a.k堀内 葉那黒沢 修司

愛があるのか、ないのか、
Ep2_何が正しくて、正しくないのか、

次は 堀内 葉那


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交換日記レンタル - nikkijam

2018/08/18(土) a.k
タイトル 2-013. 今日の気分end



「そんな本格的に撮るの?」
「当たり前じゃん。おまえとの思い出は全部写真に収めるって決めてるから」
「ふ――ん。マメだね」

なんて言いながら、今までの恋愛でもこんなことやってたの?と疑問が浮かぶ。

「葉那。映画の半券も撮りたいから出してよ」
「それも撮るの?」
「初デートの思い出だから」

修司に言われるがまま財布の中に入れた映画の半券を取り出して、それを修司に手渡す。
修司も自分の分の映画の半券を財布から取り出すと、ローテーブルの上に私が手渡した映画の半券と一緒に並べた。
仕事をしている時のような顔つきで、‟初デートの思い出“を写真に収めようとしている修司を見て、修司の意外な一面を見たように感じた。
そんな修司が、なんだか新鮮に映る。

「ねぇ、楓ちゃんと使ってた夫婦茶碗はどうするの?」
「捨てる」

修司はカメラを構えながら答える。

「捨てるんだ……」
「持ってたって必要ねぇだろ。」
「そうだけど………。それでいいの?」
「いいよ。そのために買ったんだから」

修司はそう言うと、私を見ずにパシャッとシャッターを押した。


2018/08/18(土) a.k
タイトル 2-012.



「なにそれ……」
「レディーファーストだよ」
「何言ってんの?修司のくせに」
「はいはい。もうわかったから。なんでもいいなら蕎麦だからな」
「……うん」

修司は繋いでいる私の手を軽くひっぱって歩き始めた。



夕暮れ時になった頃。私たちはベイサイドモールで買った夫婦茶碗を持って、兎町へと戻って来た。
買ったばかりの夫婦茶碗を早速使おうと、修司の部屋で夕食を食べることにした。兎町商店街の中にあるスーパーで夕食の材料を買い、修司の部屋へと帰宅。
私が夕飯の準備を進めている中、修司はベイサイドモールで買ってきた夫婦茶碗を紙袋から取り出し、さらに包んであった包装紙を剥がして箱から取り出すと、ローテーブルの上に置いた。
茶碗を一つ手に取ると、じっくり眺めながら、「値がした分、シンプルだけど良い茶碗だな」と満足したものが買えて嬉しいのか、顔を緩めている。
夫婦茶碗はベイサイドモールの中にあった食器を専門に扱っているお店で購入。木箱に入っているような少し値がした茶碗だったが、修司が、「長く使うなら、これぐらい出してもいいだろ」と言って購入したもの。夫婦茶碗を購入したついでに、お揃いのお箸も購入し、今日から早速新しい食器で夕食を食べる。
ローテーブルの上に夫婦茶碗を横一列に並べると、修司は立ち上がった。それから隣の寝室になっている和室へ入る。一眼レフの大きなカメラを持ってくると、夫婦茶碗をパシャパシャと撮影し始めた。


2018/08/18(土) a.k
タイトル 2-011.



「今日は寝なかったじゃない」

と、映画館を後にした時に言った。

「映画館で寝たことなんかねぇよ」
「昔、一緒にDVD見てた時はしょっちゅう寝てたじゃん」
「あれは、おまえの映画のチョイスが悪かったんだよ」
「人のせいにしな…」

修司がまた私の許可なく、手を繋いできた。
思わず言葉が止まると、修司は私の反応を面白そうにクスクスっと笑う。

「……どうして手を繋ぐのよ」
「デートだから」
「そればっかり……」

手を繋いでいるだけなのに、また胸の中が騒ぎ出して落ち着かない。
修司は私と手を繋いでもなんとも思わないのだろうか?

「―――えっと、とりあえず腹減ったし、飯でも食うか」

と、エスカレーター近くにある飲食店の案内が表示されている場所の前で立ち止まった。

「なに食う?」
「なんでもいい」
「じゃあ、蕎麦な」
「なんで蕎麦?」
「俺が食いたいから」
「だったら、蕎麦食べたいって、初めから言えばいいじゃない」
「一応、聞くだけ聞こうかなって思って」
「私がハンバーグ食べたいって言ったら、どうしてた?」
「おまえ、ハンバーグ好きじゃねぇじゃん」
「そうだけど。もしかしたら、今日はハンバーグな気分って言うかもしれないじゃん」
「それはないな。長年一緒にいるけど、おまえの口からハンバーグ食べたいって聞いたことねぇもん」
「あのさ――、私は例え話の話をしてるの。そんなところ引っかからないでよ」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ。おまえに食べたいものがあるなら、それを食うよ」


2018/08/18(土) a.k
タイトル 2-010.



