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竜の伝説〜飛翔〜
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交換日記レンタル - nikkijam

2018/08/07(火) 語りべ
タイトル タマゴを守る巫女たち3 今日の気分次回更新は21日(火)予定です





「ブルーオーブの能力は比例をする勇武の力を持つ……心に抱く勇に比例し、その武は増していく…勇は純粋なものでなければ武を与えることはない…願いの心」


「パープルオーブの能力は如何なるものを弾く守りの力を持つ……義に篤い守護の力は絶対的な盾となり、あらゆる攻撃、生物の五感さえも退ける力となる…誠実の心」


「イエローオーブの能力は人を魅するカリスマの力を持つ……それは人の心、人気だけに留まらず、時として富や権力をも集めてしまう…しかし穢れた心を持てば悪意や悲しき運命さえも引き寄せてしまう…純粋の心」


「シルバーオーブの能力は秘められたる力を開花させる目覚めの力を持つ……その肉体、心の中で眠り続けている力を目覚めさせ、その者の最大限の力を与える…輝きの心」





 その台詞はかつてオーブを手に入れたとき――もしくは手に入れたオーブが突然光り出した際に、何処からともなく語り掛けてきた言葉そのもの。
 驚きにアルスは目を見開き、思わず巫女たちに聞く。

「何故その言葉を…もしかしてそれは貴方たちが僕たちに言っていたんですか?」

 すると巫女二人は合わせるように、同時にかぶりを左右に振って見せる。

「いいえ、わたしたちの使命はたまごを守ることであり、そのような能力はありません」
「もしかするとオーブに宿っていた心が声となって語り掛けてきたのかもしれません」
「宿っていた心…」

 スイリが思わず洩らした言葉に巫女二人は頷く。
 
「はい、オーブは不死鳥ラーミアの魂――心そのものなのです」






2018/08/07(火) 語りべ
タイトル タマゴを守る巫女たち2



 アルスはそう言いながら袋にしまっていたオーブを取り出そうとする。
 が、彼女たちは彼の証を見る前に答える。

「はい。よく存じ上げています」
「それぞれの台座にオーブをささげ下さい」

 彼女たちは予見でもしていたかのように、アルスを疑う事もなく。
 周囲の台座へと手を指示した。

「勇者様、オーブをささげください」

 当初はどういった結末になるのかもよくわからず、集めていたオーブ。
 それが今、ようやく意味を成すときがきたと思えば、感慨深いものがある。
 と、アルスたちは手分けして中央の台座周囲にある、それぞれの台座へオーブを静かに置いていく。
 グリーン、レッド、ブルー、パープル、イエロー、シルバー。
 それぞれのオーブには、手に入れるまでそれぞれに思い出――様々なめぐり合わせがあった。
 悲しみ、怒り、死闘、絶望、別れ、そうしたものを乗り越えて、手に入れたオーブたち。
 台座に置かれたオーブはゆっくりと、次第に淡く輝き出していく。
 と、一つずつ。光を放つオーブに呼応するかのように、突如巫女たちが口を開いた。





「グリーンオーブの能力は浄化をする癒しの力を持つ……悪しき魂、朽ちた肉体、致命傷の傷…場合には時間さえも浄化する…慈しみの心」


「レッドオーブの能力は己の闇に勝つ理解の力を持つ……自らの闇、弱気を見つめること、理解することは他の者の理解、そして全ての理解へと繋がる…決意の心」



2018/08/07(火) 語りべ
タイトル タマゴを守る巫女たち1









 目の前の大人以上はあるたまごに視線がいっていて、アルスは気付かなかったが、確かにそこには誰か人影が。
 それも二人の姿があった。
 もしかすると敵かもしれない。
 そんな考えが脳裏を過り、アルスたちは無意識にその手を各々の武器へと移す。
 しかし、そこにいた二人の少女に敵意は感じられず。
 身構えるアルスたちに置くすることも、戸惑うこともなく口を開いた。

「わたしたちはたまごを守っています」
「世界中に散らばる6つのオーブをこの台座にささげたとき…」
「伝説の不死鳥ラーミアはよみがえりましょう」

 少女たちは淡々と、まるでそれが彼女たちの使命なのだと思わせるかのような口振りで告げる。
 全く敵意の感じられない少女たちにアルスはすぐさま武器から手を放し、尋ねた。

「貴方たちは…一体?」
「わたしたちは巫女…」
「不死鳥ラーミアのたまごを守るため、この祭壇にてこの日を待ち続けていた者です」

 まさかそのような使命の者がいたことに驚くアルスたち。
 しかし、シルバーオーブを託されたときも、そこにはオーブを守る使命を持った男がいた。
 不死鳥ラーミアのため。
 その復活のため。
 勇者が現れるそのときのため。
 古の者達は使命を与えられ、今日この時のために役目を担ってきたのだろう。
 そう考えると歴史の重み、オーブの重みを感じ、わずかに足も竦む。
 だが恐れる事はなく、アルスは前へ乗り出す。

