a.k堀内 葉那黒沢 修司

愛があるのか、ないのか、
Ep2_何が正しくて、正しくないのか、

次は 堀内 葉那


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交換日記レンタル - nikkijam

2019/02/18(月) a.k
タイトル 2-053. 今日の気分end.



「変なことって、失礼だな」

と、言った後に、「そんな必死に拭かなくてもいいだろ。俺はバイキンくんかよ」と呆れていた。

「お、お互い恋愛感情が生まれるまで手を出さないって、今言ったじゃない」
「おまえが妙に可愛い態度とるから」
「はぁ?!な、何言ってんの。バカじゃないの」
「あいかわらず、うるせぇ女だな」

修司は呆れながら自分が座っていた場所に戻ると、「この茶碗、葉那が捨てといてよ」と言う。

「え?」
「俺が持ってると、葉那のご機嫌がななめになるから」
「機嫌悪くなんないし」
「それでも。おまえが捨てといて」

そう言って、新聞紙に包まれている茶碗を私の目の前に置いた。

「…………本当にいいの?」
「そう言ってんだろ」
「本当に?」
「しつこい」
「―――わかった。捨てとく」

そう言って、新聞紙に包まれている茶碗を手に取ると、近くに置いていた鞄の中に入れた。
私が鞄の中に入れたのを見ていた修司は、「よし。じゃあ、おでん食おうか」と言い、修司はお箸を手にして鍋の中に入っているおでんを選び始めた。

「葉那」

黙り込んでいる私に気がついた修司は、私の名前を呼ぶ。

「なに?」
「俺もおまえにひとつ聞きたいことがあるんだけど」

そう言う修司の顔を少し緊張しながら見たら、「あの男となんで手繋いで歩いてたか、説明してくれない?」と冷たく微笑む。
その言葉に、今すぐにでも消えていなくなりたい気分になった。


2019/02/18(月) a.k
タイトル 2-052.



「なにそれ……。嘘つくならもっとまともな嘘つきなよ」
「嘘じゃねぇよ。おまえと茶碗買いに行った日に捨てるつもりでいたんだけど、あの日ゴミの日じゃなかったから捨てられなかったんだよ。おまえに見つかったら面倒なことになりそうだなって思って、隠してたんだよ。そしたら、その存在を今の今まで忘れてた」
「……………」
「だから、楓のことを想って残していたわけじゃない」
「……………」

何も言わない私を見て修司は、「もしかして……おまえが変だった理由は、これか?」と言い、新聞紙に包まれている茶碗を手にする。

「ち、違うし。っていうか、変じゃないし」

修司は変な笑みを浮かべると、私が座っているところに詰め寄ってくる。

「な、なに?なんなの?」

と、修司の動きに戸惑っている私をよそに、修司は私を抱きしめる。

「ちょ…、ちょっとなに?離してよ」
「前は平気で使ってたのに、今は嫌なんだな」
「そ!そんなことないから」

抱きしめられているのを抵抗している私のことなど気にすることもなく、5秒近く抱きしめた後にチュッと頬にキスをした。

「な……っ!……にすんのよ!」

突然のことに驚いて、思わず修司を力いっぱい押しのけた。
バクバクと大きな音を立てて鼓動を速めている心臓を抱えながら修司を見る。

「いてぇーな。なにすんだよ」
「それはこっちのセリフ!変なことしないでよ!」

そう言いながら、キスされた頬を服の袖で何度も拭った。


2019/02/18(月) a.k
タイトル 2-051.



「どんな意味が?」
「酔った勢いだったとはいえ、理性を抑えきれず、恋愛感情がない状態でおまえを抱いたことは、多少なりとも罪悪感があるんだよ。―――だから、次、おまえを抱く時は、お互い恋愛感情がある時がいいんだよ」
「だから、今は出来ないって言ったの?」
「そうだよ」

修司が意外と私とのことを考えていてくれたことに驚いた。
心の中で嬉しいと言う気持ちが芽生えたのと同時に、あの夫婦茶碗の存在が私を曇らせていく。

「だったら……、どうしてあのお茶碗を大事に持ってるの?」
「―――は?なんのことだよ」

修司は私の言っていることが理解できなかったようで、少し考えこんだ後に言った。

「楓ちゃんと使ってた夫婦茶碗。大事に持ってるじゃない」
「え……?茶碗……?」

と、言い、少し考えた後に、「―――ああっ!あの茶碗か」と思い出した様子で言った。
修司は立ち上がると、キッチンの方へ行き、私が見つけた場所から新聞紙に包まれている夫婦茶碗を取り出した。

「よく見つけたな」

と、言って、それをローテーブルの上に置いた。

「土鍋を出す時に……たまたま見つけたの」
「ごめん。これは俺が悪い」

と、修司は頭を下げて謝り、頭を上げると、「これは、大事に取ってたんじゃなくて。捨てるのを忘れてただけだよ」と言う。


2019/02/18(月) a.k
タイトル 2-050.



