさせてるのも……結構親として心苦しいんだよね。普通なら、夜は家族でいるもんでしょ?」
「そっか……。そうだよね……」


2018/09/25(火) a.k
タイトル 2-018.



それからしばらく美雨ちゃんの宿題が終わるのを見守り、宿題が終わった美雨ちゃんは見たいテレビがあるとかで二階にある自宅へと上がって行く。美雨ちゃんの後ろ姿を見送りながら、「ちゃんと時間割してからだからね!」と言っていた。美雨ちゃんは階段を駆け上がりながら、「わかってる――!」と言っていた。
ゆっちんは美雨ちゃんが飲んでいたジュースのコップを手に取りながら、「返事だけはいいのよねぇ……」とため息交じりに言う。

「ゆっちん、母親の顔してたね」

ゆっちんの横顔を見ながら言った。

「そう?普通でしょ」
「ううん。私には見せない顔だったよ」
「母親の優奈もいい女だろ?」

と、カウンターの中にいたてっちゃんは言う。

「うん。カッコいい」
「何言ってんのよ」

と、照れながら言ったゆっちん。
私とてっちゃんは、そんなゆっちんを見ながら笑った。

「ねぇ、二人目とか考えてないの?」
「葉那。おまえ良いこと言った。もっと言ってやってよ」
「ん?どういうこと?」
「こいつ、いらないとか言うんだよ」
「そうなの?」
「今はまだいらない。店のこともあるし、借金も返さなきゃいけないし、妊娠出産なんか考えられないだけ」
「なるほど」
「おいおい。納得するなよ」


2018/09/25(火) a.k
タイトル 2-017.



仕事と私情を秤にかけて、仕事を優先してしまったことに後悔の念を抱きながら、電車に乗って兎町の町へと戻る。何とも言えない疲労感に襲われていたが、仕事終わりの一杯を飲みたい衝動にかられていた。
商店街の中を歩いて実家ではなく、『USAMIYU』へと向かう。時間的にはまだオープン前だったが、友人の特権で店の中へと入れてもらった。
店の中では、てっちゃんがオープンの準備をしていて、カウンターの端っこで宿題をしている美雨ちゃんに付き添うようにゆっちんが見守っていて、時々間違っている答えを指摘していた。

「ゆっちん、小学生の宿題教えられるの?」

と、光景を見て驚く。

「まだ大丈夫。これから先は怪しいけど」
「ママがわかんなくなったら、修司くんに教えてもらうの。約束したんだよ」

と、嬉しそうな表情を浮かべながら言う美雨ちゃん。

「あいつ何気に頭いいもんね」
「葉那は俺と一緒で勉強ダメだもんな」

と、てっちゃんは私が注文したグラスビールを注いでくれて、私の目の前に置く。

「そうだけど。てっちゃんよりは出来るから」
「何言ってんだよ。一緒に補習受けてた仲じゃねぇかよ」
「言っとくけど、てっちゃんみたいに毎回じゃないからね」
「よく似たもんだろ」


2018/09/25(火) a.k
タイトル 2-016.



その後も今すぐこの場を立ち去りたいぐらいの気まずい空気が流れる。
カメラマンが1分1秒でも早く戻って来るのを心の中で祈っていた時、「ねぇ、葉那ちゃん」と声をかけられた。

「なに?」
「もし……、彼が葉那ちゃんに会いたいって言ってきたら、どうする?会う?」

どうしてそう言うことを聞いてくるのか、意図がよくわからなかったけど、「―――それはないよ」と答えた。

「え?どうして?そんなのわからないじゃない」
「そういう別れ方をしたから」
「そうなんだ……」
「楓ちゃんは修司に会いたい……とか思うの?」
「思うよ」

と、私を見て言う。
楓ちゃんと目と目を合わせていたら、その言葉の意味も今までの質問も理解出来たような気がした。
だけど、それに気づいてはいけないような気もしていた。

「―――ねぇ、葉那ちゃん。私の取材でイラスト描かなきゃいけない時は、葉那ちゃんを指名してもいいかな?」

少しの沈黙の後に、楓ちゃんは言った。

「え?」
「葉那ちゃんと一緒だとやりやすいから」

と、楓ちゃんは笑顔を見せる。

「こちらとしては、ありがたいことだけど……」
「じゃあ、決まりね。編集者の人にも伝えておくから」
「あ…うん……、ありがとう……」

そう言ったら、楓ちゃんは嬉しそうな笑顔を見せていた。
それと同時に、心の中に重みを感じていた。


2018/09/25(火) a.k
タイトル 2-015.



楓ちゃんは、『Leonardo.b』が表紙になっている雑誌をめくり始めて、レオの特集記事に目を通し始めた。
少しの間、会話が生まれなかったが、楓ちゃんは雑誌を見ながら、「何回か一緒に飲みに行ったよね。その時によく音楽のことを語ってたの覚えてる」と当時のことを思い出したのか、少し笑みを零していた。

「そうだっけ?忘れたよ」
「―――ねぇ」
「ん?」
「別れた原因って、なんだったの?」

楓ちゃんは顔を上げて、私を見る。

「え……?」
「葉那ちゃんたちって、別れたって言っても、すぐに仲直りして元に戻ってたじゃない」
「そう言う時もあったね」
「何が原因で別れたんだろう?って、思って」
「なんだろう?忘れちゃった」

誤魔化すように言ったら、「泣きながら修ちゃんに電話してきたのに?」と言われて、思わずドキッとしてしまう。
何をどう言えばいいのか迷っていて、何も言わずにいると、「――――あっ、ごめんなさい」と楓ちゃんは謝った。

「う、ううん……。こっちこそ……ごめん……」
「ううん………」
「……………」
「……………」
「…………ごめん。楓ちゃん。やっぱり理由は……」

私のせいで修司と喧嘩になって別れてしまった楓ちゃんには、私と然が別れた理由を話した方がいいのかな?と思ったが、然の今の立場を考えると、迂闊に誰かに話すようなことじゃないかもしれない。と思った。

「あ――……うん。相手が相手なだけに簡単には口外出来ないよね。ごめんね。気にしないでね」
「ううん。こっちこそ、なんか……色々とごめん」