「僕たちはそのオーブを全て集め、此処まで来ました」




2018/07/30(月) 語りべ
タイトル レイアムランド上陸6 今日の気分次回更新は7日(火)予定です





 階段を上り、神殿の奥へと進んでいくアルスたち。
 神殿内は極寒の外とは打って変わり、そこまでの寒さは感じられない。
 不思議と温かささえ感じてしまうほど。
 コツコツと足音だけが響く中。
 アルスたちは更に奥へ足を進める。



 と、神殿の最奥だろう開けた場所が見えてきた。
 その広間は天井がなく吹き抜けとなっており、神殿の中というよりは庭のようにも感じられる。
 だが吹き抜けがあるにも関わらず、その広間は至って暖かく、冷え切っていた身体が温められていった。

「不思議な場所ね…空が見えてるのにこんなに温かいなんて」

 そう言いながらおもむろに神殿の真上を見上げるスイリ。
 随分と長い階段を上って来たためか、見上げた空に雲は一つもなく、代わりに満点の星々と月が覗いていた。

「見てください!」

 リルムが突如、前方を指して、声を上げる。
 一同がその方へと視線を向けると、そこには大きく、金色に輝く複数の台座と、それらに囲まれた更に大きな台座が見えた。
 そして、広間の中央にあった一番大きな台座にはひと際大きく存在感を出している、楕円の塊。

「たまご…」

 思わずアルスは呟く。
 そのたまごこそ、聞いていた不死鳥に関係する――不死鳥が眠るたまごなのかもしれない。
そう思いたまごに近付こうとするアルスたち。
 が、足を出したアルスを遮り、声を上げるレオ。

「誰かいるぞ」



2018/07/24(火) 語りべ
タイトル レイアムランド上陸5 今日の気分次回更新は30日(月)予定です



 そう言いながら彼は自身の道具袋からオーブの一つを取り出した。
 袋から出されるなり、オーブは淡い輝きを放っていた。
 凍える指先を温めてくれるような、安らかな銀色の光。
 鼓動のようにゆっくりと僅かな明滅を繰り返す輝きは、此処が帰るべき場所なのだと、アルスたちに報せているようだった。

「大丈夫って言っている。行ってみよう」

 オーブを道具袋にしまい直すとアルスは神殿の正面に構えている、長く大きな階段を上り始める。
 臆することのないその姿に苦笑を浮かべあうと、スイリたちも彼の後を追うように階段を駆けあがっていった。

「どのみちこのまま此処に居続けてても凍えるだけだもんね」
「できれば中に暖かい暖炉があると良いですね」
「見る限り厳かなこの建物にあるとは思えねえけどな」

 先ほどまでの雰囲気は全くなく、緩やかな会話を交えながら。





2018/07/24(火) 語りべ
タイトル レイアムランド上陸4







 『たかのめ』によって見えた建物。
 その方角へと足を進めていたアルスたちは、やがてその目標物らしきものへと辿り着いた。

「これが…神殿…?」

 極寒の地には不似合いな石造りの建物。
 この横殴りの吹雪にも埋もれることなく存在しており、まるでそこだけが、切り取られた別次元のようにも見える。
 それは間違いなく、アルスたちの探しに来た神殿と呼べる物だった。

「けどこれが目的の神殿と決まったわけじゃねえだろ」

 自身らの頭以上に高く建つ神殿を見上げるアルスたち。
 おもむろに呟いたスイリの質問にレオは答えると、その神殿を凝視する。
 
「実は魔物たちの根城って可能性もあるだろう」
「看板なんてあるわけありませんし…入るには勇気がいりますね」

 雪と氷に溶け込むような白い建築物。しかしその中に誰が待っていて、何があるのかと思ってしまうと足は進まず、白い建物さえも黒く見えていく。
 が、そんな疑心を振り解くかのように、突如アルスが口を開く。

「目的の神殿は此処で間違いないようだよ」


2018/07/18(水) 語りべ
タイトル レイアムランド上陸3 今日の気分次回更新は24日(火)予定です




「歩けなくなったらちゃんと言えよ、負ぶってでも連れてくからな!」
「えー、それは困るかも…」
「なんでだよ」

 賑やかな声は吹雪によって消えて行く視野の向こうからでも、よく聞こえている。

 残されたアルスはおもむろに、隣にいたストームへ苦笑を向ける。

「なんだかすみません。ストームさんにはまだまだ素直には言えないみたいで」

 単純すぎる自分たちのために敢てひねくれているみたいなだけなんです。と、付け足して笑みを盛らすアルス。
 頼りになる反面、こういう時は不器用なのだと、笑わずにはいられない。
 すると、ストームはそんなアルスを一瞥した後、ポツリと言った。

「いや…ああした態度を取られるのも悪くはない」
 
 そう言った口元には僅かな笑みがあり、アルスはそんな表情と台詞を見つける。
 しかし、それについて特別尋ねることはなく。
 アルスはストームと並びながら、レオたちの後方を歩き進んでいった。