「何言ってんのよ」

と、呆れている私をよそに、修司は隣にいる私の手を優しくそっと繋ぐ。
手を繋がれた瞬間に修司のぬくもりを感じた。
それがなんだか気恥ずかしいような感じに襲われて、胸の中がむずがゆくなった。

「な……っ!ななななんで、て、手を繋ぐのよ」

妙に緊張している私の様子を見て修司は、クスッと笑い、「デートだから」と言う。

「意味わかんない」

と、言い、手を振りほどこうとすればするだけ、修司はぎゅっと強く手を握る。

「ホント離してってば!」
「映画館つくまでこのまま」
「やだやだやだ」

手を振り解こうとするも中々解けない。

「三十路女が手繋ぐぐらいでうろたえるな」
「三十路関係なくない?」

と、思わず大きな声が出た。

「声でか。みんな見てますけど」

と、私の声が大きかったせいで、カップルや親子連れの人たちが、何をやってるんだと私たちの横を通り過ぎて行くたびに興味深く見られていたことに気が付いた。
恥ずかしさが余計に増して、大人しくなった私。
修司はそんな私の手を引いて、映画館がある4階へと向かった。


映画は私が見たいと言っていた洋画のサスペンス映画。修司はあまりこういう映画は好きではなく、どちらかと言うとアクションが多い映画が好み。
学生時代の時からたまに一緒にDVDを借りてきて見たことがあるが、いつも修司は私が借りてきた映画はつまらないのか、途中で寝ていたことが多かった。
それなのに、今日は映画のエンドロールが流れていても修司は眠ってはおらず、起きていた。


2018/08/18(土) a.k
タイトル 2-009.



如月写真館の定休日である水曜日に私たちは、電車に乗ってベイサイドにあるショッピングモールへと足を運んでいた。
昔、港の倉庫街だった場所が再開発されて出来た場所で、大きなショッピングモールに外資系のホテルも建っている。海側の方には、大きな広場があり、時々そこで大道芸人がショーを行っていたり、何かしらの催し物が行われていることがあった。
その近くには観覧車もあって、デートスポットのひとつになっていた。
そんな場所に修司と二人。これまで一緒にどこかへ出かけたことはなく、小さい頃から一緒にいたけど、必要以上に時間を一緒に過ごすことはなかった。
だから、二人で電車に乗って出かけることが初めてで、なんだか落ち着かない。

「久しぶりに来たけど……、店とかちょっと変わった?」

ショッピングモールの中にある映画館を目指して歩いていたら、知っているお店が変わっていたり、改装中の店舗があったり、と、少し変化していたことに気が付いた。

「わかんねぇーよ。俺も久しぶりに来たし」
「家の近所に商店街があると、中々ベイサイドまで足伸ばさないよね」
「ああ」
「なんかさ――、修司と二人でこうやって並んで歩いてるって、変な感じしない?」
「いつも商店街歩いてるだろ」
「そうじゃなくて、電車に乗って出かけたりすること、が」
「ああ、‟デート“が、ってことね」
「ちょ…、こっぱずかしい言葉言わないでよ」

と、照れている私をよそに修司は、「デートだから手でも繋ぐ?」と言う。


2018/07/14(土) a.k
タイトル 2-008. 今日の気分end.



「いや、まぁ……そうだけど……。無理してない?」
「無理なんかしてねぇよ」
「だったらいいけど……」

何とも言えないような空気が流れだした時、修司は突然、「唐揚げ食え」と言って、私の取り皿に3個ほど盛る。
私はそれを返すように、「ポテサラも食べてよ。私の力作なんだから」と言ってポテトサラダを山盛りにお皿に盛った。
すると修司は、「こんなに食えるか」と言って文句を言って、私のお皿に半分盛る。

「やめてよぉ」
「力作なんだったら食え。なんだったら、食べさせてやろうか?」

と、意地悪そうな笑みを浮かべて言う。

「自分で食べられるから結構です」
「可愛くねぇなぁ。普通は、あーんしたりするだよ」
「気持ち悪っ」
「気持ち悪っ、てなんだよ。ホント失礼な女だな」

私はその言葉に笑う。
気まずい空気がいっぺんに吹き飛ぶ。
修司との新しい関係に、まだまだ戸惑いは隠せないけど、新しくなった二人も嫌いではない。


2018/07/14(土) a.k
タイトル 2-007.



「なに?」
「捨てずに置いていた俺も悪いんだけど。おまえは、元カノの物とかも平気で使えるタイプなの?」
「あ――……、やっぱこれ、楓ちゃんのか。修司にしては可愛いお茶碗だなぁって思ってたんだよね」

と、私は茶碗を持ち上げて言った。
明らかなに修司が選んだものじゃないと分かる水玉模様の夫婦茶碗と、色違いのお箸。

「嫌なら別の買うから」
「気にならないから、買わなくていいよ」
「マジで?俺がおまえの立場なら嫌だけどな」
「なんで?物に罪はないじゃん」
「いや、まぁ、そうだけど。気持ち的に?」
「ふ――ん」

