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竜の伝説〜飛翔〜
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交換日記レンタル - nikkijam

2020/01/21(火) 語りべ
タイトル 勇者たちは故郷へ錦を飾る5 今日の気分次回更新は28日(火)予定です




「はい。それが先ほど王様が天啓を受けたそうで…なんでも不思議なことに突然頭の中へと語り掛けてくる声が聞こえたとのことです」

 彼の言葉にアルスたちは互いに顔を見合わせる。
 その声は間違いなくアルスたちも知る彼女だと、彼らは確信する。

「この地に巣食う脅威を勇者アルスが退治したと…それから間もなくしてロマリアの偵察兵がやってきまして『ネクロゴンドを覆う闇が突如晴れた』と報告してきたのです」

 それで魔王を倒したのだと、そう判断したアリアハンの国王は帰還してくるだろう勇者を歓迎するべく、門前にて兵を遣わせ待機させていたのだという。

「王様も城下町のものたちも皆、勇者様のご帰還をお待ちしていますよ!」

 そう言うと兵はアルスたちをアリアハンへと導くように、ゆっくりと手を伸ばした。







2020/01/21(火) 語りべ
タイトル 勇者たちは故郷へ錦を飾る4








「勇者様! 勇者アルス様―――!」

 その声は甲冑を纏った兵たちのもので。
 彼らは大急ぎといった様子でアルスたちもとへと駆けつける。

「勇者アルス様…よくぞ、戻られました…!」


 駆けつけてきた中年の兵士は息を切らせながらもアルスたちを見渡し、敬礼のポーズを取る。

「よくぞ魔王バラモスを倒してくださいました!」

 兵士からの意外な一言に誰よりも驚いて見せたのはコティッチであった。

「ホントのことだったのか!?」
「嘘ついてどうするんだよ」

 呆れ顔で突っ込むレオに「ああ、いやあ」と、乾いた返答をするコティッチ。
 そんな彼を後目にアルスは兵士へと質問する。

「何故僕たちが魔王を退治したと…知っているんですか?」

 その困惑は他の者達も同様だった。
 兵士は何故かアルスたちが説明したわけでもないのに『魔王を倒した』と知っているのだ。
 すると兵士は敬礼したまま彼の疑問に答える。



2020/01/07(火) 語りべ
タイトル 勇者たちは故郷へ錦を飾る3 今日の気分次回更新は21日(火)予定です





「俺たちはちゃんと船を守ってたんだ、番をしてたんだ。だけどよ、急にふわっとした感覚に襲われてよ、船も光り出すし」
「それで気付いたらさっきとは違う場所に船はあるし、偵察も兼ねて下りてみたらみんながいるしで…何が起こったの?」

 早口で互いに譲らず語るコティッチとチェロハの兄弟。
 そんな慌てふためく姿に思わずアルスたちは笑みを零し、声を出して笑ってしまう。

「何がそんなに可笑しいんだ? もしかして此処って天国か何かでお前らアルスの姿をした偽者とかか?」
「そんなまさか」

 徐々に不安と疑心から顔を青ざめさせる彼らを安心させるべく、アルスが答える。

「僕たちは不思議な力でアリアハンまで飛ばされたんだよ」
「飛ばされたって…?」
「呪文か何かの類ってこと?」

 首を傾げるチェロハに「そう言う感じだ」と頷いてレオが答える。
 
「でも何でそのアリアハンに俺たちは飛ばされたんだ? まさか魔王の力で…」
「違うよ。わたしたち、魔王を倒したんだよ」

 自慢げに口角を吊り上げてそう話すスイリは胸をぽんと叩いて見せる。
 が、片や兄弟―――と言ってもコティッチの方が主にだが―――未だ呑み込めていない状況と彼女の言葉に整理が出来ず顔を顰めている。

「まあ倒した証拠っつーもん取ってきたわけでもねえし、信じられねえのも無理ないだろうけどな」

 頭上の疑問符が取れないでいるコティッチを見やり、ため息交じりにレオがそう洩らした。
 と、そんなところへ。
 またしてもアルスたちを呼ぶ声が聞こえてきた。







2020/01/07(火) 語りべ
タイトル 勇者たちは故郷へ錦を飾る2








 そもそも、アルスたちは今、草原の中にいた。
 一面草のみが広がる平野。
 遠くには山々が見え、森の姿も覗いている。
 何故かその光景にアルスは見覚えがあった。
 一度通った事がある。旅をしたことがある場所だと思われたが、その答えは彼女の次の言葉より発せられる。

「アリアハンの城ですよ!」
「あ、ホントだ!」

 次いでスイリもリルムが指した方向を見やり、その景色に歓喜の声を上げた。
 アルスも急ぎ、二人と同じ方角を見つめる。

『あなたたちを、あなたたちが望む場所へと連れて行ってあげましょう』

 その声の言う通り、遠く森の合間から覗く城の姿は間違いなくアリアハン城のそれだった。
 




 久しぶりに見える城の外壁。
 朝日なのだろう、それを浴びる城はまるで黄金に輝いているようで。
 そこまで長い旅ではなかったはずだったが、懐かしさにアルスの目頭は熱くなっていく。