「俺に何か言いたいことがあるなら、言ってくれないとわからないだろ。俺は超能力者でもねぇんだから、おまえの腹ん中に溜め込んでるものなんて読めねぇんだよ」
「そんなことはわかってるよ」
「だったら言え」
「…………」
「―――わかった」

それでも口を開かなかった私に修司はそう言って、箸を再び手に持った。
ぐつぐつ煮立っているおでんの鍋に箸を入れると、「10秒以内に言わなかったら、この熱々の大根を顔にジュってするからな」と言い出した。

「はぁ?!なにそれ」
「嫌だったら早く言え。ほら、1、2、3…」

と、カウントを始めた。
カウントが7を過ぎたあたりで、修司はゆっくりと箸でつかんでいる大根を私の方へと近づけてくる。

「―――わ、わかった、わかったわよ。言うから」

と、焦りながら言った。

「だったら、早く言え」
「―――しゅ、修司は、私たちの関係をどう思ってる?」

キッチンの棚に隠してある夫婦茶碗のことが、喉の奥でつっかえた。
修司のことが好きだと自覚したからか、楓ちゃんのことも直接聞くことがなんだか怖い。

「それが、おまえが考えていたことなのか?」
「今の二人の関係に……、無理してるんじゃないかなぁ……?と思って」
「俺がキスしなかったから、そう言ってんの?」
「…………」
「あれには意味があるから」

と、言って、箸で掴んでいた大根を私の取り皿の中に入れた。


2019/02/18(月) a.k
タイトル 2-049.



ローテーブルの前にあるテレビからは、バラエティ番組が流れていて笑い声が起こっているが、私たちの間には目の前のおでんが煮込まれている音と、修司が「あつ…」と言いながら出汁の染みた大根を食べている音だけしかなかった。

「今日は……写真撮らないの?」
「おでんの写真ならおまえが来る前に撮ったよ」
「撮ったんだ……」
「当たり前だろ。二日目のおでんなんだから」

修司の言葉にクスッと笑い、「意味わかんない」と言った。
私が笑ったのを見ていた修司は、小さく笑う。

「わからないって言えば、俺の方だけどな」
「なにが?」
「おまえが突然、キス出来るって聞いてきた意味」

修司の言葉にドキッとして、体の中に緊張感が走る。
笑っていた顔も少しずつ失われていく。

「……………出来れば、もう忘れて欲しかった……」
「無理だろ」
「……だよね」
「そんなに俺とキスしたいのかよ」
「違うよ。あれは―――……、色々考えてたらわからなくなって、色んなことを端折った結果、ああなったのよ」

修司に言ったことは嘘じゃないけど、修司の顔を見ていたらキスがしたくなった、ということは修司に言えるわけなくて伏せた。
私が言ったことに納得出来なかったのか、修司はすぐに、「何を考えてたんだよ」と聞いてきた。

「何って……色々」
「だからぁ――、その色々を聞いてるんだよ」
「…………」

それでも口を中々開かない私に修司は持っていた箸を置き、「葉那」と言って私を見る。
私も持っていた箸を置いて、修司を見た。


2019/02/18(月) a.k
タイトル 2-048.



昨日の今日で正直修司とは顔を合わせたくない。だけど、これ以上修司の機嫌が悪くなると面倒なことになりそうだと思うと行かざるおえない。重い足取りで修司の部屋へと向かう。電話を切ってから30分以上経った頃、ようやく部屋に到着した。
修司は不機嫌そうに玄関のドアを開けると、「おせぇーよ」と一言。

「……ごめん」

と、謝って部屋に入ると、おでんに火を通していたようで、いい匂いがしていた。
部屋に入り、コートを脱いでいると後ろから、「今日は、酒なしだからな」と言われ、「うん……」と答えた。
ローテーブルの上には、昨日のように卓上コンロと、二人分の取り皿とお箸が用意されていた。
グラスに冷えた麦茶を淹れて、私がいつも座っている場所に置く。

「もしかして……食べないで待ってたの?」
「そうだよ」
「腹減りで死にそうだったのに?」
「一緒に食べるって約束しただろ」

キッチンで火を通していたおでんが入った土鍋を持ってやってきた修司は、卓上ガスコンロの上に置いた。
1度で火が付かず、カチッカチッと二回ほどつまみをまわして火をつけると、土鍋からぐつぐつと美味しそうな音が立つ。

「じゃあ――、食べるか。いただきます」

と、修司は両手を合わせて言い、私もその後に続くように「いただきます」と両手を合わせた。

「昨日から煮込んでるから、今日の方が絶対味が染み込んでるよな」
「そうだね……」

修司は自分の取り皿におでんを次々と入れていく。
修司がおでんを取り終わった後、私もおでんを取る。


2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-047. 今日の気分end.



「たかが夫婦茶碗。されど……夫婦茶碗」

と、呟いた後、「捨てられないのは、まだ忘れられないから?」と続けた。

――――― あんなに平気で楓ちゃんの茶碗使っていたのに、なんで今は嫌なんだろう……?