2018/07/18(水) 語りべ
タイトル レイアムランド上陸2




「いや、このまま前進した方が良い」

 ストームが突如そう口を開き、前方を指差す。

「この先に建物が見える。恐らく例の神殿だろう」

 と、ストームは言っているものの、吹雪で視界が遮られていてアルスたちには全く見えず。

「ホントに見えるのかよ」

 そう思わず疑ってしまうのも仕方ない。
 だが彼は今、盗賊であるギンガに変装(モシャス)しているため、盗賊の呪文が使えるのだ。
 盗賊の技の一つ、『たかのめ』によって彼はこの視界ゼロの中でも周辺の地理――建物を探し出すことが出来るのだ。

「しっかりとモシャスして使用しているんだ。間違うわけがないだろう」
「ったく…姿だけじゃなく性格もモシャスしてくれりゃあまだ良い呪文なんだけどな」

 そんな皮肉を洩らし、ストームを横切っていくレオ。
 と、彼はいつの間にか立ち止まっていたリルムとスイリの腕を強引に引っ張っていく。

「ほら、立ち止まると寒さで体力が削れてく一方だ。さっさと歩いてその建物とやらに行くぞ」
「あ、ちょっと…強く引っ張り過ぎ!」
「ちゃんと歩きますから、引っ張らないでくださいよー」

 彼女たちのその悲鳴に動じる様子もなく、レオは二人を引きつれ、ストームが指を差した方角へと歩いていく。


2018/07/18(水) 語りべ
タイトル レイアムランド上陸1







 レイアムランド。極寒の大地。
 雪と氷に覆われた大地で吸い込む息でさえ痛さを覚える。
 出発当初は快晴だった空もいつの間にか辺りは猛吹雪に包まれ始め、アルスたちは探索が困難となっていた。

「ここらで一旦休憩しようか?」

 吹雪によって衣服や髪の毛、頬さえも白く染まっていく中。
 レオが皆へと切り出す。
 此処までの道のりによる疲労もさることながら、魔物との戦闘でも体力は削れており、皆の疲弊を案じてのことだった。
 が、そんなレオの気配りも他所にかぶりを強く振って断るスイリとリルム。

「いえ、まだいけます!」
「そうだよ、こんなところで休んでる暇の方がないって!」

 そう強気に言うも空元気なのは見えており、レオはため息を洩らす。

「とは言ってもなあ…こうも前後左右の見えない吹雪の中じゃ返って体力を削るようなもんだし…歩けなくなったらどうすんだよ」

 徒歩で移動してから時間にして2時間といったところだが、ホワイトアウトの空間ではそれ以上の時間を歩いたかのような、体力の消耗と感覚に襲われていた。
 実際にスイリとリルムの息は荒く、足取りも出発時に比べて重くなっている。

「どうするよ、アルス」

 とレオに尋ねられ、アルスもまた、周囲とスイリ、リルムの確認をする。
 レオが心配するように、確かに二人の疲労は目に見えてわかっていた。
 気力があったとしても、このままでは体力が底を尽きてしまうだろう。
 ならば、どこか休めるところで休憩を取った方が良いのかもしれない。
 そう判断した、そのときだ。

2018/07/10(火) 語りべ
タイトル 最後の旅支度4 今日の気分次回更新は17日(火)予定です



 確かに彼女の顔を見ると鼻先や頬は真っ赤になっており、その反面全身は真っ白で分厚い毛皮のローブに包まれている。

「既にモコモコで羊みたいになってるけどな」

 背後にいたレオに茶化され、更に顔を紅くさせ頬を膨らますスイリ。
 と、そんなやり取りをしていると見張り台に登っていたチェロハが大声を上げた。
 
「見えたよ!前方にレイアムランド!」

 彼の声を聞くなり皆は一斉に甲板からその方角を見つめる。
 暗雲と氷海に挟まれた地平線の向こう。そこに見える大陸の影。
 地図を取り出し改めて位置を確認するとアルスはそれぞれへ指示を出す。

「それじゃあ、上陸の準備を始めよう。上陸後はコティッチとチェロハは船の守を。後は僕に続いてレオ、ストームさん、スイリ、リルムの隊列で進む」

 魔物についての注意も当然であるが、目的地について詳細な情報はない。
 だからこそ細心の注意を払って進む必要がある。
 
「気をつけろよ、この地域って吹雪くとホント何も見えないって言われてるからな!」
「何かあったらすぐに戻って来てね。ボクたち此処で待ってるから」

 上陸に向けた準備をする中で、コティッチはアルスたちに忠告し、チェロハは皆の身を案じる。
 そうこうとしている間にも、島へ徐々に近づいていき、より一層と全身が芯から冷えていく。
 
「はい、ではいってきますね」

 大きなリュックを背負いリルムが言うと、他の者達も続くように頷き。
 程なくして船は目の前の島へと停船した。