語りべ管理者

竜の伝説〜飛翔〜
〜そして伝説へ〜

次は 管理者


過去の日記
2019年10月(7)
2019年09月(6)
2019年08月(5)
全て表示


メニュー
プロフィール


管理者用
パスワード



count

モバイル

交換日記レンタル - nikkijam

2019/12/10(火) 語りべ
タイトル 魔王を倒した1 今日の気分次回更新は17日(火)予定です









 「魔王を…倒した……」

 酷い脱力感。
 鼓動の音が強く全身に響く感覚。
 アルスは無意識に自身の手を見下ろす。
 震えることなく力強く握られている剣。
 アルスは眉を顰め、おもむろに口を開く。

「本当に…魔王を―――」

 力無く、そう呟きかけた、そのときだった。
 突如、何処からともなく声が聞こえてきたのだ。
 いつの日か―――夢の中でも聞いたあの声が。


『アルス…アルス…私の声が聞こえますね?』


 16歳の誕生日を迎えた、勇者としてアリアハンを旅立ったあの日の夢で聞こえていた声。
 少女のように高く澄んだ、しかし凛々しい女性の声。
 今まで他の場面でも何度か聞こえていたと思われる声。
 テドンの村の少女の声。
 山の頂に居た竜の女王の声。
 どれとも似ていると思っていたが、だが聞き直すと誰とも似ていない鈴の音のような声だった。


『あなたたちは本当によくがんばりました…この地に巣食う脅威を取り払って下さいましたね』


 その声は何処かから聞こえるというわけではなく、まるで頭の中へ直接語り掛けてくるようで。
 突然聞こえてきた声に動揺を隠せないアルスだったが、それは彼だけではなかった。
 レオもスイリもリルムも、同じく驚きの表情を見せながら宙を見上げ回していた。

「何この声…?」
「新しい敵、か…?」

 不安と疑念に身構えているスイリとレオ。
 恐らく敵ではない。
 そうアルスが告げようとするよりも先に、リルムは遠くを見つめながら口を開く。








2019/12/03(火) 語りべ
タイトル 激闘の終わり3 今日の気分次回更新は10日(火)予定です








 無心で振り下した会心で渾身の一撃はバラモスの頭部を両断する。
 袈裟切りに胸元まで斬り下された剣。
 程なくしてバラモスはその激痛に轟くような悲鳴を上げる。
 
「ぐぅ……お…おのれ…勇者め…!!」

 苦しむ呻き声と共に血走らせた双眸でアルスを睨みつけるバラモス。
 しかしその激昂の様とは裏腹に、顔面から胸元に掛けて流れる鮮血は止まる事なく。
 よろめき、ゆっくりと膝をつき、崩れ落ちていく。

「わ…わしは…あきらめ…ぬ、ぞ………ぐふっ!!」

 そう言って吐血したバラモスはその場に倒れ、それ以降動く事はなかった。

「や…やったのか…?」

 抱きかかえていたリルムを起こしながら、肩を揺らし呼吸をするレオ。
 彼と一緒に起き上がったリルムはうつ伏せに倒れたままのバラモスを見つめる。

「動きは…ない、みたいですけど…」

 と、更に近付こうとしたものの、先ほど受けた攻撃の余韻なのか直ぐにバランスを崩すリルム。
 倒れそうになる寸ででレオに肩を掴まれ、「無理に動き回んな」と注意される。
 同じくして、バラモスを斬り、地面へと着地したアルスもまた、静かに立ち上がりバラモスを見やる。
 突っ伏したまま微動だにしていないバラモス。
 その倒れる床は鮮血に濡れ、魔物独特の血色に染まっていた。





2019/11/27(水) 語りべ
タイトル 激闘の終わり2 今日の気分次回更新は12月3日(火)予定です




「うぐっあッ…!!」
「今だよ、アルス、レオ!」

 切り裂かれた痛みによってその手は緩み、リルムの頭部は解放される。
 崩れ落ち、地面へと叩きつけられそうになる彼女を滑り込むようにして受け止めるレオ。

「ったく、無茶すんなよ…」
「ごめんなさいです…」

 何とか無事な様子のリルムは苦笑を浮かべて謝罪する。
 そんな彼女に釣られ、レオもまた苦笑を洩らす。

「あとは任せた、決めろアルス!!」

 レオの声を聞くと同時に地を蹴り、アルスはバラモスの頭上高くへと飛び上がった。

「くそッ…生意気な小僧に負けるなどッ!!!」

 飛び上がるアルスにバラモスは呪文を唱え、灼熱の炎を繰り出す。
 アルスは炎に呑まれる。
 が、業火に包まれながら姿を現したアルスは鋼鉄化―――アストロンにより微塵も炎を受け付けていなかった。