突然、側に置いていた携帯電話が鳴った。
着信相手は、修司。
いつもよりも少し緊張しながら電話に出ると、『もしもし?おまえどこにいるんだよ』と少し苛立っている口調で言う。

「どこって……、家だけど」
『だったら早く来いよ。昨日おでん食べるって約束しただろ』
「あ――……、そうだっけ?忘れてた」
『はぁ?!ふざけんなよ。こっちは腹減って死にそうなんだよ』
「ごめんごめん。今から行くから」
『ダッシュで来いよ。待ってるからな』


2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-046.



描いた後に自己満足で、「似てる似てる」と言って一人で笑った。
それから隣に私も描いてみた。
並んでいる二人のイラストを見ながら思う。

「……好き?」

口に出して言うと、急に恥ずかしくなって、「いやいやいや、ありえない。ありえない。修司だもん」とすぐに否定。
しかしすぐに冷静になり、「―――いや、でも。待って。……好きになっていいのか。好きで……」と修司を描いたイラストに指で触れる。
目の前にあったペンを手に取ると、私と修司の間にハートを描いた。
描いたハートを見て、自然と顔が緩む。
―――が、女子高生でもない私はすぐに冷静を取り戻し、「恥っず!何やってんの?バッカじゃないの!」と二人のイラストを消すように殴り書いた。

「めっちゃ単純な女じゃん……私……」

と、修司への想いを自覚した恥ずかしさから顔を机の上に伏せた。
しばらくしてゆっくり顔を上げて、冷静にその絵を見つめた。

「今でも……楓ちゃんのこと想ってる?忘れるために私を利用した?」

と、呟き、「――――いやいやいや、私もそうじゃん。私も然のことを完全に吹っ切ろうとして―――……」と言った後に気がついた。
最近、然のことを考えてないことに……。

「然以上に修司の存在が大きくなってるってことなの……?」

もう一度、自分が描いたイラストを見たら、キッチンの棚の隅にあったあの夫婦茶碗を思い出した。
胸の中が少しずつ曇って行く感じがする。


2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-045.



「なんで葉那が驚くんだよ」
「いや、だって……そんなこと考えたことなかったから」

レンタは頭を抱えながら、「……ちょっと、疑問があるんだけど」と言い、「どんな流れが二人にあったのかは知らないけど、相手に好意があるからそういう関係になったんだろ?」と続けた。

「……………」
「おいおい。葉那。大丈夫かよ?」

と、レンタは呆れていた。
レンタに言われて気がついた。
私は相手に求めるばかりで、肝心の自分の心がどうなのか、向き合っていなかったことに。

私は、修司のことをどう思っているのだろう……?



レンタが帰ってからその日は、1日家にいて仕事をした。本当はお酒が残っているからウダウダとしていたかったけど、何かをしていないと落ち着かなかったから。
頭の中を切り替えるように楓ちゃんの取材を同行した時のミュージシャンの似顔絵が描けるかスケッチブックで練習。しっかりした絵じゃなくて、デフォルトな可愛いイラストが良い、と指示も受けていた。何度も描いて似るように寄せていく。自分が作る人物じゃないだけに特徴を掴まないとその人物にはならない。似顔絵を描いた経験が少ない私にとってそれはとても難しかった。

「あ――……なんか疲れてきた」

と、言って、持っていた鉛筆を置いた。
色々なパターンを描き過ぎて、似てるのか似てないのか、正直わからなくなってしまった。

「修司なら簡単に描けるのに」

そう言って、鼻歌交じりで再び鉛筆を持つと、可愛い感じの修司を描いた。


2019/01/14(月) a.k
タイトル 2-044.



「あれから……どうなった?」
「どうして?」
「俺……余計なこと言ったよな?」
「そうだね。余計なこと言ったよね」
「ホント、マジごめん!」

と、レンタは頭を下げる。

「余計なこと言ったのは事実だけど、謝らなくていいよ」
「いや、でもさ、俺のせいでこじれたりしてたら……」
「いや、ホント気にしなくていい。多少のムカつきはあるけど、レンタが言ったことは間違ってないし」

レンタは少し黙り込んだ後に、「―――なぁ、おまえらホントに愛し合ってないの?」と聞く。

「よくわかんない」
「なんだよ。それ」

と、レンタは軽く笑う。

「確認したことないもん」
「は?なんだそれ」
「なんか……流れに沿ったって感じだし」
「どんな流れだよ」
「それは―――……言えないけど。まぁ、色々あるの」
「じゃあ、聞けばいいじゃん」
「簡単に言わないでよ」
「簡単だろ。『私のこと、好き?』って言えばいいだけなんだから」

と、レンタは笑う。
レンタの言葉に、「子どもじゃないんだから」と私は鼻で笑った。

「バカだなぁ。そういう愛情確認って年齢関係ないだろ。ちゃんと言葉にしないと相手には中々伝わんないもんだろ」
「……………」
「それとも―――あいつから答え聞くのが怖い、とか?」

と、レンタはまた笑う。

「それじゃあ、まるで私が修司のこと好きみたいじゃない」
「あいつのこと好きだろ」

と、私を見るレンタ。
そんなレンタを見る私。

「……………」
「……………」
「「………え?」」

少しの沈黙の後、二人の声が重なった。