修司の意外な一面をまた垣間見たような感じがした。

「これからはおまえが使うんだし、新しいのを買うよ」
「なんでもいいのに……」
「これは気持ちの問題なんだよ」
「わかったわよ」

そう言ったら、「じゃあ――次の俺の休みの日に買いに行こうか」と言う。

「いいよ」
「そのついでに映画でも見る?」
「映画?」
「この間、何か見たいのがあるって言ってただろ」
「まぁ……言ったけど……」

と、反応の悪い私に修司は、「なんだよ。嫌なのかよ」と言う。

「嫌じゃないけど……。たぶん、修司が好きなジャンルじゃないからいいよ」
「それでも行くよ」
「…………」

いつもなら映画を誘っても自分の好きな映画ジャンルじゃないと「行かない」と言うのに今日は「行く」と言う。
いつもと違う修司の態度に私は戸惑いを隠せない。
私の態度に気が付いた修司は、「二人でそうなるって決めたんだろ」と言った。


2018/07/14(土) a.k
タイトル 2-006.



それから一眼レフカメラを構えると、ローテーブルの上に並んでいる料理を写真に収めていく。
修司が味付けした唐揚げ、私が作ったポテトサラダ、大根のお味噌汁、など一品ずつ撮ったり、全体で撮ったり、と色んなアングルでシャッターを切っていた。

「毎回撮ってるよね」

と、半ば呆れながら修司に言った。

「葉那との新しい生活を写真に収めておくんだよ」
「ふ――ん……」

修司の姿を見て、毎回こんなことやってんの?と疑問が浮かびながら、意外と思い出を大事にするタイプだったことを知った。
それからテレビが見られるように二人横並びに座って、「いただきま~す」と手を合わせて食事を始めた。
修司が「味付けには自信がある」と言っていた唐揚げは、自信を持っているだけあって美味しかった。
あまりにも美味しくて作り方を教えてもらおうとしたら、「隠し味が入ってるから教えられない」と言われた。その隠し味がなんなのか尋ねたら、「教えたら隠し味じゃなくなるから言えない」と言って教えてくれなかったので、これから唐揚げを食べる時は修司の仕事になった。
そんな会話を繰り広げながら、いつものように色々と会話をしていた時だった。

「俺、この間から気になってたことがあるんだけどさ……」

と、修司は言いだした。


2018/07/14(土) a.k
タイトル 2-005.



ローテーブルの上にエアコンのリモコンとテレビのリモコン、それから有名な写真家の写真集が1冊置いてあるぐらいで、部屋が散らかっている様子はない。

「そういえば、昔からこいつの部屋は、私の部屋より綺麗だったわ」

部屋を見渡した後、ローテーブルの上に買ってきた食材の袋を置いて、それからエアコンのリモコンを手に取って暖房のスイッチを入れた。エアコンが起動したばかりで室内は寒かったが、コートを脱いで隅っこにおいた。それからようやく買ってきた食材の袋から中身を取り出した。
冷蔵庫へ入れるものを手に取り、冷蔵庫を開ける。冷蔵庫の真ん中に唐揚げ用の鶏肉が味付けされている状態でビニール袋に入って置いてあった。私はすぐにそれを手に取ると、「ちゃんと用意してくれてる」と言って喜んだ。
今日は、私のリクエストで唐揚げをメインとした夕食。修司が、「唐揚げの味付けには自信がある」と言って下準備をしてくれることになっていて、私は揚げるだけの役割だった。

―――――唐揚げを揚げ終えて、夕食の準備が出来た頃に修司が帰ってきた。
部屋着に着替えてきた修司が、ローテーブルの上に並んでいる料理を見て、「美味そうじゃん」と言い、唐揚げを一つ掴むと口へと放りこんだ。

「さすが俺。めちゃ美味い」

と、自画自賛する修司。


2018/07/14(土) a.k
タイトル 2-004.



商店街の中にあるスーパーで夕食の食材を買い、それを持って修司の部屋へと向かっていた。
私の仕事がひと段落していることもあり、ここ最近修司の部屋へ行って、食事を作り、一緒に食べている。
関係を変えた第一歩として、二人で決めたことの一つが、「夕飯は一緒に食べる」ということだった。これまでは、お酒を飲みたい時にどちらかが連絡して、『USAMIU』で会って、みんなで楽しくしゃべるっていうスタイルだったが、それをやめて二人の時間を作ろう。ということで、夕飯を一緒に食べることが決まった。
それが決まった時に修司から貰ったのは、部屋の合鍵。「持っていた方がいいだろ?」と言って渡してくれた。
修司から合鍵を受け取った時に、私はふと思い出す。

――――― 然は、合鍵なんてくれなかった

6年付き合っていた間、然はずっと一人で暮らしていたけど、一度も合鍵はくれなかった。
「鍵を失くして、合鍵がない」とか「合鍵を作りに行くのが面倒くさい」とかいろんな理由をつけて合鍵を拒んだだけど、本当のところはどうだったんだろう?


如月写真館に着くと店には寄らずに、そのまま店の横にある階段を登って修司の部屋へと向かう。
合鍵を使って部屋の玄関のドアを開けると、「お邪魔します…」と小さな声で言い、部屋の中へと入った。
部屋の中は、人の気配など感じず、静まり返っていて、部屋の中の空気も冷たい。