「行け―ッ! アルスー!!」

 スイリの掛け声に背を押されるように、アルスの身体はバラモスに向け加速し、同時にアストロンを解く。

「アルス!」
「アルスさん…!」

 自身の頭上に振り上げる剣。

「ウォアアァァッ!!」

 雄叫びを上げ、アルスは剣をバラモスの頭部に滑り込ませ、振り下した。








2019/11/27(水) 語りべ
タイトル 激闘の終わり1









「おのれ…おのれ…ッ!!」
「うぐぅッ…!」

 その大きく鋭い爪を持つ手が一瞬にしてリルムの頭を鷲掴みにする。
 割れるような激痛にうめき声を上げるリルム。

「リルム!」
「リルム!!」

 これまでとは比べものにならないほどの、容赦のない握力。
 彼女の身体はゆっくりと持ち上げられ、宙に浮く。

「小癪な技を使いおって…くびり殺してくれよう!!」

 リルムによって受けたダメージはプライドも傷つけたようだった。
 そのまま握り潰すかの如くリルムを放そうとしないバラモスに、アルスとレオは急ぎ彼女の救出に向かう。
 しかし二人が駆け寄るも早く、バラモスの馬鹿力はリルムの頭を砕こうとしていた。
 と、そのときだ。

「私だって戦ってるんだから! 」
 
 そう叫んだ直後、スイリは疾風の呪文を唱える。
 杖より放たれたその魔法はアルスとレオよりも素早く、リルムを掴むバラモスの手を切り裂いた。

2019/11/19(火) 語りべ
タイトル 戦い続ける仲間たち4 今日の気分次回更新は26日(火)予定です



 『眠りの杖』最大の利点は装備者以外でも杖の効力を扱えること。
 そしてその効力とは、名の通り相手を眠らせること。であった。

「今のうちに魔王に攻撃をしてください!」
「でかした、リルム!」

 アルスとレオが連携して攻撃している間、彼女は眠りの効果が魔王に掛かるまで唱え続けていたのだ。
 そして、ようやく魔王は睡魔の毒牙に掛かったというわけだった。

「ずっと寝ているわけじゃありません、さあ、早く!」

 眠らせることに成功したとはいえ、何時目覚めるのかもわからない状況。
 アルスはレオと顔を見合わせ頷くと、直後、一斉に魔王へと飛び込む。
 二人はほぼ同時に拳を、剣を、ありったけの一撃をバラモスに突き立てた。

「わたしも加勢します!」

 更に続くようにリルムもそろばんを振りかざし、項垂れるようにして眠るバラモスの腹部へ斬りつけた。
 確実に与えている手ごたえ。
 これまでにない感覚。
 あと僅かだという直感にアルスは無意識に口元を緩ませる。
 が、それが隙となった。
 リルムへと伸びるその魔の手に、彼女もアルスもレオも気付かなかった。






2019/11/19(火) 語りべ
タイトル 戦い続ける仲間たち3







 突然の事態に驚くアルスたち。
 バラモスを倒したのか、と一瞬そんな希望も過ったが、とどめを刺した実感がアルスには残念ながらなかった。
 と、驚く三人へと叫ぶ、リルムの声。

「今です、皆さん! 魔王は今寝ています!」

 彼女はアルスたちとは別の場所にて見たことのない杖を掲げているところだった。
 
「寝ているって…?」
「つかその杖は何だよ?」

 確かにリルムの言葉通り、バラモスからは地響きのようないびきが聞こえてくる。
 倒れたわけではなく、明らかに眠ってしまっているようだった。
 しかもリルムは商人であり、杖を扱うことが出来ない。
 稀に杖に効力を備えたものも存在はするが、それを使用する事の出来る者は杖が装備できる者に限られるのだ。

「この杖は装備者関係ないんです! 誰でも効果を使うことが出来るんです!」


2019/11/13(水) 語りべ
タイトル 戦い続ける仲間たち2 今日の気分次回更新は19日(火)予定です




「あと少しだと思う…けど」

 同じくスイリのいる後方まで下がったアルスがそう告げる。
 魔王打倒までもう少し。
 しかし止まぬ業火に自己再生。
 バシルーラ(強制移動呪文)にメダパニ(混乱呪文)まで扱え、そのために研ぎ澄ましている神経もじわじわと削れてきてしまっていた。
 額や首筋を流れ落ちる汗の量も随分と多くなった。
 呼吸も、徐々に荒く浅く変わってきている。