「おーい、アルス!」
「みんなー!!」

 そのときだ。
 遠く、アルスたちの背後から声が聞こえてきた。
 大きな聞き覚えのある声に彼らが振り返ると、やはりそこには見覚えのある仲間の姿があった。

「コティッチ! チェロハ!」

 駆け寄って来る二人の兄弟は目を丸くさせ、何が起こったのか解らず混乱しているようだった。
 アルスたちの傍へと辿り着くなり、兄弟は身振り手振りで事の次第を説明する。

2019/12/24(火) 語りべ
タイトル 勇者たちは故郷へ錦を飾る1 今日の気分次回更新は1月7日(火)予定です









 身体が浮くような、上空へと持って行かれるような感覚。
 瞬く間にその感覚は逆転し―――落ちていくような、地面へと下されるような感覚と変わる。
 静かに地面に着地したアルスたちはゆっくりと立ち上がり、周囲を見渡した。

「な、何が起こったの…?」

 困惑するスイリ。
 それはレオやリルム、アルスも同様であり、突然の状況に驚きを隠せない。
 が、彼らに何が起こったのか。アルスたちはこの『感覚』自体には身に覚えがあった。

「多分何故か移動呪文(ルーラ)が掛けられたみたいだ」

 アルスもスイリも覚えている呪文であり、町から町。村から城へと移動が可能な呪文『ルーラ』。
 それが何故か掛かったのだ。
 掛かった、と言うよりも誰かに掛けられたと言った方が正しいと、アルスは推測する。

「…さっき聞こえてたあの声。あれがやったってことか?」
「多分…」

 思案顔を浮かべるレオへアルスは頷き、もう一度脳裏から聞こえてきた彼女の声を思い出す。

『私が出来るのは些細なことですが…あなたたちを、あなたたちが望む場所へと連れて行ってあげましょう』

 その言葉から察するに、アルスたちは彼女の計らいでバラモスの城から一瞬で出て来られたということだった。
 ありがたいと思う反面、少しばかりの不安要素がアルスの中では拭え切れていない。

「あ、あの…あれ見てください!」

 と、アルスが考えに耽っている最中。
 突如大声を上げたリルム。
 彼女は目の前の光景を指差していた。






2019/12/17(火) 語りべ
タイトル 魔王を倒した2 今日の気分次回更新は24日(火)予定です









「でもこの方の声…そこまで恐ろしくはないです。偉そうな言い方かもですけど信用出来る方、だと思います」

 それは一時期だとしても一つの町を築き上げた商人としての経験と耳が教えるものだった。
 リルムに次いでアルスも頷き、彼女の言葉を肯定する。

「以前、この声を聞いたことがあるんだ。その時は僕を導いてくれた…正体はわからないけれど、悪い人ではないはずだよ」

 二人の言葉を聞いたスイリとレオは互いに顔を見合い、小さく吐息を洩らした。
 
「わかった。二人を信じる」
「勝手に語り掛けてくるってのが癪だけどな」

 微笑む二人に笑みを返すアルス。
 と、まるでアルスたちの会話を聞いていたかの如く、それまで沈黙していた女性は改めて語り掛けてきた。


『私が出来るのは些細なことですが…あなたたちを、あなたたちが望む場所へと連れて行ってあげましょう』


 その声の直後、アルスたちの周囲に突然光る球体がいくつも現れた。
 淡く輝く球体は皆を包み込むようにぐるぐると回転し、そして気付けばアルスたちは球体同様に光輝いていた。


『さあお帰りなさい、あなたたちを待っている人々のところへ…』










2019/12/10(火) 語りべ
タイトル 魔王を倒した1 今日の気分次回更新は17日(火)予定です









 「魔王を…倒した……」

 酷い脱力感。
 鼓動の音が強く全身に響く感覚。
 アルスは無意識に自身の手を見下ろす。
 震えることなく力強く握られている剣。
 アルスは眉を顰め、おもむろに口を開く。

「本当に…魔王を―――」

 力無く、そう呟きかけた、そのときだった。
 突如、何処からともなく声が聞こえてきたのだ。
 いつの日か―――夢の中でも聞いたあの声が。


『アルス…アルス…私の声が聞こえますね?』


 16歳の誕生日を迎えた、勇者としてアリアハンを旅立ったあの日の夢で聞こえていた声。
 少女のように高く澄んだ、しかし凛々しい女性の声。
 今まで他の場面でも何度か聞こえていたと思われる声。
 テドンの村の少女の声。
 山の頂に居た竜の女王の声。
 どれとも似ていると思っていたが、だが聞き直すと誰とも似ていない鈴の音のような声だった。