「いい加減倒れて欲しいとこだぜ」

 バラモスを見つめながらぼやくレオ。
 疲労感による嘆き、それが段々と強まって来ていた。
 そのときだった。

「ぐあああぁ…」


 突如、バラモスが大声を張り上げる。
 地の底から轟くような声。
 だがそれは決して倒したから、というようなものではない。
 とどめを刺した感触は全く持ってなかった。
 しかし、アルスたちの困惑を他所にバラモスは、ぐったりと項垂れるように倒れたのだ。







2019/11/13(水) 語りべ
タイトル 戦い続ける仲間たち1








 アルスとレオの交互の攻撃、バラモスから一撃を受けても即座にスイリが回復をする。
 止め処ないアルスたちの連携に、バラモスもまた躍起になり攻撃を続ける。
 しかし、一向に倒れる様子のない魔王。
 次第にスイリの中で一抹の不安が過る。
 
「MPが…もう…」

 呪文を唱える度に消費されていくMP。
 精神力とも言われているそのエネルギーが底を尽くと、その者は呪文を詠唱しても発動することは出来ない。
 その為、スイリはMPが切れないように『祈りの指輪』を持って来ていた。
 ここに辿り着くまでにも一度使用してきたのだが、もう直ぐ彼女のMPが底をつこうとしていたのだ。

「お願い…祈りの指環…!」

 スイリは懐から取り出した祈りの指環を両手で包み込み、強く願う。
 直後、彼女の身体は穏やかな光に包まれていく。
 身体自体の傷が消えたわけでも癒されたわけでも決してないが、それでも幾ばくか気が楽になったようだった。

「アルス! レオ!」

 MPが回復して間もなく、スイリはアルスとレオに向けて回復呪文を唱える。
 
「サンキューな、スイリ!」
「大丈夫? いけそう…?」

 と、バラモスから距離を取るべく飛び退いてきたレオ。
 そんな彼へ現状について尋ねたスイリ。
 彼は複雑な顔を見せ、口角を吊り上げる。

2019/11/05(火) 語りべ
タイトル 目を覚まして3 今日の気分次回更新は13日(水)予定です



 一方でリルムはアルスたちの連携に加勢しつつ、脳裏では先ほどストームより託された品について考えていた。

(これって…確か…)

 これまで色々な武器防具道具を見てきた彼女でも、見たことのない杖。
 木製の杖の頭部にガラス玉が置かれ、その中には一輪の花が咲いている。
 そんな独特な形状ならば商人であるリルムには直ぐ鑑定出来るはず。
 しかし彼女の記憶の中にこの杖の記憶はなかった。

(あの文献に載っていた…)

 だが、記憶にはなかったが、記録で見かけた記憶はうろ覚えながらあった。
 古い文献に載っていた、エルフのみが作れるという武器の一つ。
 『眠りの杖』
 杖という武器だけに装備できる者は魔法使い・僧侶・賢者であり、当然商人は扱えない。
 しかし、この杖には驚くべき特製が備わっている。

「ストームさん…バシルーラを受ける直前に言っていたのってそういうことだったんですね」

 彼女の中で点と点がようやく一つとなり、理解した直後、リルムはその手に自身の武器ではなくストームより託された杖『眠りの杖』を構えた。





2019/11/05(火) 語りべ
タイトル 目を覚まして2







 これまで以上に、頭に血が上った状態でいるバラモス。
 と、身構えるアルスたちへ手を翳し、先ほどと同様の爆発呪文放つ。
 閃光、轟音、爆風が同時に襲い、アルスたちの身体へダメージとなって突き刺さる。
 
「皆大丈夫!?」
「ああ、なんとか」
「だいじょぶだよ!」
「平気です!」

 アルスの呼び掛けに答えるレオ、スイリ、リルム。
 スイリは付いていた片膝を上げ、立つと同時に皆へ回復呪文を掛ける。
 その間にレオは誰よりも先に地を蹴り、バラモスの懐へと飛び込む。
 
「さっきの借りは返すぜ!」

 自身の身を回転させて与えた爪の一撃。
 素早く切り裂いたその一撃はまたもや会心のものとなり、バラモスは呻き声を張り上げる。

「うぐあぁっ!」

 続けざまにアルスも斬り掛かり、確実にバラモスはダメージを負っていく。
 それはバラモスの自己治癒を上回る勢いだった。