『あなたたちは本当によくがんばりました…この地に巣食う脅威を取り払って下さいましたね』


 その声は何処かから聞こえるというわけではなく、まるで頭の中へ直接語り掛けてくるようで。
 突然聞こえてきた声に動揺を隠せないアルスだったが、それは彼だけではなかった。
 レオもスイリもリルムも、同じく驚きの表情を見せながら宙を見上げ回していた。

「何この声…?」
「新しい敵、か…?」

 不安と疑念に身構えているスイリとレオ。
 恐らく敵ではない。
 そうアルスが告げようとするよりも先に、リルムは遠くを見つめながら口を開く。








2019/12/03(火) 語りべ
タイトル 激闘の終わり3 今日の気分次回更新は10日(火)予定です








 無心で振り下した会心で渾身の一撃はバラモスの頭部を両断する。
 袈裟切りに胸元まで斬り下された剣。
 程なくしてバラモスはその激痛に轟くような悲鳴を上げる。
 
「ぐぅ……お…おのれ…勇者め…!!」

 苦しむ呻き声と共に血走らせた双眸でアルスを睨みつけるバラモス。
 しかしその激昂の様とは裏腹に、顔面から胸元に掛けて流れる鮮血は止まる事なく。
 よろめき、ゆっくりと膝をつき、崩れ落ちていく。

「わ…わしは…あきらめ…ぬ、ぞ………ぐふっ!!」

 そう言って吐血したバラモスはその場に倒れ、それ以降動く事はなかった。

「や…やったのか…?」

 抱きかかえていたリルムを起こしながら、肩を揺らし呼吸をするレオ。
 彼と一緒に起き上がったリルムはうつ伏せに倒れたままのバラモスを見つめる。

「動きは…ない、みたいですけど…」

 と、更に近付こうとしたものの、先ほど受けた攻撃の余韻なのか直ぐにバランスを崩すリルム。
 倒れそうになる寸ででレオに肩を掴まれ、「無理に動き回んな」と注意される。
 同じくして、バラモスを斬り、地面へと着地したアルスもまた、静かに立ち上がりバラモスを見やる。
 突っ伏したまま微動だにしていないバラモス。
 その倒れる床は鮮血に濡れ、魔物独特の血色に染まっていた。





2019/11/27(水) 語りべ
タイトル 激闘の終わり2 今日の気分次回更新は12月3日(火)予定です




「うぐっあッ…!!」
「今だよ、アルス、レオ!」

 切り裂かれた痛みによってその手は緩み、リルムの頭部は解放される。
 崩れ落ち、地面へと叩きつけられそうになる彼女を滑り込むようにして受け止めるレオ。

「ったく、無茶すんなよ…」
「ごめんなさいです…」

 何とか無事な様子のリルムは苦笑を浮かべて謝罪する。
 そんな彼女に釣られ、レオもまた苦笑を洩らす。

「あとは任せた、決めろアルス!!」

 レオの声を聞くと同時に地を蹴り、アルスはバラモスの頭上高くへと飛び上がった。

「くそッ…生意気な小僧に負けるなどッ!!!」

 飛び上がるアルスにバラモスは呪文を唱え、灼熱の炎を繰り出す。
 アルスは炎に呑まれる。
 が、業火に包まれながら姿を現したアルスは鋼鉄化―――アストロンにより微塵も炎を受け付けていなかった。

「行け―ッ! アルスー!!」

 スイリの掛け声に背を押されるように、アルスの身体はバラモスに向け加速し、同時にアストロンを解く。

「アルス!」
「アルスさん…!」

 自身の頭上に振り上げる剣。

「ウォアアァァッ!!」

 雄叫びを上げ、アルスは剣をバラモスの頭部に滑り込ませ、振り下した。








2019/11/27(水) 語りべ
タイトル 激闘の終わり1









「おのれ…おのれ…ッ!!」
「うぐぅッ…!」

 その大きく鋭い爪を持つ手が一瞬にしてリルムの頭を鷲掴みにする。
 割れるような激痛にうめき声を上げるリルム。

「リルム!」
「リルム!!」

 これまでとは比べものにならないほどの、容赦のない握力。
 彼女の身体はゆっくりと持ち上げられ、宙に浮く。

「小癪な技を使いおって…くびり殺してくれよう!!」

 リルムによって受けたダメージはプライドも傷つけたようだった。
 そのまま握り潰すかの如くリルムを放そうとしないバラモスに、アルスとレオは急ぎ彼女の救出に向かう。
 しかし二人が駆け寄るも早く、バラモスの馬鹿力はリルムの頭を砕こうとしていた。
 と、そのときだ。

「私だって戦ってるんだから! 」
 
 そう叫んだ直後、スイリは疾風の呪文を唱える。
 杖より放たれたその魔法はアルスとレオよりも素早く、リルムを掴むバラモスの手を切り裂いた。


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